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昨日の敵は今日の〇〇??  作者: 蓮野ツバキ
天子と天使編
19/22

第19話 昨日の『奴』は今日のお花畑??

 やっとこさっとこ、久しぶりの更新です。

 ……ここは一体、どこなんだ?

 辺りには、花!花!花!ここは立派なお花畑である。

 ついでに言うと、そこに俺1人だけなのである。


「って!何でお花畑にいるんだよ俺!」


 カナタもだんだんとぶっ壊れ始めている。

 そう、ここはお花畑。普段から大変ツッコミが激しい彼にとっては、素晴らしいほどの精神崩壊が起こる場所なのだ。

 それでも彼は理由を探している。こんなところで、立ち止まるわけにはいかないのだ。


「思い出せ俺。今まで何をしてきた。俺がここにいるのは何でだ。…………何でなんだぁぁぁぁ!」


 カナタは必死になって記憶を探る。

 もちろん、思い出せるという確証はない。

 けれど、そうしなければいけないという使命感と、早く元いた場所に戻りたいという思い。それに動かされて、彼は必死に考える。


「確か俺は朝、『奴』と戦ってたんだったよな…………」






「きゃあ!ちょ、カナタぁ!早く来てよぉ!」

「ちょっと待ってろ。今すっきりさせてやるから。」


 現在の時刻は、午前6時過ぎ。

 宿へと帰った2人は、そのままぐっすり眠りについた。

 朝になり、2人は起床する。その部屋に響いていたのは、他でもないリアの声だ。


「嫌ぁ!お願いだからぁ!早くしてよぉ!」


 リアは必死にお願いするも、カナタは動けない。

 否、動けないのだ。


「ヘルプぅ!ヘルプなのぉ!」


 普段とは真逆の、リアのかわいらしい声がただただ聞こえる。

 2人が朝からこんなことになったのは他でもない。『奴』の仕業だ。


「そこだぁ!」


 カナタが仕留めにかかる。

 しかし、『奴』にそんな攻撃は通用しない。

 カナタの一撃を華麗にかわし、その黒い体は、少しずつリアの方に迫っていく。


「ひゃぁぁぁぁぁ#$%&*!?」

「リアっ!」


 そろそろリアも限界である。

 もうやるしかないと、カナタは覚悟を決める。

 『奴』に狙いを定め、(ほうき)を剣のように放つ。


「はぁぁぁぁぁ!せいっ!」


 カナタの出せる限界の攻撃。

 しかしこれも、かわしてしまった。

 これこそ、『奴』の真骨頂。とにかく早いのだ。


「くっそ!こっちにも出るなんて俺は聞いてねぇっての!」


 仕留められない『奴』に対して、ふざけんなと悪態を吐く。

 だが、そんなことをしていても何も始まらない。

 『奴』を葬り去ることこそが、唯一の対抗手段なのだから。


「おはよう、カナタ。ついに、やっちゃったって聞いたよ。」

「いややってねぇよ!てか、()れてねぇよ!」


 何か急に来たゲイン。しかし、彼にかまっている暇もないのだ。


「よし!そこだぁ!」


 ちょうどど真ん中。リアのすぐ下まで接近した『奴』を、俺は全力で狙う。

 再び『奴』に箒が迫ったその瞬間、事件は起こってしまった。

 そう、『奴』が飛んだのだ!

 そしてそのまま、「飽きました」とばかりに外へ飛んで行く。

 これで一件落着かと思いきや、『奴』を()りにかかった、その勢いだけは止められなかった。 

 つまりは、リアにぶつかるということ。


「しまっ!」

「きゃあ!」


 ぶつかるということは、押し倒すということ。

 つまり…………


「カ、カナタ……どこ、触ってるの?」

「……っ!これは違っ!」

「違わないでしょ!この……変態勇者ぁ!」


 ドゴォンと、部屋に爆音が響き渡る。

 そして、カナタの平和な朝は、どこかへと消え去っていったのだ。






「そうだ。今日の朝は、あんな感じだった。で、俺は弾き飛ばされた。確かそのときは…………」






 弾き飛ばされた俺は、そのまま池ポチャした。池ポチャというには、小さすぎだが。


「ぶはぁ!ったくリアのやつ!助けてくれっつったのに!何だよもう!」


 俺は、日頃溜まった鬱憤を水に流すように吐き出す。こっちに来てからは、よくあることだ。

 少し落ち着いたので、周りを確認する。まぁなんと!

 ……何もない森だった。


「はぁ。一体ここどこなんだ?」


 見事に迷子になった。

 とりあえず高いところを目指そうか、そう考えたそのときだった。


「ひゃあ!わっ、私の聖域に人が、人がぁ!」






「……あ、あいつが原因だ。」


 やっと気づいた。

 しかしまったく分からない。何が何なんだか。


「あ、やっと起きた。」


 聞き覚えのあるその声に、すぐに後ろを振り向く。

 そこにいたのは、他でもない、その少女だった。


「私の聖域に入ったお兄ちゃん。あなた、何者ですかっ!」


 ビシッとこちらを指さす少女。

 「前にもこんなことなかったか?」とついつい思ってしまう。


「は?」


 だがカナタは、唖然としていることしかできなかった。

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