第14話 昨日の暴露は今日の同盟??
『魔王』ゲイン・ディー。
フィリオンの町のギルドマスターにして、『魔王』の1人。
そんな彼が今、目の前にいる。
明るくて、とても社交的な感じで。
召喚された町からもほとんど離れていない、始まりの町的なこの町で。ましてや、『勇者』が絶対に行くであろう冒険者ギルドで。
何とも言えない微妙な空気が、この部屋を汚染し始めている。
俺もリアも、全く反応できていない。
そんな空気を無視している人物が1人。『魔王』ご本人だ。
「あれ?驚かなかった?僕、『魔王』だよ。『勇者』の討伐対象ってやつだよ。」
平然とした態度をしている。何事も無かったかのように。
そんな態度がちょっとムカついたのもまた事実だが、今はそれどころじゃない。
冒険1日目で、『魔王』というラスボスを目の前にした俺たちには、そんな余裕はないのである。
「ま…、oh。」
いや、余裕がないのは、俺だけのようだ。
「いーねいーね!君は中々面白いことを言うよ!気に入ったよ!もちろん、カナタも驚いてくれたから、気に入ったけどね!」
「あなたも中々ね。私の完璧なシャレを見抜くなんて、いいセンスだわ!」
意気投合する『魔王(元)』と『魔王』。
あっという間に、いい雰囲気になった。
俺がついていけないのもまた、『魔王』の凄さなのかもしれない。そう思ってしまう部分もなくはない。
「リア。お前よく分かってんのか、この状況。」
「ええ。単純に、『勇者』と『魔王』が会っただけでしょ。」
「いや、それが1番の問題なんだよ!この状況自体、あっちゃならない展開なんだよ!てゆーか、この状況を理解しているのは俺だけなのかよ!
ヤバい。イライラする。
ふざけんな、『魔王』ズ!
心も体もツッコミモードに入りながら、この場を全否定する。
いや。全否定させてくれ!
「そんなに問題ある?カナタでさえ、私と会ってたじゃない。」
「そうゆう問題じゃない!戦うわけでもないのに会ってるっていうのが問題なんだ。第一、お前も現在進行形で『勇者』やってます、だろ。」
「まぁ、カナタの言い分も間違ってないわ。でも、『魔王』はいいやつなのよ。私の配下になるのに、ふっさわしいかぎりじゃない!」
「配下かー。僕はそんな性格じゃないんだけどなー。」
軽く受け流す、という言葉がぴったりなほどの勢いで、リアの問題発言を受け流した。
さすが、『魔王』同士。お見事!
「ところでさ。さっき、リアもなんか『魔王』って感じに話してたじゃん。どうなのどうなの?」
「「あ。」」
2人の言葉が同時に響く。
その反応から察したのか、ゲインは「やっぱりかー」と言って、ニコニコしている。
仕方がないので、説明をしてしまうべきなんだろう。
そう言って、真実を話すと、
「いいじゃんいいじゃん!『魔王』が『勇者』に手を貸す大冒険なんて、とっても面白いじゃん!しかも、異世界から来た2人だよ。ちょーいいじゃん!」
なーんて言ってくる始末。
なので逆に、こっちも質問しまくってやった。
「この世界でいい人は?」
「『魔王』!支配はしてるけどね。」
「この世界で悪いのは?」
「クソジジイとその仲間たち。水素原子レベルの小さい器と、プランクトンに勝てないほどの弱さ、それに……(長かったので省略)……を持つクズ軍団とも言えないやつらだよ。」
「俺たちは騙されていたのか?」
「そう。支配欲の塊な『教会政府』が、僕たちを人類の敵扱いしやがったのさ。だから腹いせに、あいつらの町をぶっ潰しまくったよ。楽しかったなぁー。」
「最後に、この世界に生まれた感想をどうぞ。」
「いやー。敵側って扱いされるのは、どうにかしたいなぁー。でも、『魔王』として破壊しまくるのもとっても楽しいや。『教会政府』以外の人たちに祝福を!だね。」
だそうだ。
他にも質問はしたが、面倒だった。……察してくれ。
それでも、この世界の真実には納得した。
まぁ、一言で言うなら、『魔王』っていいやつじゃん、ってことだ。
だが、ゲイン曰く、ここからが本題だという。
「さぁて。じゃあお待ちかねの本題に入ろっか。」
ゲインが話を始める。
「ごたごた言うのも嫌なので、担当直入に言います。僕たち『魔王』に、力を貸してほしい。『勇者』として、そして、『魔王』として。」
ゲインの真剣な表情と言葉に、俺はリアと顔を合わせる。
リアの顔を見るに、答えは1つしかないようだ。
「「この話、乗った。」」
「やったー!」
「ただし!」
リアが何も言わなそうなので、俺が言う。
対等関係でないと、『魔王』相手には通じないかもしれない。
だからこその、こちらからの条件だ。
「俺たちが帰る方法を一緒に探してもらう。『魔王』としての権力を使ってな。それがこっちの条件だ。いいな。」
首をひねりながら、ゲインが不思議そうな顔をする。
何か問題でもあったのだろうか?
「それだけ?他に何かないの?」
「それだけって……。俺たちは帰らなきゃいけないからな。もしかすると、『魔王』さんの力でできちゃったりすんのかなぁ、なんて思ってたんだが。」
「うん。できるよ。」
「ああ、よろしく。」
よかった。これで俺たちは帰れるぜ……
「……って!嘘ォォォォォォォォォォ!?」
「ホントだよ。」
俺は思いっきり声を上げた。それこそ、天の神様のとこくらいまで。
それに対してゲインは、軽く返事をした。『魔王』なのにとても優しい。
「一体誰が?どこのどいつだ?」
「まぁまぁ。それは、交換条件だったんでしょ。一回落ち着きなって。」
「ああ、すまん。つい……な。」
「まぁ、興奮するっていうのもよく分かるよ。……で、どうするの?」
そう言ったゲインは、右手をこちらに差し出した。
もちろん、俺はそれに応えた。
ゲインは嬉しそうに、手を上下させ始める。
「よろしくね。カナタ!リア!」
「ああ。」「ええ。」
かくして、『勇者』と『魔王』が手を組む、斬新すぎる協力関係が生まれたのだ。
そしてこの関係は、ゲインの提案により、『魔勇同盟』と名付けられた。
『魔王』が先なのは、自己主張の強い元『魔王』のせいなんだが、なぜか俺のせいになった。
そして俺たちは、『魔勇同盟』の一員として、ギルド加入の手続きをすることになったのだ。
絶賛迷走中です。
ストーリーは考えてるのに……。
もっと伸びろ!俺の語彙能力!
次も頑張ります。




