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昨日の敵は今日の〇〇??  作者: 蓮野ツバキ
魔王との遭遇編
14/22

第14話 昨日の暴露は今日の同盟??

 『魔王』ゲイン・ディー。

 フィリオンの町のギルドマスターにして、『魔王』の1人。

 そんな彼が今、目の前にいる。

 明るくて、とても社交的な感じで。

 召喚された町からもほとんど離れていない、始まりの町的なこの町で。ましてや、『勇者』が絶対に行くであろう冒険者ギルドで。

 何とも言えない微妙な空気が、この部屋を汚染し始めている。

 俺もリアも、全く反応できていない。

 そんな空気を無視している人物が1人。『魔王』ご本人だ。


「あれ?驚かなかった?僕、『魔王』だよ。『勇者』の討伐対象ってやつだよ。」


 平然とした態度をしている。何事も無かったかのように。

 そんな態度がちょっとムカついたのもまた事実だが、今はそれどころじゃない。

 冒険1日目で、『魔王』というラスボスを目の前にした俺たちには、そんな余裕はないのである。


「ま…、oh。」


 いや、余裕がないのは、俺だけのようだ。


「いーねいーね!君は中々面白いことを言うよ!気に入ったよ!もちろん、カナタも驚いてくれたから、気に入ったけどね!」

「あなたも中々ね。私の完璧なシャレを見抜くなんて、いいセンスだわ!」


 意気投合する『魔王(元)』と『魔王』。

 あっという間に、いい雰囲気になった。

 俺がついていけないのもまた、『魔王』の凄さなのかもしれない。そう思ってしまう部分もなくはない。


「リア。お前よく分かってんのか、この状況。」

「ええ。単純に、『勇者』と『魔王』が会っただけでしょ。」

「いや、それが1番の問題なんだよ!この状況自体、あっちゃならない展開なんだよ!てゆーか、この状況を理解しているのは俺だけなのかよ!


 ヤバい。イライラする。

 ふざけんな、『魔王』ズ!

 心も体もツッコミモードに入りながら、この場を全否定する。

 いや。全否定させてくれ!


「そんなに問題ある?カナタでさえ、私と会ってたじゃない。」

「そうゆう問題じゃない!戦うわけでもないのに会ってるっていうのが問題なんだ。第一、お前も現在進行形で『勇者』やってます、だろ。」

「まぁ、カナタの言い分も間違ってないわ。でも、『魔王』はいいやつなのよ。私の配下になるのに、ふっさわしいかぎりじゃない!」

「配下かー。僕はそんな性格じゃないんだけどなー。」


 軽く受け流す、という言葉がぴったりなほどの勢いで、リアの問題発言を受け流した。

 さすが、『魔王』同士。お見事!


「ところでさ。さっき、リアもなんか『魔王』って感じに話してたじゃん。どうなのどうなの?」

「「あ。」」


 2人の言葉が同時に響く。

 その反応から察したのか、ゲインは「やっぱりかー」と言って、ニコニコしている。

 仕方がないので、説明をしてしまうべきなんだろう。

 そう言って、真実を話すと、


「いいじゃんいいじゃん!『魔王』が『勇者』に手を貸す大冒険なんて、とっても面白いじゃん!しかも、異世界から来た2人だよ。ちょーいいじゃん!」


 なーんて言ってくる始末。

 なので逆に、こっちも質問しまくってやった。


「この世界でいい人は?」

「『魔王』!支配はしてるけどね。」


「この世界で悪いのは?」

「クソジジイとその仲間たち。水素原子レベルの小さい器と、プランクトンに勝てないほどの弱さ、それに……(長かったので省略)……を持つクズ軍団とも言えないやつらだよ。」


「俺たちは騙されていたのか?」

「そう。支配欲の塊な『教会政府』が、僕たちを人類の敵扱いしやがったのさ。だから腹いせに、あいつらの町をぶっ潰しまくったよ。楽しかったなぁー。」


「最後に、この世界に生まれた感想をどうぞ。」

「いやー。敵側って扱いされるのは、どうにかしたいなぁー。でも、『魔王』として破壊しまくるのもとっても楽しいや。『教会政府』以外の人たちに祝福を!だね。」


 だそうだ。

 他にも質問はしたが、面倒だった。……察してくれ。

 それでも、この世界の真実には納得した。

 まぁ、一言で言うなら、『魔王』っていいやつじゃん、ってことだ。

 だが、ゲイン(いわ)く、ここからが本題だという。


「さぁて。じゃあお待ちかねの本題に入ろっか。」


 ゲインが話を始める。


「ごたごた言うのも嫌なので、担当直入に言います。僕たち『魔王』に、力を貸してほしい。『勇者』として、そして、『魔王』として。」


 ゲインの真剣な表情と言葉に、俺はリアと顔を合わせる。

 リアの顔を見るに、答えは1つしかないようだ。


「「この話、乗った。」」

「やったー!」

「ただし!」


 リアが何も言わなそうなので、俺が言う。

 対等関係でないと、『魔王』相手には通じないかもしれない。

 だからこその、こちらからの条件だ。


「俺たちが帰る方法を一緒に探してもらう。『魔王』としての権力を使ってな。それがこっちの条件だ。いいな。」


 首をひねりながら、ゲインが不思議そうな顔をする。

 何か問題でもあったのだろうか?


「それだけ?他に何かないの?」

「それだけって……。俺たちは帰らなきゃいけないからな。もしかすると、『魔王』さんの力でできちゃったりすんのかなぁ、なんて思ってたんだが。」

「うん。できるよ。」

「ああ、よろしく。」


 よかった。これで俺たちは帰れるぜ……


「……って!嘘ォォォォォォォォォォ!?」

「ホントだよ。」


 俺は思いっきり声を上げた。それこそ、天の神様のとこくらいまで。

 それに対してゲインは、軽く返事をした。『魔王』なのにとても優しい。


「一体誰が?どこのどいつだ?」

「まぁまぁ。それは、交換条件だったんでしょ。一回落ち着きなって。」

「ああ、すまん。つい……な。」

「まぁ、興奮するっていうのもよく分かるよ。……で、どうするの?」


 そう言ったゲインは、右手をこちらに差し出した。

 もちろん、俺はそれに応えた。

 ゲインは嬉しそうに、手を上下させ始める。


「よろしくね。カナタ!リア!」

「ああ。」「ええ。」


 かくして、『勇者』と『魔王』が手を組む、斬新すぎる協力関係が生まれたのだ。

 そしてこの関係は、ゲインの提案により、『魔勇同盟』と名付けられた。

 『魔王』が先なのは、自己主張の強い元『魔王』のせいなんだが、なぜか俺のせいになった。

 そして俺たちは、『魔勇同盟』の一員として、ギルド加入の手続きをすることになったのだ。

絶賛迷走中です。

ストーリーは考えてるのに……。

もっと伸びろ!俺の語彙能力!

次も頑張ります。

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