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昨日の敵は今日の〇〇??  作者: 蓮野ツバキ
魔王との遭遇編
13/22

第13話 昨日の嘘は今日の真実??

あけましておめでとうございます。

第13話です。

 俺たちの着いた町、フィリオンはとても素晴らしい町だった。

 町に入ってすぐのところに、道案内を雇うことができるお店があり、とりあえずそこで、今日1日案内してくれる人を雇えた。

 案内してくれるのはグルトさん。彼によると、どうやらティンたちに連絡をとれるのは、伝書鳩ならぬ伝書鷲だけらしい。

 伝書鷲を借りられるお店も紹介してくれたので、ティンたちに手紙をお願いした。スコーンまでは、1週間ほどかかるらしい。

 どうしてここまで1日で来られたかは気にしない。そんなことを気にしていたら、こっちが疲れるだけだ。

 その後も、この町の名所やお店を紹介してもらった。もちろん宿もだ。

 食事に関しては、所持金はあまり多いとは言えないが、半端じゃない量の料理を食べることができた。

 なぜか、この町の物価が安すぎるからである。

 そうして俺らは、無事に眠ることができたのだった。

 ああ、この町最高!




 翌日、俺たちは冒険者ギルドに向かった。

 熟練っぽい冒険者たちの間を抜け、受付に向かう。


「すいません。俺たち冒険者ギルドに加入したいんですけど……。」

「はい、加入ですね。審査がありますので、こちらへどうぞ。」


 どっからどう見ても営業スマイルな受付嬢に案内され、俺たちは奥の部屋に入った。

 審査とかに使われるのであろう器具がズラリと並べられている。


「ギルドマスターをお呼び致します。少々お待ちください。」


 そう言って、部屋を一度退出する受付嬢。

 彼女が出ていったことで、俺とリアが2人きりになる。

 面倒だなぁ、と感じた瞬間、リアが話しかけてきた。


「ねぇ、カナタ。本当にごめんなさい。完全に私のミスだわ。私がもっと正確なナビゲートができればよかったのに……。」


 リアは、しょんぼりしながら、カナタに謝る。


「それは昨日許しただろ。それに俺は、反省が見えないのが心配だ。」


 そう。昨日の夜にも同じことがあった。しかも、ベッドの中で。

 節約のために2人で同じベッドで寝たからこそ、リアの鼓動がしっかりと伝わってきていたのだ。

 それゆえに、リアの気持ちははっきりと伝わっている。

 もちろん、背中合わせで寝た。やましいことは何もない。

 相当落ち込んでいる『魔王』様(リア)を慰める方法など、俺にはまださっぱりだが、それでも今回は、前よりもやさしくしたつもりである。


「ていうかむしろ、俺は感謝してると思う。こんなにいい町はそうそうないだろ。いい経験だ。」

「そう……、ありがと……。」


 控えめなリアも新鮮でいいな、と思っていると、部屋に1人の男が入ってきた。


「やぁ、こんにちは。君たちが新しい冒険者か。よろしくねー。」


 いや、男ではなく青年と言った方がいいかもしれない。とても親しみやすそうだ。


「ふぅん。あなたがギルドマスター?」


 リアが『魔王』様の言葉遣いに。抜け目ない。


「そうですよ。僕はゲイン・ディー、ここのギルドマスターです。」


 軽い口調で答えるギルドマスター。

 逆に、このギルドがちょっと不安になりそうなやつだ。


「俺は御影カナタだ。で、こっちはリア。一応、2人とも『勇者』だ。よろしく頼む。」

「よろしくね、カナタにリア。」


 ゲインと軽く握手を交わす。

 隣で、「一応ってどうゆう意味よ!」って叫んでる『勇者(仮)』は無視しておく。


「ところでさ。君たちが『勇者』っていうのは本当なの?」

「ああ、そうだが。」

「じゃあ、話し合いから始めないとね。とりあえず座って。」


 そう言われ、リアと共にもう一度、ソファーに腰掛ける。

 話のスピードが速く、よく理解してくれているようだ。とても助かる。


「さぁて、まずは僕が質問していくよ。」


 ゲインも反対側に座る。

 ちなみに、王様っぽいいすだ。


「君たちは、糞爺(クソジジイ)に騙された『勇者』さん。間違いない?」

「ああ、『勇者』であることは間違いない。だが、騙されたってどうゆうことだ?」


 騙されたという言葉に、少しばかり違和感を感じる。

 クソジジイっていうのは、爺さんで間違いないだろう。……たぶん。

 だが、騙されたってことに関しては、ちゃんと聞いておかないとな。

 なにせ、俺たちはこの世界に来たばっかの人間だからな。


「そのまんまの意味だよ。君たちは教会に利用されているだけなんだよ。」


 簡単なことだよ、と言わんばかりの顔で、はっきりと言い返す。


「なーに、君達でもすぐに分かるよ。簡単なことだよ。」


 マジで言いやがったコイツ。

 心の中でツッコミを入れながら、話を聞く。


「あの(ジジイ)の言っていることは間違っているんだ。この世界で悪いのは『魔王』じゃない。真の悪は『教会政府』の方さ。」

「『教会政府』?」

「ああ。あの(ジジイ)のいる、ハイエナの群れみたいな組織のことさ。だいたいみんなそう呼んでる。」


 『教会政府』。まさにぴったりな名前だ。

 あれだけの人数がいながら、一部の人間がいい生活しているみたいだったしな。

 爺さんのやつも、少しわざとらしかったし。


「そーんな『教会政府』さんは、この世界を支配するために『勇者』を召喚してるのさ。まぁ、ほとんどが失敗するらしいけどね。ザコだから。」


 笑いながら、淡々と話すゲインを前に、俺らは唖然としている。

 もうこれ以上、ツッコミ担当でも耐えられそうにない。


「おいおい、冗談はやめろって。面白くないからよ。」

「これが冗談に思える?」


 俺の言葉を無視するように、そして、威圧するように告げられた。


「まぁ、証拠不十分ってこともあるよね。だったら、これでどうかな?」


 胸元のポケットに手を入れ、そこからバッジのようなものを取り出す。

 不敵な笑みを浮かべながら、彼はもう一度自己紹介をした。


「改めて自己紹介です。僕はゲイン・ディー……」


 その(バッジ)から、謎に満ちた気配を感じる。

 強く、優しく、恐ろしい、そんな気配……。

 そう。まるで、リアのような。



 ん?リアのような?

 それってまさか……。


「『魔王』だよ。よろしく!」

やる気MAXです!

どんどん書いていきます。

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