第12話 昨日の迷子は今日の迷走??
新章開始です。
道。
それは、人にとって素晴らしいもの。
時に人を導き、時に人を苦しめ、また、時に人をさらなる未来へと連れて行ってくれる。
試練とも言えるそれは、人にとって不可欠でもあるのではないか。
そしてまた、数々の苦難を乗り越えたからこそ、旅立つことができる。
旅立つまでのステップをふまえることも、ある意味では道と言えるだろう。
とある1つの奇妙なパーティも、今現在、道というものに苦しめられている。
「……はぁ。」
もう何度したかも分からない溜息を、また1回、また1回とつき続けている1人の旅人。
旅立つ前も、十分と言えるほどついてきたというのに、記録を更新している。
溜息なんかと戦いながら、ひたすらに道を進むその旅人……、もとい『勇者』。
御影カナタは、疲れ切っていた。
「……おい。この道で本当にあってるのか?」
カナタが後ろを歩く『魔王』様に質問をする。
『魔王』というのは、異世界での話なのだが、カナタにとっては永遠なる『魔王』様なのである。
「ちっ、地図も貰ったんだし。間違っているはずがないわ……よ。」
リアは不安になりながらも、自分が正しいと主張する。
もちろん、『魔王』としてのプライドが、「間違い」を認めるはずはないが。
2人は今、スコーンという町を目指している。
スコーンの町は、彼らが召喚された町から北へ約50キロメートルほど。聞いた話によれば、冒険者ギルド1号があるらしく、冒険者の町なんて呼ばれているらしい。
なぜ、この2人がスコーンを目指しているかといえば、残りのパーティメンバーに関係がある。
2人は『勇者』として、この世界に招かれた。そして、ニセ忍者その他2名がすぐにパーティに入ることになった。
しかし、どいつもこいつも問題だらけな状況なため、2人と別行動しなければ、最悪の場合、全員が犯罪者になってしまうのだ。
そのうえ、犯罪者も程度によって即刻死刑。
そんなバッドエンドにならないためにも、他のメンバーが先に、その町に向かったのである。
「爺さんの話だと、もう到着予定時刻なんだけど……。そろそろ俺が地図を…、」
「嫌っ!私は間違ってないもんっ!」
もはや『魔王』様もお手上げ状態。一体どうすれば……、とカナタは思う。
相手は『魔王』様。下手に失敗でもしたら、「この世界滅ぼす」とか言いかねない。そんなこんなでカナタは動くに動けない。
それなら、と、カナタは必死に考えているのだが……。
「あのなぁ。いい加減俺も疲れてんだよ。こんなに長い時間、お前の茶番に付き合ったのに、そんな言い方はないだろ。むしろ感謝しろ。」
カナタ、30回目ぐらいの挑戦。果たして結果は……。
「感謝ですって!それはこっちの台詞よ!こんなに華憐で美しい、可愛さ100%の美少女とずぅーっと2人きりだったのにっ!」
「それは自分で言ったらアウトだろ!」
そう。こうやって言葉が、何度も跳ね返されるのだ。しかもカナタは、毎回ツッコみ返している。
カナタの努力と涙、そしてその他何だかんだが、ツッコみに詰め込まれているのだ。
だが、結果は何回やっても同じ……というか、絶賛悪化中。逆効果でしかない。
「いい。私の道案内はベリベリグッドなの。分かる?」
リアがカナタに問う。
「いーや、全然。逆だろうと思ってる。着くはずがないと……」
その時だった。すぐ目の前に町が見えてきたのは。
「マジか……。」
「ふふーん!見てのとおり、着いちゃっいましたけど。これでも私に文句ありかしら?」
リアは誇らしげに言った。
「いいや。俺が悪かったよ。」
カナタも、これではさすがに認めざるを得ない。
そんなカナタを見て、リアはここぞとばかりに攻め込んでいく。
「じゃあさ。何かしてくれてもいいんじゃない。『魔王』様のお導きに感謝することは、とっても大切だと思うんですけど。」
上目づかいでカナタに話しかけるリア。これにはカナタもたまったもんじゃない。
「分かったよ。何か奢ってやるから。」
仕方がない、と言わんばかりの表情で返事をする。
それを見て、リアは少しばかり嬉しそうだ。
「分かったわっ!楽しみにしとくっ!さぁさぁ、カナタ。早く町へ行きましょ。」
最終的に町に着くことができてよかった。何が何でも、『魔王』様との野宿は避けなくてはならない。なぜなら、いろいろ危険だから。
そんなことを考えながら、町に入っていく2人。
そして……、
「おい、リア。」
「ん?どうかした?」
「これ見ろ。」
カナタが指差すのは、この町の看板。
そこにはこう書いてあった。
~生と死の町フィリオンへようこそ!やさしい人々があなたを癒します!~
「……結局、」
カナタの中で何かが切れた。
「間違ってんじゃねーか!」
残念ながら、ちょっとの間、他の3人は出ません。
次回、急展開……かもしれない。




