第1話 昨日の喧嘩は今日の召喚??
初投稿です。よろしくお願いします。
これは、とある世界で起きてしまった偶然の産物なのである。
どこの誰も望まない……。いや、それこそ1番の被害者は俺たち2人だろうか?
正直なところ、こんな事態が起こることがおかしい。
なんなら、神様で定例会議を開けばいい。うん、それがいいんじゃないか?
そうだったならば、俺だって……。
え?どうしてこんなに嘆いているかって?
そこまで聞きたいのならば仕方がない。語ろうじゃないか、俺たちの冒険を。
お前ら、心の準備はできたか?
せめて語り継いでくれるぐらいはしてくれよ。
これは、ある世界に召喚された『勇者』と『魔王』のお話だ。
柱と柱の間から、神秘的な光が差している。
神柱と呼ばれるこの場所は、その神々しさから神聖な場所とされている。
普段では賑わっているというのに、今この場所には、誰も寄り付かない。
なぜなら、そこには『勇者』と『魔王』がいるからだ。
辺りを見渡しても、そこにいるのはたった2人だけ。
黒い髪と白い髪、剣と魔導書、2人は正反対とも言える存在に近い。
その内の1人、御影カナタはキレていた。
「なぁ、自称魔王さんよ。いい加減にしろってんだ。こっちはもう我慢の限界なんだ。」
「そう言われても、魔王と呼ばれるからには、魔王としての覚悟ってやつがあるのよ。」
「そうかそうか。なんなら魔王辞めてみればいいんじゃね。そしたら案外モテるかもな。」
「ふぇ?」
『魔王』さんの"情けない声"。カナタにクリーンヒット!
2人に数秒の沈黙が……。もちろん、2人だけなので誰の声もしない。
「そっ、そこまで言うなんて聞いてないわよっ。」
「はい?」
「だって……、そうゆうことを……、想像し……。」
『魔王』の顔は真っ赤っ赤。ツッコまずにはいられな~い。
「はいそこ!」
「ひゃい!」
「……もういい。ツッコむレベルじゃない。だいたい、その反応はおかしいだろ。」
「どこがよっ!私は『魔王』よ。受け付けないツッコミはないっ!」
「おい!その言葉、どこで知ったんだよっ!勝負の時のシリアスモードを返せ!返しやがれ!」
無意味な言い争いの中で思う。なぜいつもこうなるのか、と。
行くところには必ずいる。コイツがいる。
ふざけんな!今まで何度邪魔されたか。
俺がここに来てからずっとだ。
『勇者』として召喚され、この世界に来た時の期待を返せ!
そんな事を考えていると、遠くの方から声が聞こえてきた。聞き覚えのある声だ。
「カナくぅーん!」
「やっと来たか、桃香。」
その少女、斎藤桃香は、長い茶髪を揺らしながら走ってきている。……ものすごく遅いが。
「もう!なんで手紙を残して置いて行っちゃうの!私、仲間だよ。」
「寝坊したお前が悪い。5、6回……いや、もっとだ。俺は起こしに行った。」
「だからってぇー、置いて行かないでよー。」
「甘えんな!起こそうとしたら、艶めかしい声出したのは誰だよ!」
「ありゃりゃ。そりゃだめだ。」
「納得したなら行動しろよ!早起きしろよ!」
「了解しました~。」
「おい、反省してねぇな。」
桃香はユルい。ゆるキャラだ。運動音痴や寝坊癖がその証拠だ。
なのに、どうして大きいのか。ただただ大きい。その魅力に、俺は勝てない。
「あのさぁ……、いつまで待たせるの?」
「お前が冷静になるのを待ってたんだよ。」
「私はいつでも冷静よ。テンパったりしないっ!」
「だから、どこで知ったんだよ。まぁいい、今度は本気だ。」
「そっくりそのままお返しよ。手加減なんてしないっ!」
……今度こそ、仕留めてやる。剣を構え直す。
そしてそのまま……切る。
その瞬間、『勇者』と『魔王』は光に包まれた。
見覚えのある光だ。そう……これは……。
「嘘だろ……。おい、またかよっ!ふざけんなぁー!」
叫びながら、存在が移り変わっていく。
こうして、『勇者』と『魔王』は消えていったのだ。
異世界の魔法陣の中に……。
2週間くらいに1回は更新できるように頑張ります。
遅れてしまったら、ごめんなさい。
追記・設定のために、本文に内容を追加しました。