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プロロゴス
壊れないように
落とさないように
大切に
大切に
両手で抱えて温めていたもの
スノードームのような
丸くキラキラしたその宝珠は
あの方の宝物
何よりも優先して
何よりも愛を注ぎ
何よりも守り
育て育み見守った
空間が引き裂かれるように
甲高い音がして
それは・・・
砕け散った
「あぁ大切なものを手放したら」
「僕の両手はこんなにも自由だった」
それを眺める一人の若者
短的に言えばだが
『ジジイめまた飽きやがった』
言葉には出さないのだが
「どうかなさいましたか?我が主よ」
「砂か 悪いが今回は見てきてくれんか」
「すべての破片にでございましょうか?」
「いっそすべてを塵に変え掻き集めましょうか?」
「いやいい悪かった下がってよい」
「畏まりました我があるじさま」
『どっちみち尻拭い確定だけどな』
こうして始まった世界の終わりは
始まったばかりでした
その時はまだ
こんな事になるとは
誰も思わなかったのです