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暑い日

 八月の晴れた暑い日だった。少し先にたつ時計台は十三時すぎを指している。ちょうど強い光が刺されるくらいである。オオバコ・ハルカはその眩い陽射しから逃れようと、建物の陰に入る。しかしながら、相変わらず照りつける光量は大して変わらない。

 目前の少し高いビルディングへ、避暑しようとそそくさと入る。さすがに直接熱気を受けないからか体感温度は下がるものの、大して性能の良くない冷房が申し訳程度に効いているだけである。湿度が低いだけでこうも変わるものだと思うと、如何に気象が異常であるかを体感させられてしまう。

 先述ビルディングと呼称したのは単にここには『ビル』という言葉が普及していないだけである。もしくは他のビルと区別すべき建物であることもあろう。

 ビルディングの玄関正面には五枚ほど、横一列に丁寧に貼られたポスターがある。その内三枚ほどは大きく目が一つ描かれた――――初老の眼力の強い男性のものに見える――――もの、他はそれこそ五十くらいの眼力の強い、顔彫りの深い男の顔が大きく描かれたものである。そのどちらにも赤黒い文字で「WATCHING」と、まるで脅しつけるように書かれていた。この建物は紛れも無くそういう建物なのである。疑う余地はなかろう。オオバコはいつものように職場に向かうためにエレベーターへと乗る。その正面にも例外なく、あの忌々しい「WATCHING」が貼られているのである。

 実はこの建物の不気味なところはそれだけではないのだが、すでにそれは慣れてしまったことである。それこそそこら中にある「Cam TV」とか言う監視カメラで四六時中監視されているのもいつしかなんとも思わなくなっていた。


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