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45.お地蔵さんを探せ

 流産してしまった私、安静の私。処置の次の日は安静をと言われまして、またベッドの住人に。

 子供は義母に預け、寝たきり状態です。食欲もないし、ゼリー飲料で過ごしました。

 妊娠7週での流産って、今回はなんか周期がずれたな、ちょっと重いなあ生理、位の出血と痛みでした。生理周期が乱れ気味の方なら、流産って気が付かない位かもしれません。けど、通常の生理より血の塊が大きかったような気がしますが。

 とにかく何にも考えたくなくて、その日はボーっと過ごしました。


 しかし、感傷にばかり浸っているわけにもいきません。1日過ぎたら、今生きている子供の相手をしなくては。

 これ、最初の子供が流産だったらものすごいダメージだと思いましたね、つくづく。

 幸い私は子供がすでにいましたから、まだ落ち込みがそんなでも無かったのじゃないかと思います。育児はほとんど待ったなしですから、そんなに長い事落ち込んでる暇が無いですからね……。

 しかし、どうして流産するのか、したのか、気にはなります。で、色々調べてみました。


 妊婦の10人に一人は流産経験ありとは聞いていたけど、詳しくは知らなかったので。

 「流産」とは、妊娠22週に至らない段階で、妊娠が終わってしまうことを指すらしいです。何らかの原因で妊娠の継続が困難になり、お腹の中の赤ちゃんが育たなくなってしまった状態で。人工的に流産を起こす「人工妊娠中絶」を除いた、自然に起こる流産すべてを「自然流産」と呼んばれるらしいです。自然流産の約80%は、妊娠12週までに起こる初期流産だとか。 

 私は、初期の初期ですね……。

 自然流産の原因の多くは、受精卵の染色体異常らしいです。染色体に異常があるために、十分に育つことができずに流産になってしまうのです。つまり、受精した段階で流産することが決まっているともいえるとのこと。あと、母体が高齢になればなるほど遺伝子異常卵子の確立が高くなり、流産率が上がるって……。その時ギリ30代。もともと高齢出産の年は過ぎてるんで納得の内容ではありました。


 私は不全流産と診断されていましたが、一部が子宮内に残るのが「不全流産」だったらしいです。不全流産の場合には入院して、子宮内除去手術を行うことになるとのことですが、出血し出したらすぐ病院に行ったんだから、不全で決まってる。自然に全部排出させるんじゃなく、すぐ処置って事になってたけど、これ、実は体に負担がかかるらしいです。自然に任せれば内容物が出来るのに時間が掛かるし、いつまでも一部が残って痛みが残る場合もある。処置は負担がかかるけど、すぐに子宮がきれいになって、一月お休みを開ければ、また妊娠できる体になる。

 どっちがいいかは一概に言えないけど、実は処置と自然に任せること、どっちがいいか患者が選ぶことが出来るらしいです。私はそういう説明とか受けず、有無を言わさず処置されたんだけど……。まあ、先生が年齢が高い病院だったし、手っ取り早い方が良いという意識だったのでしょうけど、なんか嫌な感じが残りましたね。


 で、色々知って、しょうがない事だったと知りはしても、心はそこまで割り切れません。

 割り切れない思いはどうすればいいのか?


「お地蔵さん買っていい?」

「ああ、いいよ。」


 水子地蔵を買うことにしました。心臓の音も聞けない内に亡くなった子ですが、やっぱ供養はしてあげたい。

 ちなみに、結構勘違いしてる方が多いですが、お地蔵さんは女性、観音様は男性です。だから水子はお地蔵さんが世話してくださるんですね、育たなかった子供を代わりに育ててくださるあの世の母が水子地蔵様です。とはいえ、仏は性別を超えているという意見も有るので、しっかりはっきり男女の別はなく、女性性、男性性の象徴って感じでもあるようですが、お地蔵さまは女性性の象徴の仏さまで母性の仏さまなんですね、ですから水子地蔵様がいらっしゃる。


 それで色々通販サイトをめぐってみました。

 本格仏像が良いのか、ゆるキャラ的お地蔵がいいのか、石か、陶器か、はたまた縫いぐるみか。

 検討した結果、本格仏像はあまりにも流産を主張しすぎるような気がして、却下。石は一番小さいやつでも30センチとかで大きすぎで却下、縫いぐるみ却下。

 赤ちゃんを抱えている陶器の可愛いお地蔵さんを見つけて、大げさすぎもしないし、陶器で小さ目で控えめでしたし、初期で亡くなった子には合ってるんじゃないかと思い、それにすることにしました。

 届いてから、ろうそくとお線香、お菓子をお供え。


 手を合わせて、ようやっとなんかひと段落した、落ち着いた心持ちになったのでした。





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