第9話 やっと憂鬱からの解放
徹さんから、連絡が有った。
以前、お願いしていた、鉢巻の呪文の解析がやっと終わったそうだ
皆に集まってもらう事にした。
徹さんは、興奮気味で
「この呪文は魔人語で解析にはすごく手古摺った、
まず、見たこともない呪文だし資料が少なすぎる
古文書を片っ端から調べてそれでも解らない
ヒントになったのは猛君の屋敷にある妖魔から作ったと言う鏡
其れを作った人を調べて、もう亡くなっていたのだけれど
その人が残した書物を頼りに検索、思索してやっとだったよ」
。。はぁ。。と徹さんは興奮した呼吸を整え
「凄いんだぜこれは、
これは魔人の行動を止めるだけでなく、魔人を従える呪文だと言う
また布にも、妖術遮断の素材が織り込められている、すごい物だ
これを量産出来たら、妖魔の群れの中に入っても、きっと大丈夫なはずだ
きっと!。。。」
そうだったのか、この鉢巻と銀のネックレス、腕輪、足輪が有ったので
俺はザブルスに勝てたと言えるのか、この魔道具は曾祖母が大切にしろと
言ってたのが頷ける、ネックレスは気にいったのであれからずっと付けている
得意満面の笑みで、色々と熱っぽく語る徹さんを初めて見た。
それほど凄い発見なのだと、徹さんの様子で解る。
大和さん、武さんから、よくやったと、揉みくしゃにされて
嬉しそうな徹さんだ。俺も徹さんって優秀なんだなと
改めて思った、良い人が仲間でよかった。
生地の複製は時間がかかりそうだが、呪文は即使えそうだ。
妖魔とも戦いやすくなる、
引き続き徹さんに、研究と皆が持てたらいいので複製作れないかお願いした。
徹さんは「まかせとけ!」と意気揚々だった
最近いい事が無い中、これはトップニュースだ。
皆も喜んでいる事が嬉しい。
ふと、ザブルスはどう思っているのだろうかと頭をよぎった。
その後、俺は柿原洋一郎さんに連絡をとった
あの外人の事の報告と対外国の影の情報を聞けるかも知れない
柿原さんは、直ぐにスケジョールの調整をして
明日、会おうと言ってくれた、忙しい人なのに直ぐに対処して
くれたのが嬉しい
場所は以前と違う場所を指定された
やはり、国の要人ともなると、同じ場所では何かと
都合があるのだろう、
18時約束の場所に向かった
驚いた事にそこはライブハウスだった
えええ?間違ったのかな?と思っていると
「猛さんですか?」と、頷くと
「こちらへ。」と案内された。
はん!。成程もし付けられていたとしたら俺なら、ライブハウスだと
納得する
裏に抜けると、車が待機しており
そこからまた30分ほど走り
とある店に車ごと入った、凄い警戒だ
案内された先は、店の奥の個室
すでに、柿原さんは来ていた
彼は防衛庁の副次官、他国の情勢にも詳しい
俺は、一昨日俺に起こった出来事を話した
柿原は眉を顰めて俺の話を聞いていた。
やがて
「考えられるのは、某国が超能力の研究に
力をいれているが、どうやら日本の安部家に関心を抱いたようで
かなり調べているようだ
外務省を通じて、猛に接触したいとの事だったが国が間に入るのも
可笑しなもので安部家の潜在力を、よその国に教える事も憚る
個人的な事で、国は一切何も知らないと突っぱね断った。」と言う事だった
柿原は、俺が破壊した敵のアジトの事に関しても知っていたが「極秘事項」として
外部に漏らされる事はなかった。
だから実力行使で俺の頭脳解析に拉致ったのか。
某国は優秀な博士が病気で亡くなる寸前、頭脳を取りだし
コンピューターに接続し研究していたが、3年ほどで
その頭脳も死滅したらしい。
その3年間の間に、かなりの研究成果はあったと聞く
博士の頭脳は、国にとって重要なものであったのだろう
人間の内面への研究は素晴らしいものだが、
しかし、その研究は神への冒涜ではないかと俺は思った
いくら優秀な頭脳でも、取り出してコンピューターに接続とは
ホラー映画じゃあるまいし
その博士の事を想像して、俺は吐き気を覚えた
俺も、そうするつもりで拉致したのか、いや俺はそこまで優秀ではないが
興味をそそられる素材として見られているのだろうか?
何だか、俺は大変な事に巻き込まれそうな、巨大な見えない組織に
恐怖を覚えた。
今後も俺に手出しするなら徹底的に倒す、容赦はしない
人間相手には、少々抵抗はあるが、掃除しなければいけない輩だ
悪に対しては、徹底的にやってやる!
柿原は、俺の事に関しては、警察を抑えるがマスコミは抑える
事が出来ない、くれぐれも、事を起こす時は、内密に頼むよ!と
しれッ。。として言ってのけた。。。。
裏で柿原さんが動くとばれたときに、政治生命が危ぶまれる
まぁ面倒な事には我関せずと言ったところか。。。
これから、どう対処していけばいいのだろうか
相手が大きすぎる、俺にちょっかいを出して来る分には
叩き潰すつもりだ。
柿原と飲みながら話をしていると柿原の電話が鳴った
秘書からの電話だった。某国の要人からだと言う
どうやら俺に謝罪をしたいとの話だそうだ
罠ではないのか? 疑心暗鬼になっている
柿原の話ではその人物は信用の出来る人で柿原の友人だそうだ
数日後彼に会った、誠実そうな紳士だ
彼はまず俺に謝罪した。
いやいや、あんたじゃないからそんなに謝罪しなくても、と
思った。
彼の話を要約すると、一人の博士が病気で長くないと解ってから、
医学の為に研究していたが、研究半ばを嘆き
自分の頭脳を残す方法を研究開発した、一端は成功したように
見えたが、やはり神への冒涜だ、その頭脳が耐えきれない事が
安部家への執着となって、今回の挙行に及んだと言う話だった
「なぜ?俺に執着した?」と聞くと
彼は憑依をしたかったのじゃないだろうか。
健康な身体に憑依して自分の研究を続けたいという
実際に彼の研究は素晴らしいものばかりで
医学は彼のおかげで随分向上したのだそうだ。
博士の目指すものが、皆の病気の為から自分の余命延長に
なったところからデスエンドになってしまったのか
彼の話によると、博士の組織は当局からも危険な組織と
マークされていて、俺が爆発させた後に、組織を壊滅したとの事だった。
そうなのか、安心したというか、可愛そうな気もするが
反社会的なことはやはりいけないのだ。




