第7話 猛反省する。
今回、短いです、ごめんなさい。読んで下さった方には
感謝です。
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ってか、ザブルスから話を聞いてから、俺の心はざわつく
やつの目論みの通りだったら、俺が死んだら、安部家は断絶じゃないか
しかも俺の身辺全て、ザブルスに筒抜けだし
ザブルスが俺を倒す機会を狙っているのだとしたら。。。。
しかし、そうだったら俺に話さないだろうし
まだ、ザブルスの事は詳しくは解って無いのが現状だ
屋敷に帰ってからも、悩みは尽きない。
台所では、はるさんとかおりが夕食の準備をしている
二人の話声が小耳に挟まる。
「最近の猛様、何かあったのでしょうかね、何だかイライラしている
様に見受けられますが。」
さすが、はるさん、普通に振舞って居るのに鋭い。
二人に気ずかれないように、書斎に向かう
こうして居ることも全てザブルスに見通しならばたまったものじゃない
こんな状況が以前にもあったのかどうか妖魔の事を調べよう
書斎は天井が高く、広く本屋かと思うほど、ビッシリと大量の本が収納されている
映画で見るような、ローラー付きの梯子まであって、かなり上段の本も撮れるように
なっている、古い皮表紙の分厚い本が並んでいる。その中に何冊か気になる本が
有ったので、机に持って来て見ていた。
その1冊には憑依と書かれていた。
はるさんが食事の準備が出来ましたと入って来たのも解らない位に
没頭して読み耽っていた
食事が終わってからも書斎に籠っていたら
いつの間にか、かおりが入って来ていた。
俺の背中からそっと抱きつき、
「ザブルスなら大丈夫よ。」
「ええ?なに?解るの。」
「今、魔界に行ってる。人間でいうところの睡眠なの。」
「1日4時間位、行ってるわよ。」
「そして、ザブルスは敵じゃないわよ。」
「それは解っているが、真に信用出来る奴なのか、解らん!」
かおりが、俺の知らないザブルスの事を言うので、本に目を落としながら
苛立って言ってしまった。
本当は解っているのだが、やはり魔界の妖魔の言った事が気にかかるからだ。
「そんなにイライラしてたら、何も教えてあげないんだからね
バカ、この、頑固者、ハゲ!」
バン!と扉を開けて出て行った。
「な。。な。。ハゲって。。。」
あんなに怒ったかおりは、初めて見た。
そりゃぁ、認めるよ、ザブルスに嫉妬のような感情が無いとも
言えない。その一端は、かおりにも有るのだ。
それなのに、さっきの言動だ。 クソ! 何がハゲだ!!!!
俺は、ちょっと頭を冷やす為に、ドライブに出かけた。
11時過ぎからのドライブは、車も少なく、この辺りは信号も
街灯も無いので、走りやすい、階下にはネオンが輝きとっても綺麗だ
車内は軽快な音楽が、モヤモヤ気分をふっ飛ばすようにガンガン鳴っている。
気分はハイテンションとばかりに、車をすっとばす。
2時間ぐらい、飛ばしていただろうか
古いトンネルを抜けたあたりから、なにやら様子が一変した。
かなり濃い妖気が漂っている。
ヤバイ気がする。戻ろうとしてユーターンしようとしたら
濃い霧に包まれ視界は利かない、此処は山道でガードレールもない
ちょっと間違えば、深い谷底に落ちてしまう様な道路だった。
霧に遮られる視界を必死で捕らえようと、そろそろとバックする。
途端、ドン! とボンネットと屋根に大きな音がした。。。なに?
ワラワラと大量の霊に取り付いた妖魔達だった。
棲様じく恐ろしい顔をした、大量の妖魔が、窓にも張りついて、今にも窓をたたき割りそうな
勢いに、恐怖の声をあげていた。孤独の中の恐怖。
自分が呪術を使える事も、式神を使える事も忘れ
ただ、絶叫していた。
「・・・・・猛・・・・・猛・・・・・しっかりしろ!。」
その声で初めて我に返った。
俺は、呪術を使い、式神を使い、車に覆いかぶさっていた沢山の妖魔を
薙ぎ倒し、薙ぎ払い、命からがら逃げてきた。
屋敷に着いてからも、ガタガタと身体が震え、暫くは車から降りれなかった。
あの声は、確かにザブルスの声だった。。。。。
ザブルスの声で助かったのだ。無様な俺だった。
俺は、何をいい気になっていたんだ。
安部家の当主となって、立派な屋敷も手に入れて政界の大物とも会見して。
でも、一人では、何一つ出来なかった。
ハンドルに頭を擦りつけ信頼関係の安部家をと言いながら内心天狗になっていたんじゃ
ないかと、ハンドルに頭を付けながら深く反省をしていた。
「ガチャ。」車の扉が開いた。
「うわぁ~~。」
瞬間、俺が絶叫した。
見ると、かおりが、ニコニコして 「お帰り。猛。」と
その後ろには、ザブルスもいた、俺は気恥かしかった
かおりに手を取られ、今日は3人で仲良くしよ!
ん?これって、もしかして、かおりに、はめられた?
まぁいいか。ザブルスの声からは、暖かさと安心感が伝わってきた。
3人も悪くない。うん。悪くない。