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第5話 曾祖母の友人

政府からのお客様を、お迎えする為、服装を整えておく

予定では、今日の15時に、来るそうだ。

はなさんは、庭の掃除で、慌しく動いている

庭は広いそして一番目が行くところだ、はなさんご苦労さん。


かおりは、長い廊下を雑巾がけしている。

タタタタと速い、形のいいお尻がプルンプルンしていて可愛い

尻尾でうまくバランス取っている。

俺が見ていると、ニマニマと笑った。


「かおり、尻尾が出てる。」

「あら。キャハハハハ」と明るい。


そのうちに、はなさんにも見つかっちゃうな。

かおりの事、先に話しておいたほうがいいな

我が家は俺が守る。その為には隠し事は、無い方がいい

はなさんは、いい人だしきっとうまくいく

うん。そうしよう、それがいい。


俺は、大和さんに連絡を取っておくことにしよう。

会見になったら一緒に来てもらったほうがいいしな。


チャイムが鳴った、来ようだ。

俺は鏡を一瞥して、急ぎ足で玄関を抜け、門を開けて迎い入れた。


運転手は車に残り、若い美しい秘書が門の前に立っていた。


「ようこそ、おいで下さいました。安部猛です。」

秘書の方は、驚いた様子で名刺を出し

「はじめまして、柿原洋一郎の秘書の湊紀子と申します

失礼いたしました。お若いので、ビックリいたしました。

お婆さまの、安部康子様とは、何度か柿原と

お目にかかった事があるのですが康子さまは、お気の毒でした。

もう落ち着かれましたでしょうか?」

若い俺に、言葉を選んで話して来る、家に招き入れようとしたが

柿原の伝言を伝えに来ただけですから」と遠慮された。暫く話をしたのち

今夜、柿原が食事をご一緒にと申しておりますがご都合は

いかがでしょうか。

今日の18時にお迎えにまいります」と。

内心、心細いので会見に向かうのは2人と、伝えておいた。




* * * * *


18時きっかりに車が来た。

大和さんと迎えの車に乗った

大和さんは、緊張しているようだ。

俺も緊張している。

何をどう話したらいいか解らないし

まぁ今日は、向こうの話を聞くと言うことで、即答はしない

大和さんと、その点だけ確信しておく。


料亭に着いた、竹林の中の古風な高級料亭だ。京都を思わす感がある

おかみさんと数人の仲居さんが、出迎えている

竹細工の灯楼や提灯、暖簾などがじつに和ませる空間を作っている

個室に案内された。

柿原洋一郎はまだ来てないようだ。

部屋にも、竹細工がふんだんに取り入れられており

掛け軸も細く裂いた竹を織り込んだ作品に見入っていると


おかみさんに、案内されて柿原が入って来た

俺たちは、居住まいを正した。

「あ。そのままで、私は柿原洋一郎です

君のお婆さんには、懇意にさせて頂いていました。」

先に挨拶されてしまった。屈託のない笑顔に少し安心した。

「今日は、お招きいただきまして有難うございます。

安部康子に代わりまして頭首になりました。安部猛です。

こちらは曾祖母の友人の大川大和さんです。宜しくお願いいたします。」


「まぁまぁ今日は、無礼講なので、かたぐるしい事は抜きにして

君の事もよく知っておきたくってこうした席を設けました

大いに食べて、飲んで下さい。」

柿原の合図でコース料理が次々と運び込まれてくる

どれも見たことがない位豪華なもので

メインデイッシュは但馬牛のステーキだ

それも目の前で焼いてくれ

口に入れると溶けてしまと言う表現がピッタリするほど

美味しいA5ランクの肉だそうだ

俺も大和さんも舌つずみを打った。

其れからは、お婆さんの話で盛り上がった。昔は美人で人気があったそうだ

お婆さんの数々の武勇伝を膝を叩きながら巧みに話す、柿原に聞き入り、心地良かった。

お互いの共通点は、曾祖母なのだ、そこからなら話が入りやすい。

大和さんも曾祖母と砂漠で盗賊と戦ったことを上機嫌で話しよく飲んでいる

「え?その話し初耳だわ。」

柿原と言う人物は、うまく人の心を掴む人だ

次期大臣との噂も頷ける。


その後、柿原から、某国は頭脳解析の研究が進んでいるようだが君は

どう思う?と話を振られた

そら、来た!。。。思惑が見え隠れするじゃないか。。。

「よく解りません。」と答えた。

「まだ若いから関心は無いか。」

「人間の頭脳への探求は歴史にしてはまだ始まったばかりだが

深層心理は実に興味深いものが沢山ある、世界の研究は宇宙と

人間の内面に向かっている。」と力説していた。


ゾクッとした、かおりも貴重な10年を、研究対象になっていた被害者だった

柿原はその事を知っていての事なのか?関係者なのだろうか?

公表はされていないが、浜辺での鬼との戦いもどこまで

知っているんだろう?

今日はそのことを聞くために呼んだのだろうか

かおりの事に関しては、迂闊には話せないと直感した。

かおりは、10年間植物人間状態で生きていることをも知ってもらえず

ただ、研究対象として実験材料として扱われていたのだ

その間の絶望と恐怖は計り知れない

二度とそんな思いはさせない。


柿原は俺達から何か情報を聞き出そうとしているに違いない

今日は、もう早々に切り上げるべきだ。

大和さんに、目くばせをしておく。。が。。。

あら、大和さんの顔が赤い、目も据わっていて酔っている。

見ると大和さんの横に大量のビールビンいつの間に、これだけ

飲んだのだろう、俺のサインも解らぬほどに。。。

大和さんが酔っ払ってしまった事を理由にお暇することにした

足はすでに、真っ直ぐに歩けないほどになっている

俺は、大和さんを抱えるようにして車に乗り込んだ

車が発進すると

「ふう~~~」と、深いため息、緊張の糸が解れた。



俺は柿原という人物に思いを巡らしていた。

こんな大物との人脈も大事にしていきたいとは思う

敵には回したくない人だが

俺たちの生活を脅かすようなら吝かではない



俺は、今の生活を守る! かおりを守る!

例え相手が曾祖母と親しい人であっても巨大な組織であっても

俺は、闘う!  正義と信念を持って貫く事を堅く誓う!



俺の思いとは別に大和さんは、車内で大いびきで寝てしまった。

大和さんの顔を見て思わず苦笑してしまった。

まぁ大和さんのおかげであの場を退席することができたのだから

大和さん、愛する、よき人物だ、俺は、いい人に囲まれ幸せだなぁと思った



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