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『無色の虹』  作者: 砂糖
6/11

その2

結局あの後、俺と置手紙との、にらめっこ戦争は、夜まで続いた。


我ながら、その集中力には、感心する。


先輩の言葉を、一言一句、思い出したのだから。


でも、肝心なその後が、どうしても思い出せない。


結局、先輩は飲み屋で、何があったんだろう?


それが気になって、しょうがなかった。


次あったときにでも、聞いてみようと、硬く決意した。



「おっはよぅございまぁす」


「あ、ひろ君おはよう。今日も元気ね」


「お姉さんも、相変わらず、お綺麗ですよ」


「やだ、褒めても、何もあげないわよ。あ、タイムカード付けておいたから、あんまり遅刻しちゃダメよ」


「さっすが。だから藤さん大好き」


カラオケ受付の藤さんと、朝の挨拶を交わした後、俺は、先輩を探した。


「えっと、確か今日は、カラオケ担当だったはずだけど・・・・・・いた!!」


先輩は、タバコを吸いながら、昨日の、来場者数をチェックしてた。


「せんぱああああい」


大好きな先輩に抱きつくと、先輩は懸念顔をした。


「お前なぁ。朝っぱらから、何してんだよ」


「相変わらず、つれないっすねぇ。おととい、一緒の夜すごしたってゆうのに。」


「あのなぁ。熟睡したお前を運ぶのに、俺が、どんだけ苦労したと・・・・・・」


「感謝してますよ。俺は、先輩に愛されてるんだって!」


先輩は、相変わらず煙たい顔をしている。


「おう、仲よさそうだな」


と、チーフが顔を出した。


「おはようございます」


「おはようございまぁす」


笹本(ささもと)チーフ。


先輩と同じ、25歳の若さで、チーフになった、キャリア組の、代表みたいな人だ。


全然偉そうじゃないし、俺は大好き。


先輩ほどじゃないけどね。


「今朝は、お前ら二人に、吉報がある」


「え〜。なにくれるんすか〜?」


「前田は、相変わらずだな」


チーフが、そういって笑うと、先輩は、少し嫌な顔をした。


どうやら先輩は、チーフの事を、快く思ってないみたいだ。


「それで、吉報というのは、駅前に新しく、レジャービルが出来るの、知ってるよな?」


「はい。駅前開発の一環として、我が社が今、一番力を入れてるプロジェクトですよね」


「そうだ、そのビルのワンフロアを、前田と沖野、お前らに任せることになった」


「俺困ります!! やっと此処の仕事にも、なれたばかりだというのに・・・・・・」


「大丈夫だ。前田がいるし、それに、こないだのお前のレポートが、上のほうで高評でな。これはチャンスだぞ、沖野」


「でも、俺みたいな新人が、こんなビックプロジェクトに・・・・・・」


「先輩、大丈夫っすよ。俺がフォローしますから」


「前田もそういってる事だし、暫く残業が続くけど、まあ、がんばってくれや」


そういって、チーフが立ち去ると、先輩は、暫く放心状態だった。


俺は、二人の時間が増える事を確信し、心の中で、小さくガッツポーズをした。


「先輩がんばりましょうね」

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