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『無色の虹』  作者: 砂糖
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エピソード2 誠一の話その2

俺は荒れに荒れた。


養成所にも、行かなくなり、人生どうなってもいいやって、思ってた時期でもあった。


やることもなく、部屋で、ダラダラとTVを見る時間が、多くなった。


TVでは、相変わらず、元気な芸人さんが、アホな事をして、笑いをとっていた。


なんか、妙に悔しくて、俺はチャンネルを変えた。


それにしても、やることがない。


一人で考え込む事も、多くなった。


「俺は、何しに東京に来たんだ」


もっと、華やかな世界を、期待していたが、現実は、全然厳しかった。


ふいに、カズと大樹が、恋しくなり、電話をしてみた。


二人は、何もなかったかのように元気で、また、みんなで集まって、話すことになった。


気づけば、あの日が、俺の本当の転機だった。



その日は、いつにもまして寒く、東京では珍しく、雪が降る夜だった。


待ち合わせ場所は新宿。


初めて行く俺は、久々にスーツでキメた。


今考えると、田舎丸出しの考えだが。


ドンキホーテ前に着くと、少しサッパリした大樹と、髪を黒くしたカズがいた。


まるで、別人のようで、切なくなった。


大樹とカズが、気が付いたらしく。


俺は小走りで向かった。


「ぶはっ! なんだよ、お前らなんか・・・・・・ふっつうぅ」


「うっせぇ。黒髪じゃねぇと、職場のおこぜ顔が、うるせんだよ」


「え! お前、就職したの?」


「まぁな。手取り20万だぜ。すごくね?」


「うお! じゃ、今日はカズ様の、おごりだな」


「まだ給料入っとらん! それに、彼女の、クリスマスプレゼントで、消えるわ」


「あらら。おアツい事で。大樹は、今何してんの?」


「ああ、俺は大学生」


「は! マジで? いつの間に?」


「まぁとりあえず、どっか入ろうぜ。ここさみぃ」


そういって、俺らは歩きながら、色々と話した。


居酒屋に入ると、みんなハイピッチで、騒いだ。


「で、大学って、何さ」


「ああ、俺休学中だったんよ」


「俺らに内緒だったみたいよ」


「え? なんで?」


「親との約束で、1年だけチャレンジさせてくれって、休学したんだけど、現実をみたらさ」


「え、だって、1年たってねぇじゃん」


「なんか、わかっちゃったんだよね。俺らそうゆうオーラないって、そういえば、お前は、M−1どこまで行ったん?」


「ああ、俺は2回戦で落ちたよ」


とっさについた嘘だった。


「お、スゲーじゃん。お前はがんばってたもんな。今は特別クラスかなんか?」


「まあな。ちっさいけど、もう舞台の話もあってさ」


「おお、マジか! 見に行くよ」


「うんうん。次いつよ」


「まだわかんないんだよね。また決まったら、連絡するわ。それよりカラオケいかね?」


俺は、耐えられなくなって、話をはぐらかした。


「俺はパス、この後、彼女と約束あんだよね」


「俺も早くレポート書かないと」


「そっか、了解!」


その後、二人は申し訳なさそうにしたが、俺は気にしてないと、二人を駅まで送った。


人間、急に時間があくと、困るもので、とりあえず町をブラブラした。


ふと、一軒の飲み屋が気になって、何気なく入った。


あの時、俺の人生はもう一度輝いた。

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