女子高生の日常
「作者からの注意だ。この物語の題名は妙にとある世界の女ピー生は異常とか言う作品に似てるらしいが、一切関係はない」
「ま、中身はタイトルどおり。魔法学校に通うあたしら女子高生の日常を綴ったもんだ」
「しかし、台詞オンリーでは誰が何喋っているか分からんぞ……」
「いーじゃん、別に。んじゃ前書きの説明終了っ。担当は火憐と」
「タマムコガネシティ西区第二魔法高等学校一年C組所属、出席番号九番の久城有栖がお送りした」
朱色の短髪少女と黒髪の長髪少女が桜吹雪舞う学校の校門に立っている。
朱色の短髪少女は全体的にボーイッシュな印象だ。背は標準的、学生鞄を手にしているが肩に置いて背中に下げている。その瞳の色は血の様に黒く濃い紅。
逆に黒髪の長髪少女は全体的に少女らしい。背は正直中学生どころか小学生でも行ける様なレベル、学生鞄を両手で前に置いて下げている。綺麗な美しい黒髪は地味な様で、光を放つように磨き上げられている。その瞳の色は宝石の様な黒。
そして、そんな彼女達の前に置く校門には『タマムコガネシティ西区第二魔法高等学校入学式』と書かれた看板が立っている。
「ねえ火憐、私本当に高校生になったの?」
「瑞穂お前、入学手続きはやったんだろ?」
朱色短髪少女――火憐は呆れ気味に溜息を吐いて問う。
「一応」
「説明会は?」
「行った」
「教科書と制服は」
「教科書はある、制服は見ての通り」
黒髪長髪少女――瑞穂はそう言ってグレーのブレザーの制服の端を摘み上げる。
「じゃあ今日からお前とあたしは高校生だ。入学おめでとう」
「ありがとう。火憐」
「ん、どうしたよ」
「入学おめでとう」
「おう。じゃ、行くか」
互いに顔を合わせることなく言い合うと二人は共に校門を潜り抜けた。その先には自分たちと似たような制服の男子、同じ制服の女子が沢山居る。
「……つーかさ、西区の中学の殆どの連中が此処に来てんだっけ。殆ど見たことあるわ」
「いや、私の記憶だと約三百人以上は見たこと無いよ。魔法高校って幾つあるの?」
火憐は人込みを眺めながら眉間に皺を寄せて。
「えっと、西区高校は三つで西区中学は四つ、高校の位置から」
「じゃあ各中学の位置と各高校の位置から考察すると、第二中学から第四中学の生徒が此処に入学出来るね。どう言う感じで高校を選んでるのかな? 都市間連合法律だとタマムコガネシティには学区の義務は無い筈だよね?」
「えっと……適当じゃね?」
「学区は無いが、基本的に家の距離と校舎の外見と学校の雰囲気、そして親しい者達が居るかどうかだよ、基本は」
と、二人の後ろから声がかけられる。振り返れば黒紫の短髪少女が瑞穂達と同じ制服を纏った少女だ。瞳は人に不安を与える様な黒く濃い紫。
「有栖。数週間ぶり」
「お、有栖じゃん。うっす」
「久しぶりだな、氷結に火憐。と言っても今日は四月の十日、卒業式は三月の十二でまだ一ヶ月ぶりとは言えんぞ?」
瑞穂は淡々と返し、火憐は片手を挙げて返す。
「……有栖、誰も一ヶ月ぶりとは言ってない」
「故に久しぶりの言葉は要らん。人の話くらい最後まで聞け、氷結」
「っつか、他の連中何処だよ」
火憐は言いながら周囲を見渡している。誰もが入学したことを喜び合い、入学式の為の指定された場所へと向かっている。
しかし、見知った顔が何処にも見えない。
「ああ、元西二中三年A組みの面子なら向こうだ」
そう言って有栖はめんどくさそうに指を指し示す。その場所は下駄箱前。そこには瑞穂にも見知った人間達がそこに居る。
「お、みずちゃんに火憐じゃーん! おっひさっ」
と手を振っていた女子学生Aは瑞穂の鳩尾パンチをもろに食らって腹を抱えて蹲る。
「ねえ、私をみずちゃんと呼ばないで……そう前に言ったよね?」
「瑞穂、正確に打ち抜くな。そいつ蹲って喋れないじゃないか」
火憐は特に大したことないように言うと有栖に振り返り。
「こいつら何してんの?」
「本人達に聞け」
火憐はそう言われては仕方ないのでそちらへと振向いて。
「何やってんの?」
「火憐、私達女子高生男子高校生だよね?」
「ああ、そうだな結野」
そう言って出て来たのは火憐の腰程度の身長しかない女子高生だ。制服を着ていなければ――いや、着ていても高校生どころか小学生にしか見えない。瑞穂をも超える低身長。瑞穂が小学生の高学年なら彼女は低学年だ。
「高校生ってさ、ちょっと大人だよね?」
「ま、ちゅーぼーよりゃな」
「ちょっと大人になるとさ、色々ハイになるでしょ?」
「知らんがな」
火憐は呆れた表情でさっさと結論を言えと促す。
「つまり、高校生になって弾けて開放的になる人が居るってもんでしょ?」
「用は高校デビューだな」
「で、思うの。それって見てて愉快だって」
「うん、言いたいことを把握した。聞きたくないが、結果を端的に」
「さあご覧あれ、高校デビューしたアホを見て笑いに来た連中でござぁい」
結野は人をロリコンへと変貌させかねん程の愛らしい笑顔で登校口にたまってる連中を紹介する。された側は一斉に。
「いっえーい!」
と元気よく返事した。火憐は学生鞄を落とし、酷く呆れ顔で、と言うか汚物を見るような目線で。
「最っ、悪だ」
「さあ、火憐も一緒に混ざろうそしてそんな馬鹿を見て笑おうと言うかあの連中見てるだけで私の腹筋が崩壊寸zあっははははははははははははははははっ!」
火憐は心の底から侮蔑の視線を向け、結野は台詞の途中で彼らを指差して大笑い。一人大爆笑、抱腹絶倒とはこの事だ。いや、流石に倒れてないが大空を仰いで大爆笑。
「な、下らんだろ? 私は一応入学式早々問題が起きないよう監視してるんだ」
「有栖、まだ学級委員気分?」
この有様にあきれ返った様子の有栖に瑞穂は率直な意見を送る。
「ああ、こいつらを見ていると問題が起きぬようにせねばと思わざるをえない」
瑞穂は無言で学生鞄から胃薬を有栖に差し出す。
「何処から突っ込めば良い?」
「真正面からで」
「いや、氷結。お前は私に何処に突っ込めと?」
瑞穂は無言で登校口に溜まってる連中を指差す。
「今の所、皆分かってるのか誰も高校デビューしている奴は居ない。おかげで連中もテンション下がって大人しい限りだよ。出来ればそのままでいて欲しいのだが」
「スルーかい」
有栖は胃薬を掴み取ると最後にそう解説を加える。
「……で、あの人たちは何時までああしてるんだろう?」
「教師に咎められるまでではないか?」
有栖は頭が痛そうなポーズをとり、瑞穂は無言で鞄の中から頭痛薬を彼女に差出、有栖は無言でそれを受け取った。
「呼ばないの?」
「生憎と入学式早々職員室の場所を知らん」
「登校口を入って真っ直ぐ進み、最初に出た十字路を左に曲がって次に出たT字路を左に曲がって真っ直ぐ行った所に職員室があるよ」
「では教室に行こうか氷結。さっき見たがまた我々は同じクラスらしい。火憐もだ、何の因果だろうな」
「行けよ職員室」
そう言って二人は歩き出す。
うん、最近妙に学園物書きたくなったから書いた。次は男子ものの短編を書く予定。
連載ものはって? プロットが多すぎて纏め中、故に暫く書けんよ。こっちを連載するかは反響次第で決める。人気があればこっちも書くよ。
じゃ、また