険しい唯我独尊への道 またまた続き
「逆転の発想とは如何様なものですか、会長。」
書記秋山麻里衣の言葉を会長高千穂結弦はただ静かに受け止めた。
「その質問に答える前に一つ問う、何故生徒の留学が良くて教師の留学がいけないんだ。」
結弦の質問返しに副会長三浦スバルは間髪入れずに返答する。
「それはまぁ、選考枠にまず入ってないしな。」
「牛か。」
「はぁ!?牛!?俺が牛って意味が分かんないですけど!!」
「お前は牛じゃない馬鹿だ、この話しの脈絡で意味不明な発言をするわけがないだろうか。
三浦じゃあるまいし。」
「じゃあなんだよ。ついでに最後の言葉は訂正を求める。」
「これは略語だ。器が小さい、視野が狭い、考えが浅い。略して『うしか』。」
「そんな略し方あるかよ・・・。」
「こんな略し方もありますよ。Unko-SHIning-KAnachan略して『USHIKA』。」
「輝くカナちゃんのウンコってカナちゃん一体どんなもの食ってきたら
そんなもの出せるんだよ!ってかカナちゃんが可哀想でしょ!!
そして秋山ちゃんがそんな下品な言葉使っちゃダメだよ!
俺、今めっちゃ驚いたからね。秋山ちゃんの口からウンコって・・・。」
「まぁ、食べてきたというよりは呑み込んできたという方が正確ですね。
彼女は今まで幼い頃から抱いていた夢や友人と同じ人を好きになってしまって
応援するを得なくなってしまった初恋、そういったなくなく諦めていったものを内に溜め込んでいたら
ある時それらの希望が一気に下の方から――――――――」
「だぁーーーーーー!っもういいから!!それ以上カナちゃんの悲しい半生語らなくていいから。」
「ちなみにカナちゃんは私の一番の親友です。」
「親友の苦しみを何ていう略し方してんじゃーー!」
「こういう略し方も出来るぞ。牛か否か、否。お前は馬鹿だ、スバル。
の、『うしか』。」
「どういう意味だよ、莉咲!大体何でそこに俺の名前が入っているんだ。
比較される対象が牛とかそもそも人じゃないってのが切ねぇ!!」
そこに会計兼スバルの幼馴染井上莉咲も参戦してくる。
これ以上このネタが膨らむのは正直困るスバルは最初に話を振ってきた結弦を恨めしそうに見つめた。
「高千穂、もったいぶるのはやめてそろそろ教えてくれないか。
これ以上引っ張ったら俺の頭がもう限界で・・・。」
「これしきのことで疲れるとはな、そんなんだから常に成績が中の下なんだ。」
「ツッコミと成績は関係ないだろぉ!もういいから話進めてくれ。」
「ふむ、まぁいいか。そもそも選考枠に生徒と限定するのが教師陣の考えが浅いんだ。
仮に教師である鏑木教諭が留学した際のメリットを考えてみろ。」
「えっと本場の英語に触れあえて僕たち生徒も本場仕込みの新鮮な英語を習得できるとか。」
「それもある。三浦ほかには。」
「んー七海さんは美人でわかりやすい授業なんだけど控えめっていうか押しが弱いから、
授業をちゃんと聞いてる生徒が少ないんだよな。だからアメリカンな感じで帰ってきたら
きっと皆も授業聞くようになるぜ。」
「それもあるが学校側としての利点は何か考えられないか。」
「そうですね。鏑木先生はここのOGですから優秀な教師の出身校というアピールも
出来ますし、授業改変により成績向上することにより進学率アップなんてこともありえますね。」
「そうか、英語って文系でも理系でも入試科目に入ってるとこがほとんどだから
必然大学受験の際に役に立つね。」
「そうだ、学校は自分たちから自らの利潤追求を放棄しているも同然ということだ。
一枠で広い効果を得るならこれが妥当というところだ。
だが一番の良策は留学生をもっと増やすことだな。」
結弦の選考理由を聞いた一同は感心しきりで他の二人を待たずして
生徒会推薦が決まるかと思いきやここにきても例の人物が声を上げた。