こんなんで唯我独尊できるんですかね 続き
ケンカの続き。
前回名前だけ登場したあの人も出てくる。
「アイタタッタ・・・。」
藤原唯の頭頂部には大きなタンコブがひとつあった。
それは先刻作られた出来たてほやほやである。
「何も思いっきりぶたなくたっていいじゃないですか、かいちょー。」
「甘ったれんな。それはお前の仕事を俺が代わりにやる対価だ。」
「ですから私はちゃんと書類を完成させてたんです。それをたまたま踏んづけちゃっただけで。」
「その間抜けさ、どうにかならないのか。おかげで俺の仕事が増える一方だ。」
「まっマヌケとはっ・・・。」
結弦のあまりのひどさに言葉が出なかった唯。
「オースッ!!」
元気よく生徒会室に入室してきた小柄な少女、
この回にして初登場 会計担当の井上莉咲であった。
「あれ、なんか空気重くない?」
「お前が来てくれたことで少しは軽くなったぞ。」
「井上先輩が入ってくる直前まで会長と藤原さんがまたケンカをしていたんです。」
「また!?高千穂君と藤原君、いい加減にしなよ。」
毎度毎度のことで莉咲もあきれ顔だ。
「そういえば莉咲、今日はなんで遅かったんだ?」
「あぁ、バレー部の助っ人だよ。」
「またか、毎回毎回ご苦労なこった。」
「僕、球技好きだし。」
彼女はいわゆる僕っ子で運動神経が非常に良いためよく助っ人に駆り出される。
「井上先輩は小さいのにバレーの助っ人なんてすごいのですね。」
麻里衣は悪びれもなく笑顔で言う。
「小さい言うなっ!!」
低身長の人が背を低いのを気にするのは万国共通である。
「けどよ~、ちょうどいい肘掛なんだよな。」
そう言いながらスバルは莉咲の頭の上に左ひじをのせる。
「調子に、乗るなっ!!」
「うおっっ!!」
莉咲は素早くスバルの左手首を掴み自分の腕に絡めながら背後に回すようにひねり上げた。
「痛いっ、痛いっ、いたいっ、イタイッ、遺体っ!」
「どうだ!参ったか!!今の言葉訂正しろ。」
「降参です!訂正します!お前はただの肘掛じゃなくてカップホルダーやら
便利なものが付属されている高性能な肘掛だ!」
「お前、僕の言葉が理解できないようだな。お望み通り遺体にしてやろうか。」
「井上先輩、それはあまりにも可哀想ですから蝋人形くらいに
してさせてあげたらよろしいんじゃありません?」
「蝋人形!?俺をどうするつもり!?」
「お前を蝋人形にしてやろうか。」
「閣下!?」
「よかったですわね、三浦先輩。こんな可愛らしい閣下に蝋人形にしてもらえて。」
「嫌~~~~~!!!」
そんな三人の楽しげな会話にも耳を傾けず唯と結弦はひたすら睨み合っていた。