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第一話:小さな光

始まりは小さな光だった。

少年はただ、その光だけを覚えている。


生まれた時から、ずっとその光だけを求めていた。

少年は、ごく一般的な普通の家庭に生まれた。

両親は普通の人達だった。

父親はデザイナー。母親は専業主婦だった。

少年が物心がつくまで、両親も、その祖父や祖母達もとても愛情を注いでくれていたとは思う。

誕生日にはささやかだけど毎回プレゼントをくれたし、クリスマスにはケーキを買って祝ってくれた。


躾には厳しかったけれど、虐待を受けた記憶もない。


ただ、少年は、とても心の傷付きやすい性格だった。

例えば、コップを割って母親から叱られた時には、人一倍泣き虫だった。

近所には三人の同世代の子供がいたけれど、少年には「友達になる」という感覚が、あまり分からなかった。



ハチャメチャ大戦争


これは一人の男が、やがて世界中の政府から追われる。それを追っていく…ドキュメンタリー風の物語である。


203X年。AIはついに、禁忌に触れる物を世界に発信した。

「不老薬」である。2030年代に入っても、やはり日本という国は、AIについてはかなり後進国であった。

まぁ。介護用のアンドロイドはどの国よりも先に導入されて、この国が如何に…未だ老人の〝権力〟で意思決定が行われているのかという現実は、如実に物語ってしまう結果となってしまったけれどね。


AIが不老薬を開発した。その現実は、ある日突然NEWSとして世界中のSNSに発信され、無論のこと、その日から世界中で喧々諤々の論争を巻き起こした。

当たり前のように。これだけ世界のデジタル化が進んでいても、やはり格差社会、貧富の差はAIの力を以ってしても埋まらず、やがて世論は不老薬についてあるトピックに、一番に熱が上がるようになっていった。

要するに「特権階級が不老薬の独占を始めるのではないか?」という、そういった議論である。これはやがて運動にさえ繋がり、更に加速し

「では、その不老薬を〝誰が〟そして〝どのように〟運用するのか?」という、世間での関心、そして何より“政治”で実は一番無視できないファクターに

なり得る〝世間の風当たり〟である。これには、遂にあの国連さえも動かざるを得ないところまで突き当り、熱が上がり切ったその時には、

世界の世論は結局、二極化で分かれるという結末に至った。要するに「不老薬を使うのか?」それとも「禁忌を貫くのか?」であった。


これに関して世界の〝人類〟が出した結論は…滑稽で、まるで喜劇のような結末であった。つまり、その答えさえもAIに委ねたのだ。

つまり人類は「それ使っちゃダメだから禁止にしよね?」という回答さえも、思考放棄し、自らの意思決定を捨て、もう一度AI様に、お尋ねしてみることになったのだ。

そして、AIはこう答えた。「試験導入してみるのが現在における、妥当性が確認可能な唯一の方法でしょう」と、そう答えを出してしまった。

そして、運用方法については「人類平等に、と言いたいところですが、やはり老人や乳幼児が使用しても、AIにはそのデータを機械学習できません」という物であった。こうして世界は終に、不老薬の使用を認めた。


暫くして、“施設”が建てられることになった。世界中から、平等に公平に…といっても、ある一定の基準を設けて、選定が始まった。

募集される人数に制限が付けられることは、致し方無いことだったのだろうけれど、それでも「18~20才を基準に500名」が、最終判断になった。

少ないか多いかでいえば、極端に少なくも見えた。

だが、その時代の世界人口からであっても、特権階級、上級国民…或いは生まれながらにIQが異様に高い指数を示している限られた人達でさえ、賛同に異を唱え出す

には、遅すぎるところまで来てしまっていた。無論、もっと国の発展の為「永久に生きていて利用価値の高い人間から選ぶべき」といった論調も、なくなりはしなかったが、つまるところ「じゃあ今の人類の誰が!AIより賢いの?」の、決定的な一言に、理路整然と答えを述べられた人間は、誰一人いなかったのだ。


こうして、俺ことこの物語の主人公である山口幽助の話は、ようやく始まる。



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