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6 枢へ-2-

「気をつけなよ? 余計な言動をすれば面倒になるぞ」


 すぐ横を歩いていたズィロがアナグマたちにささやく。


 彼女とユーリも出頭を命じられていた。


(ゴモジュ隊の捜索メンバーが対象なのか?)


 アナグマは思った。


 先導者に続いてしばらく歩くと、さらにもう一枚の石の壁がはだかった。


 巨大な鉄扉をくぐる。


 広がる光景は地上に似ていた。


 色とりどりの花が各所に植えられた庭園だ。


 砂と土と岩ばかりの味気ない三層とは異なり、ここには無数の色があった。


 そしてその奥にそびえる宮殿。


 遠目からでも分かる、堅牢にして豪奢な巨大建造物だ。


「こんなところが――」


 まるではじめて都会に出てきた田舎者のように、アナグマはあちこちに目を奪われた。


 なぜ地下にありながら、ここまで華やかなのか?


 なぜ地下に木が生えているのか?


 この明るさはどこからきているのか?


 その答えを得る前に、アナグマたちは宮殿の一室に通された。


「ここで待て。じきに役の者が呼びにくる」


 先導役は無愛想に言い捨てると部屋を出ていった。


 アナグマたちはしばらく無言のままに視線をやりとりする。


 室内には人数分に満たないイスと小さなテーブルだけ。


 とても客を待たせる場所ではない。


 この待遇からしても好ましくない状況であることはアナグマにも分かった。


「貴族ってのは礼儀がなってネエな……」


 ギトーは忍び声で言った。


 顔つきは明らかに不服そうで、そばにいたソブレロがたしなめる。


「滅多なことを言うものじゃないよ。どこで誰が見聞きしているか分からないから」


「ふン。茶の一杯も出さネェ貴族にこびへつらうかい?」


「貴族じゃない。王族だよ。生殺与奪は向こうが握ってるんだ」


「そりゃこっちもダ。連中が旨い飯を食えるのはオレたちの納税あってこそなんだからナ」


 これはいくら言ってもダメだ、とソブレロは肩をすくめた。


「僕たちはなぜ呼ばれたのでしょうか?」


 誰もが抱いている疑問をアナグマが代表して口にした。


「理由は分からないけど、この顔ぶれからして先の捜索がらみだろうね」


 誰も答えないのでズィロが言った。


「それなら他の隊も呼ばれているハズでは?」


「別の日に呼び出されるのかもね。エライ人の考えることなんて分からないさ」


 この人も過激なことを言いかねない。


 その前に釘を刺しておこうとソブレロが口を開きかけたとき、役人が入ってきた。


「来い。王がお会いになられる」


 先ほどの役人より強権的だな、とアナグマは思った。

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