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4 地下鳴動-4-

 反省会が終わるとギトーは早々に退室した。


 一言、礼を述べようとしたアナグマは出入り口に殺到する隊員に阻まれ、その姿を見失ってしまう。


「あの――」


 そこでたまたま近くにいたソブレロに声をかけた。


「どうかしたかい? ん、ああ――」


 彼はかぶりを振った。


「さっきのことなら気にしないほうがいいよ。きみに言うべきではないのだろうけど……」


 そして周囲をはばかるように声を落とす。


「うちの隊はずっとこのメンバーでやってきたんだ。だから、その……アナグマ君を部外者のように見ている人もいるんだ」


 これは想像になるが、と前置きしてソブレロはカイロウ隊の経緯を簡単に語った。


 ラメーゴの死後、カイロウが隊長になってからメンバーが固定化されたこと。


 これまでの入隊者は、アナグマを除けばたったの二人であること。


 除隊したのもまた二人であること。


 そしてその二人は同じ人物である、ということも――。


「――だから隊長は自分の代で新しく入ってきた二人が相次いでいなくなってね。それからは出入りがなくなったんだよ」


 アナグマは悟った。


 ”除隊”という言葉を遣うとき、ソブレロは何度も苦しそうな顔をする。


 つまり任期の満了によるものではない、ということだ。


 そもそも調査団には任期も定年もない。


 能力があり、本人が望めば死ぬまで続けられる仕事だ。


 ならばその意味は――彼の表情を見れば察しはつく。


「だからきみが入隊したと聞いてボクも驚いたよ。まさかあの隊長が、ってね」


 おそらく隊員の多くが同じようにアナグマを奇異の目で見ているだろう、とソブレロは言い足す。


「心配いらないさ。アナグマ君がこれから活躍していけば、みんなの見方もきっと変わるよ」


 このやわらかな顔つきの大男は、見た目どおりにいさかいを嫌う性質のようである。


 彼はこの隊で最も信頼できる人物かもしれない、とアナグマは思った。


「ひとつ、訊いてもいいですか? 気になることが――」


「なんだい?」


「ギトーさんは長いんですか?」


 ソブレロは笑った。


「長いも何も、最古参だよ。ラメーゴ隊長よりもね」


 彼が言うには、ギトーは元々は別の隊にいたという。


 何か事故を起こして隊を離れたあと、ロムンという男が結成したばかりの隊に身を寄せた。


 やがてロムンが退役し、ラメーゴが隊長となって引き継いだ。 


 つまり彼はこの隊の誕生から知っているのである。


(――なるほど)


 先ほど、ジャロワを黙らせた手腕は見事なものだった。


 理路整然とカイロウの判断を後押ししたのも、隊の歴史を知っていればこそできたことなのだ。


(父さんより前から……)


 彼は自分の父親が、古くからの隊員の目にどう映っていたのか知りたくなった。



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