4 地下鳴動-2-
数名が負傷した隊員を連れて医療スペースへ向かう中、アナグマたちは正規のルートを通って成果物の査定を受けていた。
「査定終わりました。今回の成果は八八五〇〇〇ポイントです」
周囲で悔しがる声があがる。
「ああ、百万には届かなかったか……」
「逃げる途中で落っことしたのがあったからなあ」
怪鳥の襲撃がなければもっと稼げたハズだ、と彼らは言い合った。
「お前らよう、目に見えるポイントなんて気にしてンのか?」
査定には興味のないらしいギトーはけだるそうな声で言った。
「だって百万目前だぜ? ランクが上がるかの瀬戸際なんだ」
「ガラク隊に差をつけるチャンスだったんだけどなあ」
愚痴をこぼす隊員たちに、ギトーはあきれたようにため息をついた。
「ケガ人こそ出たが全員生還したンダ。これ以上の成果があるものかヨ」
彼はさっさと寄宿舎に引き上げた。
ソブレロが苦笑交じりに続く。
ここにいても特にすることのないアナグマも二人のあとを追った。
「いいんですか? 手続きに付き合わなくても?」
「査定が出た時点で手続きなんて終わってンだよ。書類の受け取りなんて適当な奴にやらせてりゃいいんダ」
斜にかまえた言動の多いギトーだが、今日はそこにいささかの不快感が混ざっている。
なにか気に入らないことがあったのだろうか、というアナグマの疑問を見透かしたように、
「あいつらは隊長の言ってるコトがまるで分かっちゃいネエ」
彼はあてつけがましく言った。
ソブレロは困ったような笑みを浮かべている。
「目に見える成果が全てだと思ってヤガる。無事に帰還することが大切だって言われてるだろうがヨ」
吐き捨てるように言った彼は肩越しに振り向いて続けた。
「新入り、オメーも手柄を立てようなんて思うなヨ? 隊長がいつも言ってるのは……ありゃきっと欲に目がくらんで失敗した奴を大勢見てるゼ」
アナグマは驚いた。
どうやらこの男の厭味ったらしい言い草は、あくまで表面上のものらしい。
その実は職務と、そして隊長の方針に忠実なようである。
「彼はこういう奴なんだよ。意外にいい奴だろう?」
ソブレロはアナグマに耳打ちした。
「おい、聞こえてるゾ」
気だるそうな声はさらに不快感を露わにする。
「いい奴なんざいねえヨ。大なり小なり黒い部分を持ってンのがヒトってヤツさ」
「ほら、こうやって素直じゃないところも――」
「おい!」
赤くなりかけた顔を見られまいと、ギトーは歩を速めた。
「…………」
アナグマは小さく唸った。
(嫌味っぽくて油断のならない人だと思っていたけど、そうでもないのかも……?)
今後、新入りの立場でギトーとどう接すればいいのか、彼は分からなくなってしまった。




