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8 最高の素材がここにいる

ヤマト世界に住むアリアを『ドロン』でアストリア世界に配信した。


そしたらいきなり人気。そしてスパチャも投げ込まれた。


その配信関係の収益金だけは、私のアストリア世界の冒険者ギルドカードに振り込まれる。


「!」


そうだよ。

『アストリア世界の冒険者ギルドカード』


これに振り込まれた金の半分が、シスターマリアとハルナの商業ギルドカードに分けて振り込まれる。


で、チビどもの食費や、孤児院の修理代になる。


こっちで稼いだお金はダメでも、配信収益はシスターマリアに送れる。


「確か、過去の映像だって、山ほど再生されりゃ収益発生だよな」


私、一応は勇者パーティーの1人で聖女なるぞ。


さぞ人気であろうぞ。


なんせ「聖女サラチャンネル」。登録者数、わずか半日で32万人。


期待大!


しかし、直後、精神的ダメージ!


配信はダンジョンのコカトリス戦に始まり、今しがたのアリアとのやり取りまで映像3本。


神器の力で20~30分の動画に編集された。


基本設定が20分。戦闘、イベントで長短変化の仕様だ。


私の命懸けのコカトリス戦の反応は?


動画を開いて、私は膝をついた。


「なんだ、この私のコカトリス戦の再生回数は…」


コカトリス戦、再生回数8000回。


登録者数32万なのに…。


コメント欄も悲惨。

『黒目黒髪の美女を期待した』

『銀髪エルフ顔の平凡女が』

『戦い方が地味で雑』


みたいのが大半だった。


アリアのチバの街歩き、再生90万回。


さっきのアリアの挨拶が30万回。次の動画もリアルタイム配信してて、そっからぐいんぐいんと伸びている。


「私は命をかけたよな。8000ってなんだよ」


「あの、サラ」


「やっぱ、こんだけの美形だもんな……あ、そうだ」


思い付いた。私は悪い顔になってる。


「なあ、アリア……」

「おい美人のねえちゃんと劣等種!」


私が言い終わる前に、4人組の冒険者が、割り込んでいたよ。


こっちくる。


美人はアリアで間違いねえ。


残る選択肢で私が劣等種だな。ふざけんな。


けど違ってた。


「おいアリア、劣等種のくせに堂々と飯なんか食ってるんじゃねえ」


「そうだぞ、魔法、体術、耳の長さ、みんな中途半端なハーフやろうが」


「その銀髪美女、どこで騙して連れてきた」

「俺らに紹介しろや」


え? 劣等種がアリアかよ。


もういっこも、嘘みてえだ。


信じらんねえけど、銀髪、ここでは私だけーー。


まさか、まさかの。


銀髪美女って私かよ!


唖然としてっと、いきなり男1人が動いた。「ドロン」はポジションを変えて、私、アリア、絡んできた冒険者を撮している。


『アクション』


「バトルの匂いにドロンが反応したのかよ!」


アリア、男に肩掴まれた。

「きゃっ」


「アリアどけっ」

「アリア!」

椅子を立った私は、自分でも驚く動き。ひゅん、と音を立ててアリアの方に移動した。


こけそうになったアリアをキャッチ。


離れたとこに立たせてやった。そして冒険者に向き直った。


他の冒険者も、ギルド職員も目を逸らしている。この世界の冒険者ギルドとは、そういう場所のようだ。


「アリアに謝れや」


「アリアに? ふざけんな」

「姉ちゃん威勢がいいな、連れて帰ってひんむいてやる」


ナメてやがる。支援職の聖女でも、なんだかパワーが漲る。


MPは226までしか回復してないが、素手で戦えると思った。


つかみかかってきた男に服をつかませた。


この世界、過剰な力をもらった私に都合よさそうだ。


つかんできた右手の手首を持って、ブン投げた。


私はレベル10でレベル80のコカトリスを倒して、レベルは45まで跳ね上がった。


最大HP、防御力、攻撃力、速さが1325。最大MP、精神力が1850。


投げた男は、レベル23のHP、攻撃力ともに230。敵ではない。


『結界魔装』は1日に2回しか使えないけど、ヒール、ハイヒール、解毒のキュア、小結界を使えるようになった。


コカトリス戦でなんとなく分かった。私って剣より、柔術系とか素手の戦いが向いてる気がする。


あっという間に4人を投げて、床に叩きつけてやった。


「ぐうぅぅ」


「サラ、大丈夫?」

「何ともねえ、ほら」


「よかったあ、私のためにごめんね」


涙ぐむアリアに抱きつかれてるぜ。


女同士なのに、ちっとばかりムラっとしてる。


なんでだ?


「アリア、ここじゃご飯は無理だな。場所変えて話そうぜ」


ギルド内、あぜん。


そんなん気にせず、アリアと外出た。



ちなみに今の映像も配信された。


予想通り、コメント欄は、アリアを心配するコメントで埋め尽くされてた。


体張ったのは、私だよな…


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