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名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します  作者: #とみっしぇる


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ラスト 次の旅もアリアと一緒に

アオモリ編のメインイベントは終わった。


ゲームと同じくドロージョの首にかかっている魅惑のペンダントを壊すと、アオモリ侯爵家の操られていた重鎮連中が正気に戻った。


下級兵士は、ただ上官に従っていたようで困惑中。


『勇者5』のストーリーでは、これからフランソワが正気に戻った騎士団長の息子、要するに元婚約者カールと復縁する。


父親もフランソワの弟を跡取りに戻す。大団円となる。


しかし目の前の光景は、ヤマト世界で起こっているリアルなお家騒動。


何より大きな問題が残っている。


フランソワの父親と、カールの顔が青い。


「わ、私はサキュバスと何度も閨を共にしたのか…」

「俺は、オーガにベッドの中で愛をささやいた?」


そう。ゲーム中のように『半年間も操られていたアオモリ侯爵家の人々は、洗脳が解けました』で終わらない。


アオモリ侯爵はドロージョに化けたサキュバスと、騎士団長子息はネトールに化けた雌オーガと、肉体関係を持ってしまった。


アストリア世界なら異種間恋愛は普通だけど、ここヤマト世界では例外中の例外。


こと、ヒト族至上主義のアオモリ侯爵家では、当主や当主の身内に連なる者が魔族と肉体関係を持つなど許されることではない。


なので、魔族問題そっちのけで、新たな問題が発生している。


兵士や家臣は、家の幹部がおかしくなった理由を理解しつつあるが、だからこそ当主とカールが禁忌を破ったことも分かった。


フランソワはアオモリ領の絶対的な決まりを教えてくれた。


『異種族と交配した者、領内より追放すべし』


誰も言葉を発せない中、フランソワが口を開いた。


私の結界も解いてあり、侯爵家の人間に至近距離で囲まれている。


「禁忌を犯したお父様は当然、貴族でなくなります。当主は弟のシャルルに譲位。これで決定」

「なっ」


「そして、騎士団長子息カールは、私と正式に婚約解消。さらに平民落ちですね」

「え、ちょっと待って、俺達は操られていただけだ」


ざわざわざわと、周囲がどよめいている。


「静かに!」


フランソワがみんなを黙らせた。


「そして私、フランソワもアオモリ侯爵家から追放となります」


「え?」「え?」。私とアリア。


『ええ?』

『なんで?』

『フランソワは家を救った立役者だろ』


アストリア視聴者も予想外。


「なぜなら」


フランソワはレオンを引き寄せ、レオンの帽子を取った。


フランソワの顔が真っ赤だ。


「私は真実の愛を見つけ、白鬼のレオンと結ばれました。決まりは決まり。責任を取りま~す」


どよどよどよ! 勝手に当主交代宣言をしたとき以上にざわついている。


元婚約者のカールが吠えた。

「フランソワ、お前は浮気してたのかよ!」


「魔族に魅了され、欲望のままに魔族女と関係を持ったお前と一緒にするな。レオンは私と一緒に戦ってくれた。いうなれば戦友だ。私は唯一認めた男に、身を捧げただけだ」


アストリア視聴者

『おお~。フランソワ、男前だ』

『やっぱ脳肉』

『「勇者5」のストーリーと大幅に違うけど、これいいね』


『サハリンにも上級、特級の稼げるダンジョンあるはずだし、孤児を食わせていけるよな』

『聖女、おめでと~とふたりに言ってくれ』


『俺のフランソワが~』

『泣くな。リアルフランソワが幸せになれるんだろ』


アリアを見ると、ニコニコしている。手をたたいて祝福してる。


フランソワがレオンに語りかけた。


「レオン、事後承諾になるが、私も子供達と一緒にサハリンに行っていいか?」


「いいのか? 貴族の地位も何もかも捨てることになるぞ」


「うん。このまんま、行こう」

「よし。愛してるぜ」


「あ、あ、愛……」


フランソワの頭から湯気が出ている。


弟の次期侯爵や家臣に何か言われてたが、フランソワは追放される人間。だから関係ない、魔族の策略だけは退けたから、あとは侯爵家の人間で判断しろと言い放った。


そしてレオンの手を取った。


「レオン、サラ殿、アリア殿、行こう」 


満面の笑顔になったフランソワに続いた。


この潔いフランソワは、アストリア視聴者にウケた。


◇聖女サラチャンネル

登録者数903万人


スパチャ合計1億1306万ゴールド



一気に北に走って、私とアリアは沿岸警備隊の船に乗せてもらって、ホッカイドウーエリアのハコダテの街に渡った。


フランソワとレオンは、ミヤギエリアに戻って子供達を迎えに行ったあと、サハリンを目指す。


フランソワとレオンには遠慮されたけど、フランソワの収納指輪に正当な取り分の高級肉と高級素材を渡した。


「じゃあ、ふたりとも元気でな」

「お幸せに~」


「ありがとうございます。お世話になりっぱなしですみません」

「本当に感謝してる」


私は、ふたりのお陰でスパチャと動画の視聴数が稼げた。


アリアの人気も根強いから、アオモリ編だけで1000万ゴールド以上をレトロのシスターとハルナに送れた計算。


フランソワもユザワ特級ダンジョンの出回ってない素材を売れば、4000万ゴールド以上になるようだ。


それくらいしてもいい。間接的にアストリアの家族が世話になったもんな。


◆◆◆◆

「さて、アリア行くか」

「オーブは残り2個だね」



アストリア視聴者によると、アリアはホッカイドーで第4のオーブから移動スキルをもらう。


その力を使って一気にクマモトエリアのアソダンジョンで最後のオーブと聖剣を手にする。


そっから魔王をやっつけに行くまでが、『勇者5』のストーリーだ。



そのあとか?


こっちの世界に残るか、あっちの世界に戻るかだな。


ひとつだけ決めたことがある。


アリアと一緒にいたい。


女神ステアが叶えてくれるなら、アストリア世界にアリアを連れて行こう。


無理ってんなら、アリアと一緒にヤマト世界で拠点を作ろう。


まだ旅は続く。


私はアリアの手を取って歩き出した。



終わり

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