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名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します  作者: #とみっしぇる


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71 募る想いと近付く別れ

私達がレオン、フランソワと合流して、アオモリ編最大の山場、ドロージョとネトールを倒しに行くまで3週間。


今の4人の移動力なら1週間もあれば、アオモリエリアの南端と接するアキタエリア・ユザワから領都アオモリまで移動できる。


なので、もう一度だけユザワ特級ダンジョンに入る。


レオンの指摘があったように、フランソワの戦い方は荒い。姫騎士スキルには「身体強化レベル3」に相当する強化技があるのだが、フランソワは地味だからと研鑽してなかった。


今のフランソワの決め技は、実力者なら退けられる。


だからレオンに言われて、アリアと本気混じりの模擬戦をやらされたら負けた。


オユキサン、神衣、イカヅチを封印したままでもアリアは強い。


フランソワの6割程度の基礎ステータス。素早さと腕力など半分以下だけど、フランソワと逆で恵まれないスキルを時間かけて研鑽してきた過去を持つ。


そこに、新たに覚えた「ビリバリバリ」、「アイスミサイル」を応用すれば、フランソワとのステータス差などハンデにならない。


魔王軍の元精鋭だったレオンは言わずもがな。


ん? 私も強いよ。弱いときから危険な森で生き残るために足さばきを鍛えてきた。そこに女神印の高ステータスが乗ってるもの。


無手の手合わせなら、フランソワを圧倒したレオンを転がせた。


そしてアストリア視聴者からブーイングを食らった。解せぬ。


とにかくフランソワだ。


「レオン、ありがとう。私の戦い方では、同等のスキルを持った人間にはかなわないということだね」


満面の笑顔。そして、真面目な表情になってアリアと私の方を向いた。


「アリア殿、サラ殿、これからもよろしくお願いします」


なんというか、意識してないようだけどレオンと私達への距離感が違う。


やっぱりワンナイトを経験したふたりだ。


レオンは多くを語らないが、フランソワを優しい目で見てる。逆にフワンソワはレオンを見るたび顔が赤い。


アストリアの「勇者5」ファンも予想してなかった展開。


ちょうどフランソワの総仕上げをしようと思ったところに、フランソワとレオンのダンジョンコラボへのリクエストが殺到した。


今回に限ってはアリア以上の注目度だ。


ユザワダンジョンは、このレオンが他の脱走魔族と一緒に30階まで潜った経験がある。


なので大急ぎで30階から40階に行くことにした。


「勇者5」のストーリーでも、フランソワを鍛えるのに勇者、使徒、レオンを交えた4人でユザワダンジョンに潜っている。


ゲームのユザワ特級ダンジョンは全10階なので10日で攻略となるそうだが、リアルユザワは80階。


私、アリア、フランソワで50階まで降りたが、特級ダンジョンで敵の技巧、スキルが上がるのが60階以降らしい。


リアルでは攻略する時間はない。


この30~40階のエリアは、牛頭馬頭のモンスターに剣、斧の武器持ちが多い。


フランソワの基礎訓練にもってこいだ。


◆◆

ダンジョンに入ってわずか2日。フランソワの技術を磨きながら36階まで降りた。


「えいっ!」。フランソワがかけ声とともに、馬頭ソードマンの胸をひと突きした。


「よし。フランソワ、すげえ進歩だ」

「ありがとうレオン、言われた通りに戦ったら、技を使うより楽に倒せた」


野営のときのテントも、フランソワはきちんと女子用に入ってくる。レオンとは別。節度はわきまえてる。


けど、たき火をしながら夜はふたりで話し込んでいる。


アストリア視聴者は暖かい目で見守っている。


『あ、フランソワとレオンの肩が触れたぞ』

『フランソワ、ぱっと離れた』


『顔が真っ赤だよ。純愛?』

『けど、このふたり、酒の勢いもあったけど、すでに濃く触れあってるんだよな』

『セック●のこと?』


『あからさまに言うなや』

『www』


昼間は厳しくフランソワを指導するレオン。それに必死に応えようとするフランソワ。


夜は、なんだか仲を深めていくふたり。


「アリア、なんだか雰囲気いいよな」

「…いいなあ」


「え?」

「なんでもない」


アストリアの視聴者も暖かい意見が多い。


とりあえず6日目には、1度40階のフロアボスを撃破。


アリアと私でボスの手下な馬と牛のモンスター処理。


レオンが牽制したボスをフランソワが倒し、ふたりの連携は呼吸が合ってきた。


野営のたび、ヒト族フランソワと白鬼レオンの『禁断の愛』は深まっていく。


ヤマト世界では、アストリア世界のように異種族間の恋愛は普通ではない。


私やアストリア世界の視聴者は、その前提を忘れてた。


ゼロでもないらしいが、ごく少ない。


そもそも、アストリア世界では概念が違う。


ヒト族は猿の獣人に分類される。数が多くて独自文化を多種族に先駆けて作った。


だから、ご先祖様が多種族にマウントを取るため、本能に突き動かされることが多い、猫系や犬系、鳥系の獣人と自分達の呼び方を分けただけ。


アストリア世界の恋愛や結婚では、魔族やエルフ族も含めて種属の違いは問題にならない。


けどヤマト世界では、ヒト族と魔族の恋愛は世間で認められない。


ましてやフランソワは大貴族の長女。レオンは元魔王軍。フランソワの家族にもいい顔はされない。


それでも、レオンはフランソワの手助けをするという。


配信の反応はいい。


たまに切ない表情になるフランソワを何とかしてくれと言われても、私自体が恋愛経験ゼロ。


今回ばかりは、アストリア視聴者からもいい意見は出てこない。


◆◆◆

旅をしながら、領都アオモリまで来てしまった。


盗賊退治をしたり、戦闘を重ねるごとにフランソワとレオンは、戦闘連携において抜群の相性を誇ることが分かってきた。


何度か野営のとき、ふたりが同じテントで一夜を明かしたりしてた。それは配信してないけどな。


アオモリ侯爵の軍部を相手にする可能性はあるが、私達4人なら負ける気はしない。


アストリア視聴者も同じことを思うが、興味はその後だ。


種族の垣根を越えて、明かに愛し合う男女にしか見えないフランソワとレオン。


戦いが終わったあとは、どうなる。


「勇者5」のストーリーなら悲恋に終わるはずの、ミヤギ編のシロウとイロハ姫は恋が実った。


けれどシロウ&イロハは最初から周りに認められていたプラス要素の背景がある。


祝福されないふたりはどうなるのだろう。

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