64 ツルオカ編は飛ばしてユザワダンジョンに向かえ
レオンの妹と、レオンが面倒見てる子供達をダテ家の施設で匿ったもらうことになった。
なんせ私とアリアは、ダテ伯爵直々に感謝されている。
それでも魔族の子供まで預かってくれるかと不安になってたけど、話があっさり通った。
レオンは、しばらく妹と共に過ごす。
最終的には、子供達の安全を確保できそうな、自由都市サハリンを目指す。
ただ、魔族、獣人の子供連れでアオモリ、ホッカイドーを抜けるのは困難。
だから次の一手を考える。
これ『勇者5』のストーリーと、それなりに一致するそうだ。
ツルオカ家の軍勢と戦う部分は、すっ飛ばすけどな。
ストーリー上と違って、リアルレオンはツルオカ家に恨みもない。わざわざ敵の本陣に飛び込まない。
北に子供達の安住の地を求める。
そのため、レオンは4つの貴族領が隣接するユザワ経由で、アオモリエリアに行く。
アオモリには、次の勇者候補がいる。
勇者候補ナンバー7はアオモリ侯爵家の長女でフランソワ。『家を取り返す貴族令嬢』って役柄らしい。
ストーリーと同じく、私とアリア、あとで合流するレオンで、そいつを助ける。
ストーリークリアなら勇者候補7人目は、自分の騎士団を作る。家督は弟のために取り返す。
レオンは7人目に恩返しとして侯爵家の保証付き通行証を作ってもらい、子供を迎えに行く。
ホッカイドーエリアを北に進み、アバシリから自由貿易都市サハリンに渡る。
そしてサハリンに孤児院を作る。
ストーリー上なら、勇者は札幌でレオンと別れる。だから孤児院設立、うんぬんは、テロップで出てくるだけだけどね。
この辺が公式ストーリーと一致する。
レオンに概要を話すと、合流してくれると言ってくれた。
◆
「サラ達には世話になったね」
「いえ、こちらこそ誤解してすみません」
「子供達を驚かせて悪かったな」
レオンは帽子を被ってる。そうすれば、白鬼レオンはヒト族に見え、普通にジペング国内を歩ける。
一旦は別れた。
「サラ、次の目的地は?」
「ユザワ特級ダンジョンだな」
「う~、私が特級挑戦だなんて」
「頑張ろうぜ」
「うん」
けれど今から目指すユザワダンジョンはランクは『特級』。
出てくる魔物のレベルも、一気に上がる。
1階の魔物が、シロウなんかとクリアした上級ダンジョン全50階の40階レベルと思うべきだそうだ。
最初の敵レベルが45~50だけど強めの攻撃スキル持ちが基本。なので討伐難度は上級ダンジョンの同レベル魔物を上回る。
アストリア世界と違い、ヤマト世界は物資運搬方法が少ない。
レベルが40程度から上げにくいジペング国の住人では、無理に行けても10階。
素材の値段は上級ダンジョンの倍になるけど、大きなレベルアップは望めない。
公式に特級ダンジョンの攻略記録がない。特級は全80階が基本だということも、ギルドのデータベースにない。
レベルが92あったレオンは、魔王軍の育成計画で特級ダンジョンの50階まで潜っている。
3年計画だったけど、攻略チームは60人。なので経験値を分け合ってしまい、レベルが100を越えた者もいない。死傷者も多かったとか・・
ヤマト世界自体が、そういう事情。なのでギルドではユザワダンジョンの地図は、12階までしか売っていない。
草原型で馬型、牛型が主力魔物ということだけ知った。
女神印の私はもちろん、アリアも成長してる。数値の上では、特級ダンジョンでも40階は行けるだろ。
◆◆
ミヤギエリアを抜けてアキタエリアに進入。あと10キロでユザワダンジョンの入り口というところまで来た。
前方の雑木林を右手にした道に不穏な集団がいた。
5人の魔族だ。
「お、アリア、久しぶりの魔王軍だ」
「あ、本当だ。サラ、誰か捕まってるよ」
もちろんリアルタイム中継中。
久しぶりに視聴者が沸いた。シロウと時と違い、今度は男が騒ぎ出した。
『もしかして、あの黒髪ストレートに白銀装備』
『おおっ、フランソワだ』
『すげーよ、予想通り美人』
『黒髪、黒目、切れ長の目。ヒト族版のアリアちゃんだ!』
『聖女、スパチャ出すからフランソワをアップにしてくれ』
視聴者の反応は、初めて勇者候補4人目のシロウに出会ったときのようだ。
ただし、今度は男子が色めき立っている。
どうやら、勇者候補7人目が現れたのは『勇者5』の予定通りの場所らしい。
ただ、視聴者がざわついている。あらかじめ聞いてた展開と違う。
「くっ、殺せ」
たったひとりの魔族に、地面に押さえつけられている。
『リアルフランソワの「くっころ」だ』
『なんで、くっころか分からんが、可愛い~』
『うおおおー萌える』
『展開と違うが、これはアリ』
ストーリーでは魔族を蹴散らすフランソワと私達が出会うという話だった。
なのにフランソワが弱い。アストリア世界ならオークに囲まれた女騎士のようなセリフを吐いている。
「いけね、見てる場合じゃねえ。アリア助けようぜ」
「はい」
ここはジペングの住人がレベル50まで上がらないヤマト世界。フランソワもレベル43。
対して魔族を鑑定すると、軒並みレベル70前後。ユザワ特級ダンジョンを偵察する部隊だからレベルが高いようだ。
視聴者も私も同時に気付いた。
『そうか、ヤマト世界の特性か』
『勇者5のフランソワならレベル80スタートなんだよな』
『リアルだと、魔王軍の方が強いのか』
RPGなら、ストーリーが進んで出会う味方キャラは、それなりに成長している。
けれど、ここは女神ステアが中途半端に仕込んだけど、基本はリアルで『勇者5』の通りに話が進まないヤマト世界。
第2章のサイタマエリア、第3章のミヤギエリアもヒト族の強いやつでレベルは40台。
やっぱりアキタエリアに入ってすれ違ったヒト族も、高くてレベルが40台なのだ。
対して、目の前の魔族は恐らく難度激高のユザワ特級ダンジョンを調べに来た精鋭と思われる。
『勇者5』のストーリー通りにフランソワと遭遇した。
けど、強キャラ設定と違う「くっころ」なフランソワと出会った。
これ、アストリア視聴者にウケた。
再び登録者数、スパチャが伸び始めた。とりあえずフワンソワを助けに行く。
◇聖女サラチャンネル◇
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スパチャ合計9012万ゴールド




