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名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します  作者: #とみっしぇる


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41 私の出番がない

サイタマエリアの問題を解決して、なんだかんだと14日後。


アリアと私はトコロザワ上級ダンジョン、全50階のうち30階まで降りた。


30階フロアボスはビッグホーンバッファローのレベル50。これにもアリア、オユキサンの連携が有効だったけど、幾分か苦戦した。


早くもオユキサンの力に限界かと思えば、ここにも嬉しい誤算。


『あたしの氷の強さは、あるじ様の魔力ステータスと連動してるのさ』


「・・じゃあ、私がハーフエルフだから、オユキサンは強くなれないんだ・・」


『馬鹿だねえ、あるじ様。慌てるこたあないよ。旅しながら、一緒に成長してこうね。あたしの選んだご主人は、あるじ様だけだよ』


「オユキサン・・ありがとう」


微笑むオユキサンが、涙ぐんだアリアの頬をぬぐった。


メンタルケアまでできる召喚獣とは、恐れ入ったぞ。


ただ、私が言いたいこともオユキサンに言われてしまった。


ますます聖女不要説がアストリア視聴者の間で囁かれるようになった。


◆◆

貴重な牛肉も手に入れて一旦は地上に出た。


トコロザワ会館でカスカベ侯爵家の次世代を担う双子、ミリー&マリーと約束がある。


クマガイがクーデターを起こしたとき、双子を助けてくれた『サイタマ解放団』のリーダーに感謝状を渡す。


そしてチバのラッカセイ伯爵に私達が貰ったのと同じく、カスカベ侯爵家が後ろ楯となる証をリーダーに渡す。


地上に出ると、私達のダチのチェキボー、チェロとチェコが飛んできた。


あいつら、誰も乗せなければ飛べるんだとさ。


「クエッ、クー」

「クウッ、クウッ」


「わざわざ出迎えてくれたのね、ありがとう」

「クウ~」


アリアにチェコがすり寄る姿がドロンに撮されてる。


例によって私とチェロは見切れている。


『これ、勇者7にないけど、すげーいい』

『チェキボーって、テイマーでもテイムできないのに、アリアちゃんは特別だな』


アリアのこういう所が、アストリア人にウケる。


ダンジョンから15キロの距離をチェキボーに揺られて、目的地に着いた。


「アリアさん、サラさーん」


マリーとミリーに合流した。式典の前に、サイタマ解放団の人間に会った。


「サラさん、アリアさん、紹介するよ」

「解放団のみなさんです。リーダーと副リーダーは、夫婦です」


まず、リーダーはヒト族の女性だった。175センチある、腰に剣を下げた、いかにも戦士タイプ。もちろん黒髪で少し色黒の精悍な感じ。


それ以上にアストリア人、特に女性が反応したのが副リーダーの旦那さん。


『ヒューイだ!!』

『聖女、この方をアストリアにお連れしてえ』

『たなびく黒髪が素敵!』


私も初めて見る、黒髪のピューマ獣人。少し目が細く、身長が185センチある美丈夫。


アストリア人から見ると、とんでもない美男美女のカップルだ。


『勇者5』の中でも、黒目黒髪のカップルとして登場する。


ゲーム製作者の日本人召喚者は、基本的にキャラの髪と瞳の色をカラフルにしている。


この夫婦キャラは渋々、黒目黒髪にしたそうだ。


だがアストリアでは、この夫婦の出会いから愛を育むまでの軌跡を描いた、スピンオフ作品があるほど人気のキャラ。


ちなみにスピンオフ作品があるキャラは、あと8人もいる。


みんな、製作者が嫌々作った黒目黒髪キャラだ。


リアルに見ると、アリアの次くらいに魅力的だ。


このヒト族フランソワと、獣人ヒューイは、共にレベル42で28歳。


アリアがリーダー、副リーダーに握手を求められた。なんせ私の勇者は、元凶のサラマンダーと魔族をまとめて倒してる。


「あんたが仲間の命の恩人だね。ありがとう」

「感謝してる!」


私は、解放団の男子連中に囲まれた。副リーダーの弟もいて、これまたピューマ獣人の超ハンサム。


握手を求められてニヤニヤして応じたら、アリアに腕をつねられた。


「いでっ」

「サラってば・・」


なんで?


解放団のリーダーと副リーダーは冒険者でもあり、身体強化レベル4、剣技レベル1。HP、攻撃力の数値が測ったように630、696と同じ。


『14歳の初対面では張り合ってばかりいたんだけど』

『切磋琢磨するうち、お互いを認め合い』

『いつしか種属を越えて愛し合ったんだよね』


『すごいわ。美少女アリアちゃんが出会う、大人の美男美女カップル』

『リアルで見ると、尊い美のトライアングル』


『聖女、平凡なアストリア顔が映ると興ざめだから、三歩下がってよ』


さっきから、コメント欄が女性から寄せられたやつばかりで埋め尽くされている。


そして私に容赦ない。


スパチャが増えてるから結果オーライ。



1時間もしたら、授与式が始まった。


けど、私とアリアは開始と同時に、この場を離脱した。アリアにも何か起こる予感がすると言ってある。


さあ、戦いの時間だ。


アストリア視聴者

『襲撃者は、警備が手薄な川の方から来るはず』

『敵の数が多いから気をつけて』


「あんがと、みんな。一気に片付けるか」


なんと敵は100人もいた。


オールヒト族。貴族風が8人。あとは私兵と傭兵か。


「さーて私のでばん・・」

「こんな相手にサラの手を煩わせる必要もないわ」


「へ?」


「召喚、オユキサン」

『あいよ、あるじ様』


私が知らないところで、魔力コスパも抜群な氷と電撃の融合技を完成させてた。


オユキサンが氷を乱舞させる。そこにアリアがビリバリ×10。


『エレクトリックダストとでも名付けようかね。それっ』


「ぎゃっ!」

「なんだこれは!」

「逃げ場がねえぞ、どうなってる!」


電気を帯びた氷が飛び交い、当たった敵が次々と倒れていく。


光が乱反射して見た目もキレイなんだよ。


アリアと召喚獣オユキサンで敵全員を無力化してしまった。


ますます私の出番がない。



襲撃者は武器、防具を取り上げて、カスカベ侯爵家の兵士に引き渡した。


うん、この1週間、私は戦闘してない。なのに配信はウケてる。


◇聖女サラチャンネル◇

登録者数793万人

4997万ゴールド


こうしてサイタマ編はエンディングを迎えた。

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