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名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します  作者: #とみっしぇる


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37 道中も前倒しなら、エンディングも前倒しのサイタマ編

サラだ。まだトコロザワダンジョンのボス部屋にいて、ドロン子機から送られてくるアリアの映像を見ている。


何とか間に合った。


アリアにサラマンダーの尻尾が直撃したとき、私は顔面蒼白になってた。


けど、ギリギリで第2のオーブの力が届き、オユキサンがアリアの召喚獣になった。


勝手に動いて、最高の仕事をしてくれた。


サラマンダーを倒し、インキュバスのラリホーをアリアが討伐する手助けをしてくれた。


私はその場にへたりこんだ。アリア、死ぬとこだった。


「安心したら腰が抜けた」


アストリア視聴者

『いいってことよ。アリアちゃん大ピンチだったもんな』

『怪我や火傷があるけど、聖女と合流すれば治るよな』

『ほんとによかった。助かって良かった』


「私だけじゃ、オーブの力をアリアに届けるなんて方法は思いつかなかった。アストリアのみんな、ありがとう」


ドロンに向かって感謝した私を、みんなでねぎらってくれた。


そのまんま映像見てたら、サイタマコロシアムではオユキサンが畳み掛けてた。


人々の精神操作をしてると思われたラリホーが息絶えると、予想通りのことが起こった。


クマガイと、その取り巻き以外が、はっとした表情になった。


「あ、あれ、私は何をしていた」

「マリー様の窮地に、救いに行くどころか喜んでサラマンダーを応援していた」

「わ、私はなんてことを」


クマガイが、「やつらを殺せえええ!」と叫んでも、クマガイの護衛兵さえも動かない。


そして、いつの間にかオユキサンがクマガイのいる貴賓席に立っていた。すでにクマガイの取り巻きはオユキサンが凍らせている。


『ほら、クマガイとやら、あんたもキン●マ付いてるなら腹を決めておくんなさいな』


ふわっと、オユキサンが手をかざす。


すり鉢状のコロシアムの最上段にいるクマガイの足元から闘技場まで、氷の滑り台ができた。


『ほれっクマガイの旦那。最後はマリーちゃんと頭同士の一騎打ちだろ』


「お、お、お? うおおおあおあえいおーー!」


滑り台に乗せられ、闘技場に一直線のクマガイの前には魔法を準備したマリーが立っていた。


「ファイアランス!」炎の槍がマリーから5発、一斉に発射された。


「ぎゃあああああ!」


やはりハードモードの世界では、優しくておっとりしているマリーでさえ敵に対して容赦ない。


ファイアランスを5発食らったクマガイは、地上に落下したときにはぴくりとも動かなくなっていた。



戸惑うコロシアム内の人々に対して、マリーが叫んだ。口調も少し変わった。


「逆賊クマガイは私が討った。コロシアムに集められた貴様らは、卑劣な魔族に操られていたのだ!」


マリーが、ちらりとアリアの方を見た。


「隙を見せ操られた貴様らの呪縛を解くことは、ここにいるエルフの男女、ハーフエルフのアリア殿、3人の助けなくしてあり得なかった」


場内がどよめいている。


「よって、カスカベ侯爵家の次期当主候補として彼らの義に応える。私と姉のミリーは周辺領で虐げられている他種族をサイタマ領で保護することを宣言する」


反論の声は上がらない。


コロシアム内には領内の有力者の大半が集められている。操られながらも、ミリーとマリーの虐殺ショーに手をたたいてしまった記憶がある。


すでに立場は崖っぷち。マリーも、他種族擁護に賛同するなら罪は不問。そう暗に言っている。


ぱちぱちぱちと拍手が鳴り始め、コロシアム中に拍手の音が響いた。


マリーは神器スマホを使ったアリアから、ミリーと私が危機を脱したことも教えられた。


あとは父侯爵の救出だが、拷問の末に瀕死らしい。


後日談では、侯爵は今まで通りにヒト族至上主義を掲げ続けようとした。だからマリーが『捕まった時に深刻な負傷を負って再起不能』と発表して幽閉した。


本当に貴族らしくて怖い子はマリーだった。


オオミヤコロシアムでは、マリーが一気に問題を解決した。


こちらは転移魔法陣で250キロ先に飛ばされた遠征組。



帰ろうかと思ったが、英雄になったマリーと違ってミリーの立ち位置が微妙かも。


今回は活躍した訳ではないが、逃げた訳ではない。


むしろマリーを転移魔法陣から押し出し、自分は絶望的な戦いに身を投じようとした。私も少し感動した。


魔族ラリホーが宣言した通りケルベロスがいた。その素材でも手土産にしたいけど私が灰にした。倒した証拠もない。



「おいミリー」

「は、は、はい、サラさん」


「そんな緊張すんな。アリアと通信の魔道具で連絡取ったぞ。あっちも勝った。私達はケルベロス捕まえて派手に帰ろうぜ」

「へ?」


上級ダンジョンの50階にいるダンジョンボスは、リポップタイムが10時間。だから暇だ。


魔装の時間は残り30分。急いで49階への階段を昇り、私はミリーに50階へ退避できる位置で待たせた。


10分後には、背骨を折ったオルトロスのレベル63を2匹、ミノタウロスのレベル64を4匹、ミリーの前に運んだ。


「さ、ミリー。ボス討伐のドロップアイテム・ミスリルソードでとどめ刺せや」


「い、いいんですか」


「妹のため命をかけたお前に、パワーレベリングのご褒美だ」


魔装が解けてもしばらく戦闘して、4時間休んでケルベロスを2人で倒した。


倒した獲物を無限収納に入れたが、はめてる指輪を収納指輪と言っておいた。


ミリーのレベルが61まで上がった。カスカベ侯爵家の守備隊長のレベル43を上回る。


ちなみに私は46から60。


ケルベロス以外の獲物は私がもらった。


ここはレベルが上げにくいヤマト世界。


ミリーに言わせると、レベル33からレベル61へのパワーレベリングとなると、何億ゴールドもの価値があるらしい。


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