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名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します  作者: #とみっしぇる


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34 お前は本当の勇者だ

RPG『勇者と5つのオーブ』サイタマ編。


本当のシナリオは、勇者と使徒がサイタマで2個目のオーブを探して街を巡る。


半月してチチブの森に入ると、虐げられた民を助けようとしている双子の片方と出会う。


すでに片方は戦死していて、1人としか会わない。


そこから勇者と双子の片方が信頼を深めて協力し、反逆者クマガイと戦う。


勝つと、オーブがあるダンジョンの手掛かりをもらえる。そして2個目のオーブで勇者を強化する。


けどリアルなヤマト世界では、すべてが前倒しになった。


勇者アリアと使途サラこと私が、サイタマに入る前に双子と出会った。それも両方と。


さらにサイタマ潜入から2日目にはクマガイを倒しに行く。


RPGのストーリーだと、いきなり第二章のクライマックスにさしかかる。


◆◆

決起当日。


私達は、フード付きの服を着てコロシアムの観客席にいる。


場内は大歓声。


私達が救いにきたエルフ男女とサラマンダーの決闘という処刑劇はメインイベント。


模造刀で戦う騎士同士の戦いが3戦、武道家同士の戦い2戦が終わった。


いよいよ、このあとだ。


双子とアリアには、アウトラインは話してある。裏に魔族がいるなら、そいつがクーデター勢力を操っているのではないかと。


反逆者クマガイは貴賓席の真ん中にいる。護衛も山ほどいる。


けれど、私達が本当に警戒しているインキュバスのラリホーらしき奴が見当たらない。


だから、メインイベントまで待つしかなかった。



「偉大なるヒト族の同士達よ!」


エルフ族の男女が直径40メートルのコロシアムに押し出された。耳がアリアより細くて長い。格好は、シャツとズボンだけ。


わあああ!と、クマガイの言葉に沸いた。


ヒト族、獣人族、エルフ族、魔族に、すでに垣根がないアストリア人の私には不快な言葉だ。


それはアストリア視聴者にも同じようだ。

『何あれ・・』

『程度が低いな』

『聖女、俺の代わりに殴ってくれ!』


クマガイは続けた。

「サイタマの繁栄を阻止しようとするエルフを捕らえた。しかし私も鬼ではない」


それまで開かなかった通路の鉄格子が開いて、サラマンダーが現れた。レベルは44。


横には180センチくらいのマントを羽織った奴が立っている。


マントを着た男には、左右に剣を抜いた人間が護衛として立っている。3人とも顔は仮面付き。


「私が用意したサラマンダーに勝てば、2人を解放する!」。クマガイが宣言した。



やっと真の敵が現れた。ラリホーはサラマンダーと一緒にいた。


魔力が1人だけ濃くて大きい。


考えてみれば、私を除けばコロシアム内で1番強いのはサラマンダー。操ると同時に護衛に使ってた。


臆病というか、慎重な奴だ。


「真の敵も出てきてくれた。行くぜ、みんな」

「分かった」


「よし」

「はい」


ジャンプして、4人で闘技場に降り立った。


「何者ですか?」


ラリホーが動じていない。


ミリー、マリーがフードを取って顔を見せた。


「カスカベ侯爵家長女ミリー」

「次女マリー」


「誰かエルフ共を助けに来ると思っていましたが、大物が釣れましたね」


「もう、お前らの思い通りにはさせねえ!」



「お会いできたのは光栄ですが、あなた方を地獄に送る準備はできております」


「え?」「え?」


ラリホーが右手をかざすと、双子の足元に赤黒い魔法陣が浮かんだ。


「ははは。その転移魔法陣は1年もかけて準備したもの。転移先にはレベル70のケルベロスが待っていますよ」


「させるか!」

叫んだのはミリー。マリーを魔法陣の外に強く押し飛ばした。


マリーは転げながら難を逃れた。けど、ミリーはその間に、完全に魔法陣に捕まった。


「ミリー!」


私は瞬時に考えた。ああ、サイタマ編で双子の片方が戦死する、というフラグは立ったまんまだったと。


正直、助けてやりたい。魔法陣は目の前にある。


女神に間違い転移を2回も食らった私の経験上、あと2秒くらい魔法陣は有効だろう。


けど、私がここを離れたらアリア、マリーと丸腰のエルフ2人で、サラマンダーや魔族、クマガイの手下と戦うことになる。


葛藤してた。


どんっ、背中を強く押された。

「え?」


私はアリアに押されてた。そして魔法陣に捕らえられた。



「行ってサラ。ミリーを助けてあげて!」


決意の眼差しだ。


漆黒の瞳が澄んでる。


やっぱり本物だ。



アリアお前は、本物の勇者だ。



けれど、私の口から出たのは叫び声だ。


「お前はどうすんだ、ばかやろー!」


今回ばかりは、アリアの優しさが裏目に出た。


一体、どこに飛ばされる。


死亡フラグが双子の間を行ったり来たりしてる。


敵を倒してアリアが生き残ってるうちに、アリアの元に戻ってこれるのかよ。


手が透けていき、目の前の景色が反転した。

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