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名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します  作者: #とみっしぇる


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30 鳥魔獣チェキボーをティムした

イバラギ領のトリデ近くで、アリアを馬鹿にした貴族一行を助けると同時に水攻めの刑にした。


これでトラブル確実だから、私達はトリデの街に寄らず西へ。野宿や小さな村の一角を借りて夜を過ごした。


無限収納に大きなテントと食糧は入れていた。聖女の結界は5メートルのドーム状に作れた。魔物や盗賊を警戒して、神経をすり減らすこともなかったぞ。


◆◆

トチギ領に入って2日、やっとニッコーの森がある山地だ。


やはり盗賊が現れたが、レベル30程度だからアリア1人で8人を制圧した。


ちょっと疑問がある。


「アリア、なんでチバ、イバラギ、トチギの奴らは同じように、レベルが高くないんだ? トチギなんて上級ダンジョンが2つもあるんだろ」


「ん? それは当たり前よ。上級でもダンジョンの上層を回ってたら、レベル40が限度だもの」


「どういうことだ?」


リアタイムで見ているアストリア視聴者も同じ疑問だ。

『どういうこと、アリアちゃん』

『物資を持って深く潜ればいいじゃない』


「え~と、そこのところが、このヤマト世界とアストリア世界の違いですよ」

アリアが答えた。


決め手はアストリア世界で300年前に実用化された魔道収納指輪。


『あ、そうか、ヤマト世界は収納指輪が超レアだった』

『運べる物資の量の問題だ』


人造の収納指輪が普及しているアストリアでは、時間をかけてダンジョンを10階単位で攻略するのが基本だ。


それを可能にしたのが、収納指輪に入っている豊富な物資。


薬草摘みの私には縁がなかった話だから、聴き手に回ってる。


ヤマト世界では収納指輪は、上級ダンジョンの1番目の攻略者、なおかつボス戦に2人以下で挑んだ時に1個もらえる。


そこが最低の取得条件となるスーパーレアアイテム。


収納指輪がないことが前提のヤマト世界では、ダンジョンに潜るとき食料、飲料水、予備の武器など、多くの物資を手で運ぶ。


魔物との戦闘の前に、厳しい条件が重なる。


お宝も100パーセントは持って帰れない。金が多く稼げないから、装備も強力な物に新調するのに時間がかかる。


ダンジョンボスがレベル40~45の中級なら最後まで行けても、上級ダンジョンとなると10~20階で断念する冒険者が大半。


そんな訳でヤマト世界の人間の大半は、周囲に高位ダンジョンがあっても、レベルが40くらいで頭打ちするという。


長寿種のアリアは64歳。私と出会う前がレベル42だったけど、レベル40に到達したのは40歳。そこからレベルを2つ上げるのに24年もかかっている。


これ聞くと、私とアリアの無限収納はヤバいもんだと、やっと分かった。


◆◆

ニッコーの森に到着した。


森の入り口に続く街道は、ちょっとした観光地。


私達のお目当ての鳥魔獣チェキボーは基本、攻撃してこない。そしてエサをあげると3メートルくらいまで近付いてくる。


大好きなエサはニラニラ草。これは自生してるやつが少なくて、少し離れた場所で栽培している。


で、観光業に携わる人は、ニラニラ草を持ってチェキボー探索ツアーをやったりする。


人間の接近を許す代わりにチェキボーは素早い。


平均的なレベル30の個体で攻撃力は180しかない。代わりに素早さが800もある。


エサを持ってきた人間が変な動きをすると、ためらわず逃げる。そのスピードがあるから至近距離まで接近するそうだ。



私はアリアを連れて、森の奥に入ることにした。レベル35の熊が出るけど、私とアリアなら問題ない。


ドロンもアリアを撮影している。


「アリア、私の方がチェキボーより速い。見つけたら捕まるから、そいつに従魔の首輪を付けようぜ」

「お願いサラ。今の私のスピードじゃ、追いつけないもんね」


1時間くらい森の中を歩いた。すると、チェキボー2匹とブラウンベア1匹のセットが現れた。


『アクション!』


いや、ダンジョン内じゃないぞ。3匹一緒に、こっちに向かってくる訳ではない。


チェキボー1匹の翼がざっくり、そんで横たわっている。ブラウンベアにやられた模様。もう一匹が、その子を庇ってベアに抵抗している。


とりあえず、目的はチェキボー2匹だから助けることにした。


「おい、熊」

威圧した。

「ぐるる?・・うるるるる」


涙目になった熊は、本能で引くことに決めたようだ。


けれどブラウンベアも獲物を捕まえる寸前だった。正当な権利を邪魔するのは私だから、大型ニワトリを無限収納から出してベアにあげた。彼はニワトリをくわえて去っていった。


チェキボーの方を見ると、元気な方も逃げていない。倒れた仲間を庇ったままだ。


脚がガクブルなのに大したものだ。本能に逆らえるということは、知能も高いあかしだ。


こいつら、つがいなのかも。


「サラ、倒れている子がまずいよ」

「ありゃ、ホントだ」


深手を負った方が死にかけ。私は迷わず『結界魔装』でステータスを10倍にした。


私が死にかけたチェキボーに向かって女神印のハイヒールを唱えた。アリアは無事な方をなだめながら、ヒールをあけてやった。


ぱああああと、2匹とも光って元通り。


「さて、どうしたもんかね」

「この子達は逃がそうか、サラ」


などと言っていると、瀕死だった方が私にすりすりしてきた。一匹はアリアにすりすりしている。


コメント欄

『おおっ、アリアちゃんの優しさにチェキボーが自分からテイムされにきたぞ』

『勇者5のストーリーと微妙に違うけど、これはアリ』

『うんうん、こっちの方がいい』


ドロンは、アリアがチェキボーにヒールをかけるシーンを撮影していた。そして私の強烈なハイヒールは見切れていた。


まるでアリアがチェキボー2匹を治療したかのような、心温まる映像に仕上がっていた。


まあ、これでスパチャが投げ込まれたんだかな・・


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