25 1個目のオーブの力と、今さらながら『導きの石版』
女神の使徒のような私が、アリアを勇者にした。
魔王軍との戦い身を投じるアリアは、私に協力すると言ってくれた。
「アリア、すまねえ。勝手に決めちまって・・」
「サラと旅をする上で、足りないと思ってた力をもらえるんでしょ。感謝してるよ」
「まだ1個だけど、オーブを見つけて取り込めば格段に強くなるらしいぞ」
言わずもがなでドロンがアリアを映している。
「ふふ、楽しみ。アストリアの皆さんも応援してくれるし、ワクワクしてるよ」
そのアストリアの視聴者
『リアル「勇者5」の主役をアリアちゃんがやるなんて、テンション上がる!』
『楽しみすぎて大興奮』
『聖女、アリアちゃんを死んでも守れよ』
そして興味津々な声が上がる。
『で、アリアちゃん、1個目のオーブからなにもらったの?』
「それが、まだ自分では分からないのです」
「そうか、じゃあ私が鑑定するよ」
「サラ、お願いします」
ドキドキの鑑定結果は。
「勇者セットだ」
1個目のオーブは『勇者セット』。これは事前に聞いてた。
『おおお、ゲームと一緒だ』
『女神、頑張った。リアルに、アレぶっ込んだか』
「サラ、どういうこと?」
「すげえぞ、アリア。まず私と同じ無限収納だ」
「・・え?」
RPGゲームでは普通にキャラにセットされるストレージ。それは無理のようで、アリアは私と同じ無限収納をもらった。
ゲームから見たら劣化版。けど、現実に無限収納なんてもらったら、価値は洒落にならない。
アリア、目が点になってるぜ。
そしてレベルに合わせた呪文の数々。
このゲームの勇者とは何でもやれる無節操キャラ。
『勇者5』ではレベルが5上がるごとに何か覚える。
教えた瞬間、アリアの肩がビクッと震えた。
「サラ、突然、頭の中でファンファーレが鳴り出しました」
アリアはすでにレベル45。
レベル1『生活魔法』
レベル5『ヒール』
レベル10『ビリビリ』
レベル15『キュア』
レベル20『ロックアイス』
・・・・
ビリビリとは、希少な電気魔法。アイス系統もレア。
アリアは攻撃に使いやすい第2段階の『ビリバリ』、『アイスバレット』を覚えた。
回復魔法も骨折を一時間で治せる『ハイヒール』を覚えた。
私の結界魔装版ハイヒールは死にかけたシスターを治したが、私は例外だぞ。
アリアはゲームキャラではない。嬉しいのは、元から持っていた身体強化レベル2。風魔法レベル2。精霊魔法レベル2がそのまま残っていること。
「サラ、勇者になるとは、すごいことですね・・」
戸惑い、他人事のような感想に視聴者大ウケだ。
また、アリアの無限収納には神器スマホが入れてあった。プラスして神器ドロンの子機もあった。
スマホはアリアと別行動するとき便利。ドロン子機は私の操作になるけど、私と離れた状態でもアリアの配信ができる。
◆◆
マクハリの孤児院に帰ってきて2日後、アリア、ベン、ハンナと戦闘訓練をしてると、再びチバの領主に呼ばれた。
なんと、街の広場に石板が現れたという。
『女神、今になって「勇者5」に導きの石板があったと気付いたな』
『忘れてたんだ』
『インフラ追い付いてない』
アストリア視聴者は女神をイジリながら見ているが、アリアだけは真剣だ。
新たな神託が降りたと思っている。
チバの広場に行くと、ざわついていた。
「使徒サラと勇者アリアが来たぞ」
私の登場に地元民が沸いている。
突然、広場の真ん中に出現した一辺2メートルの四角い石板。文字が光ってる。
領主のラッカセイ伯爵も来ていた。
「サラさん、導きの石板が現れた。そう端っこに彫ってある。しかし肝心なことが古代語なのかルーン文字なのか、良く分からない文字で書いてある」
石板を見た私は、驚いた。2つの意味で。
私にはなんと書いてあるか解る。言語ラーニングが働いた訳じゃねえ。
だって書いてある文字が、単なるアストリア共通語なんだよ!
『サラよ、お願いがある。勇者を指名したことだし、魔王討伐の旅に出てくれぬか。主神ゼウスに、私がサラを間違ってヤマト世界に飛ばしたと疑われておるのじゃ』
「なんだこりゃ・・」
『報酬は用意するから頼む。使徒として遣わした者として行動し、そちらの世界でつじつまを合わせてくれぬか』
完全に失敗を隠蔽しようとしてる。これ、拒否っていいよな。
そう思っていると、石板の文字が消えた。そして違う文字が浮かんてきた。町の人がどよめいた。
『魔王を倒した暁には、アストリア世界に帰す。そして可能な限り、願いをひとつ叶える。お願いじゃ、頼む!』
「分かった」
結論、私は女神のお願いを引き受けることにした。
石板の文字が再び消え、レインボーの文字が浮かび上がった。
『ヨシ!今後はサラをアストリアに戻すため力を蓄えねばならぬ。余計な連絡は控えるぞ。魔王を倒したら、再びここに来るのじゃ』
アストリア視聴者のコメント欄は『・・・』で埋め尽くされていた。
女神なのに、神族なのに、人間に呆れられている。
手掛かりゼロからアストリア世界への帰還方法を探すことは困難に感じてた。
女神が約束してくれるなら確実だろう。ただ、旅の手掛かりに関して何も印してなかった。
こうして私はアリアを巻き込んで、『勇者と5つのオーブ』のストーリーに沿った旅を始めることになる。




