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名前の読み方が同じだから聖女として間違い召喚されました。勇者活動より弟妹の食費稼ぎを優先します  作者: #とみっしぇる


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24 私が勇者になれるのなら

使徒と思われる私はサラ。その私に勇者認定をしてもらえると思って、堂々と人前に出てきた男子がいる。


今いるチバの領主ラッカセイ伯爵の次男・カラッパ15歳。


私に断られると、みるみるうちに顔色が変わった。


アストリア人視聴者のコメント欄

『女神にRPGのキャラに急遽仕立て上げられたんだろうな。というか操られた?』

『公衆の面前で告白、即、断られる』

『公開処刑を食らった直後に、強制力から解かれたか・・』


『勇者5の伯爵家次男は穏やかなキャラだったけどな』

『リアルにいる人間を使ってるから、役割が終わったら素が出るんじゃね?』


『なんかしでかしそうだな』

『恥の上塗りwww』

『www』


視聴者は楽しいだろうが、リアル登場人物の私達はたまったもんじゃない。


人々が詰めかけた街の広場。


本来は素行が悪そうなカラッパの手下か仲間が、ぞろぞろと前に出てきた。


私の予想通りなら、カラッパの仲間はヒト族以外を認めない、偏見主義者だ。


カラッパが口火を切って、次々と男達が騒ぎ出した。


「うちの父親が英雄認定しても、獣人やハーフエルフなんか認めるか!」


「そうだそうだ」

「劣等種どもに、人権なんかあるか!」

「勇者はカラッパさんしかいねえだろ。やり直せ」


それに合わせて騒ぎ出す人間も出てきた。


民度が低い。そんなヤマト世界の人間に、アストリア世界の視聴者も唖然。



「やめて下さい!」

アリアが叫んだ。そして、広場が静まりかえった。


アリアをカラッパが睨んでいる。


「カラッパさん」

「んだよ、中途半端なエルフ野郎が」


「あなたは何のために勇者になりたいのですか」

「決まってるだろうが。勇者の力を使ってこの国で成り上がるんだ」


「自分のために力を振るうのですね」

「当たり前だ、最後は富と権力が約束される。だからリスクを背負うんだろうが」



「あなたに勇者になる資格はない」

「何を!」


激高したカラッパがアリアに殴りかかった。私はなんとなく、止めに入ってはいけないと感じた。


がっと、鈍い音がしてアリアは頬を殴られた。よろけて、唇の左端から血が出ている。


「欲のためじゃねえなら、てめえは何のために戦うんだよ!」


「力をもらえるなら、守りたい者のために使いたい」


アリアはカラッパの目をまっすぐ見た。


「魔王軍から国を守るなんて大それたことは考えていない。そんな力もない。それでも守りたいものがある」


アリアの言葉に、カラッパや仲間も口を挟めない。


「だから私は魔族に立ち向かえた。嫌われ者の私を受けれてくれた孤児院のみんなが勇気をくれる。子供達を守る力があれば、それでいい」


真っ直ぐなアリアの瞳に、私の胸が高鳴った。


「私が勇者になれるのなら、孤児院の勇者であればいい」


アリアの声が響いた。


すると私の無限収納に入れてた、第1のオーブが私の手の中に現れた。


真っ白なオーブが輝きだした。


オーブが光ってる。だよな。私の中で勇者は誰か、もう決まってた・・



「アリア、受け取れ」


力も入れてないのにオーブが砕けた。そして光の奔流となりアリアに向かっていった。


驚くアリアの胸に光りがぶち当たった。そして胸に吸い込まれ始めた。


「・・サラ?」


「オーブと私がアリアを選んだ。私の勇者はアリア、お前だ」


アリアは『勇者と5つのオーブ』の勇者候補10人に入ってないだろう。だけどシナリオも強制力もくそくらえだ。


どうせ魔王軍が攻めてくるのなら、私がアリアの面倒を見る。


そんで、ヤマト世界でアリアを差別する奴らを見返せるくらい強くする。


誰もが唖然とする中、アリアの胸に光がすべて吸い込まれた。


「私が・・勇者?」

「ああ、そうだ」

アリアの手を取って見つめてる。真っ直ぐに見返された。


鑑定するとアリアに勇者の称号が刻まれてた。



「アリア君、サラさん」


ラッカセイ伯爵が目の前に立っていた。そういえば存在を忘れていた。


「うちの次男が失礼した」

「まあ、まだ若いししょうがねえよ」


本当はぶん殴ってやりたいが、『勇者5』のストーリー強制力に巻き込まれた節もある。ちょっと可愛そうだから勘弁してやる。


「私達4人は、今日のところは帰るよ。次男さんにケチもつけられたしな」


「面目ない。アリア君への慰謝料と治療費は、必ず届ける」


「それでいいかアリア」

「うん」


だけど、まだあきらめていない奴がいた。すでに、元勇者候補となったカラッパだ。

「待てよサラ。お前、さっきの光は何だよ。俺も勇者にしろよ」


「馬鹿者! 衛兵、カラッパを連れてボーソー南端の訓練所で鍛え直せ。最低1年は戻すな!」


コメント欄

『聖女がアリアちゃんを勇者に選ぶの期待してたぞ』

『今度はアリアちゃんが織り成す「勇者5」が見られるな』

『次はイバラギ経由地でトチギエリアだぞ』

『よっしゃー』


『RPGの決まり破って勇者候補10人以外を選んだな。だけどアリアちゃんなら認める』

『だな。認める』

『認める。これ、アリアちゃんの門出にご祝儀』


スパチャが5000ゴールドも投げ込まれ、それを皮切りにアリアにプレゼントだらけ。


◇聖女サラチャンネル◇

登録者数348万人

スパチャ合計962万ゴールド


あれ? 加速してるぞ。


アリアの活動を映すために『勇者5』のシナリオから外れようと思ったけど・・


思い切って『勇者アリアと5つのオーブ』でコラボさせた方が注目度倍増じゃね?


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