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21. クッキング-1-


「それじゃ、始めようか。」


ヒスイが腕をまくる。授業開始の合図らしい。


3週間の休息と細やかな治癒魔法に怪我もすっかりよくなったところで、今日から魔法の実践訓練が始まった。


「レッツクッキング!」


えいえいおー、と拳をつき上げるヒスイ。

危うく私もつられかけたが、なんとか踏みとどまった。

いけない、何か方向性の違うことが始まろうとしている。

聞き間違いだと思うけれどきいておかなければ。


「あの、ヒスイ。」


「はい、エマ!」

挙手すると、ヒスイは嬉しそうに私を指名した。


「今日は魔法の実践練習のはずじゃ……?」


「いい質問だよ、エマ。」


するとヒスイは待ってましたと言わんばかりににっこりと笑ってその辺を歩き回りながら説明を始めた。


「なぜ魔法の習得に料理が必要なのか、それは料理が魔法の習得に一番の近道だから。この一言につきる。

魔力の繊細なコントロール、属性の組み合わせの試行錯誤、各工程に求められる手際のよさ、動きの完成系をイメージする力、そして、それらの完成度の答え合わせが一品の料理として皿の上に乗ってくる!」


「なる、ほど。」


聞いているとそれらしく思えてきた。


「それじゃ、やっぱり入学試験の実技試験なんかも…」


「ううん、それは普通に模擬戦闘。」


「?」


「というかね、学園では料理はやらないよ。」


「???」


「まあ、平民もいるとはいえ、ほとんどが貴族のお嬢さんお坊ちゃんだから。料理なんてさせられないだろうね。」


呆気にとられた私にヒスイはすかさずフォローを入れる。


「ともかく、手っ取り早く上達するにはこの方法が一番なんだよ。まずは騙されたと思って僕に付き合って。ね?」


別に端から彼の計画を疑っていたわけではないのだが、ここまで言われたら信じてついていくしかない、と、エマは力強く頷いた。


「うんうん。それじゃ、気を取り直して、レッツクッキング!」


「く、クッキング…っ!」





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