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新設備

「いい人たちだったねぇ、おはぎ」

『にゃっ』


 腹ごしらえもできたので、私のテンションは上がっている。やはり人間お腹が減っていてはいかんのだ。


「あと20キロくらいでマルルの街だから、そこでいろいろ揃えよう。クッションとかも買って、キャンピングカーを充実させなければ!」


 う~ん、考えただけでも楽しそうだ。

 すると突然インパネからピロン♪ と音が鳴った。



 《レベルアップしました! 現在レベル3》



「わっ、レベルアップした!」


 二回目のレベルアップだ。

 私はワクワクしながらインパネをタッチして、何ができるようになったか確認する。



 レベル3 ポップアップルーフ設置



 なんと!!

 私は慌ててキャンピングカーを街道から草原にちょっと入ったところへ停める。そしておはぎと一緒に居住スペースへ行き、ポップアップルーフの確認を行う。


 ポップアップルーフとは、キャンピングカーの屋根の部分の設備だ。

 天井を持ち上げることにより、上に空間――二階を作ることができる。後方部分が開く形になっているので、走ってきた道が一望できて爽快感がある。

 できあがった空間部分はテントが張られていて、虫などの侵入を防いでくれるし、透明部分があるので空や周囲を見ることも可能だ。

 確認するとテント部分のつなぎ目にはチャックがついていたので、テントを外して開放的に使うこともできるみたいだ。

 床の部分ははめ込み式の板があるので、それを敷くと寝転ぶことだってできてしまう、最高のまったりスペースなのだ……!


「おおおおお、すごい!!」

『にゃ~!』


 おはぎは新しい空間に興味津々で、ふんふんとテントの匂いをかいでいる。そのまま体を擦りつけて、ここは自分の縄張りだと主張しているのがとても可愛いです。


 私もポップアップルーフに上がって、おはぎの隣に座る。

 さすがキャンピングカーの屋根部分ということもあって、遠くまでよく見える。――というのも、どうやら朝陽が昇る時間みたいだ。山の向こうからゆっくり明るくなってきている。


「綺麗だねぇ、おはぎ」

『にゃ~?』


 私は朝陽の美しさに感動したけれど、おはぎは興味がないらしくぐぐーっと伸びをしている。脚を片方ずつ伸ばしているのが最高に可愛い。器用だ。

 そのまま私のところへやって来たおはぎは、ぐりぐりと頭を擦りつけてくる。手の甲をおはぎに向けると、これでもかと頭を擦りつけてきた。


「んん~、可愛いがすぎるんですが?」

『んにゃ~』


 ぐりぐりすりすりと甘えてくれるおはぎに、私はメロメロです。

 しかしおはぎは満足したのか、座っている私の膝の上に乗ってきて丸まってしまった。どうやら眠たいみたいだ。


「そうだよね、今日はいろいろ連れまわしちゃったもんね」


 わずかに聞こえてくるおはぎの寝息に頬を緩めながら、私は優しくおはぎを撫でる。ふわふわのもふもふで、最高級の肌触りだ。

 ……あ、もう膝が温かくなってきた。

 おはぎの体温を感じると、私も自然と眠くなってくる。


「……そういえば、今日は寝てなかった」


 舞踏会で婚約破棄をされ急いでセルフ国外追放をしたのだから、休むどころではなかった。けれどこれからは、好きなときに休めるだろう。

 もう妃教育だってする必要ない! そう思うと、晴れやかな気分になる。

 それに王子よりおはぎと一緒にいる方がいい。


『にゃふ……ん』

「ん? ……寝言かな? 可愛いなぁ」


 おはぎの眉間を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らしてくれる。

 猫は本来旅などを嫌うと言われているので、ストレスなども溜まってしまっているかもしれない。私が撫でることで、ちょっとでも癒えてくれますように。


 ……これからは、このキャンピングカーがおはぎの家になってくれたらいいな。

おはぎ>>>>>>超えられない壁>王子

次はマルルの街です。


感想など増えてきて嬉しいです。

ありがとうございます!

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『悪役令嬢はキャンピングカーで旅に出る』詳細はこちら
小説1巻、本日(2023年9月8日)発売です!

https://img1.mitemin.net/1j/xf/fjsc5cqrcut14jt01ntn4usw4kwq_7yk_yb_1ed_co95.jpg
― 新着の感想 ―
[良い点] うんうん!車上で眺める朝日って独特ですよね。 [気になる点] おはぎよ、車内での用足しは厳重注意だからね。 (おじさんは助手席の甥っ子が突然立ち上がって用足しした時は言葉が出ませんでした)…
[気になる点] キャンピングカーの能力ですがこの世界観だと道がぬかるんでいたり尖った石が多かったり等車が走りにくいこともあるはず。それらから車を護り快適に走れる能力はあったりするのでしょうか。 なん…
[良い点] 一人と一匹旅!楽しそうで何よりですね。
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