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薬草採取チャレンジ

 薬草は、初級ポーションの材料になる。

 青緑色で、丸みを帯びているため分かりやすいとラウルが教えてくれた。


「なるほどなるほど。でも、ポーション作りも楽しそうだよねぇ」


 キャンプの焚火で作れたりしたら、最高に楽しそうじゃない? なんて考える。

 そう思うのだけれど、残念ながら私は錬金術師ではない。ポーションを作るには、錬金術師のスキルが必要みたいだからね。


「自分で作れたら安く済むしなぁ」

「確かに! ポーションって、高いもんねぇ」


 ラウルの言葉に笑いながら、私はしゃがみ込んで周囲を見回す。

 私の腰くらいまで背のある草からくるぶし程度の背のある草まで様々で、小花が咲いているものもある。

 おはぎは背の高い草の葉をちょいちょい猫パンチをして遊んでいる。


 ……なんだか楽しくなってきたかも!


 キョロキョロしていると、それらしき草があった。


「あ、これじゃない!?」


 私が目をきらめかせてラウルに告げると、「おしい」という言葉が返ってきた。

 どうやら薬草じゃなかったみたいだ。


「これは薬草もどきだ。初心者がよく間違えるから、もどきって呼ばれてる」

「ぐぬぬ……。まさか私がそんなのに引っかかるとは」

「ハハ。これは根元に近い葉がギザギザなんだよ。薬草はーーほら、根元も全部丸みを帯びてる葉だろ?」

「本当だ……」


 ラウルの言う通り、私が採取したものは根本部分の葉だけがギザギザしていた。

 これはちゃんと確認しないと間違えちゃうね……。


「まあ、最初はそんなものだって」

「そうだね! 次は薬草ゲットだぜ!」


 私は気を取り直して薬草探しを再開した。



 だいたい一時間くらいだろうか。集中して薬草を探した結果、カゴにこんもりするくらい採取することに成功した。


「やったー!」

「おお、大量だな」

「そうでしょーーって、ラウルの方が大量なんですけど!?」


 ラウルが採取した薬草はカゴに山盛りで、それどころか入りきらなかったものが横に積み上がっているではありませんか……。


「一応、俺の方がミザリーより冒険者生活長いからな? 流石に負けてらんねぇよ。それにここ、薬草いっぱい生えてたんだ。ミザリーが見つけてくれたおかげだな!」


 だから十分、私もすごいのだとラウルが誉めてくれた。くそう、イケメンかよ。

 次はもっと頑張るぞと思いながら立ち上がると、ラウルがまったをかけてきた。


「どうかしたの?」

「ミザリーは今日が初めての薬草採取だったろ? 間違いがないか確認しておいた方がいいと思って」

「なるほど! お願いします!」


 もし薬草もどきがたくさん混じっていたりしたら、ギルドからこいつ使えないなというレッテルを貼られてしまうかもしれない。それは困る。

 せっかく先輩としてラウルが見てくれるのだから、ここはお世話になろう。


「これは薬草、こっちも薬草……あ、これはもどきだな」

「混ざってたーー!」


 ラウルの判定を聞きながら、私は悔しさに打ちひしがれる。

 確認は大事だからお願いしたけれど、実は結構自信満々だったのだ……! くそう、ちゃんと特徴を教えてもらったのにもどきに気づかないなんて!!


「いや、これは仕方ねえって。初見殺しとか言われてるんだけど、ほら、根元の葉が全部丸いわけじゃないんだ」

「なんですと!?」


 悔しがる私を見たラウルは、丁寧に説明してくれた。

 そしてその理由を聞いた私は、ラウルが持つ薬草もどきを奪い取って根元の確認をする。


 …………本当だ! 根元の葉が一枚だけギザギザしてる!!


「酷い! こんなの詐欺だ!!」

「ハハハ」


 そして選別された薬草は、3分の2がもどきなのだった……ぴえん。

次は久しぶりのキャンピングカーレベルアップ! のはず!

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― 新着の感想 ―
[一言] いつも、のんびり、のどかな雰囲気が漂うお話に、癒されてます。 作者さんも無理せず、執筆されてください。ご自愛くださいませ。
[良い点] 何という酷い詐欺。薬草モドキ恐るべし、でしたね。
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