冒険者生活スタート!
買い物を終わらせた私たちは、街の宿に一泊して明日出発することにした。
安いけれど清潔感のある宿で、過ごしやすそうだ。ラウルとは部屋が隣同士で、今はそれぞれ自分の部屋で休んでいる。
私はベッドに寝転んで、おはぎを抱きあげる。
「ついに冒険者生活スタートだよ! 相棒としてよろしくね、おはぎ!」
『にゃっ』
おはぎが元気に返事をしてくれたので、私の頬は緩みっぱなしだ。
そのあとはおはぎを構い倒して、ねこじゃらしもどきの紐で遊んで、二人でくたくたになって寝落ちをした。
***
「ん~、今日もいいドライブ日和!」
朝ご飯を食べて宿を出て、私はぐぐーっと伸びをする。横を見ると、おはぎもぐぐーっと伸びをしている。可愛い。
今日はギルドでリーフゴブリン討伐の依頼がどういう状況になっているか確認をしてから、フルリア村に向けて出発する予定だ。
ラウル曰く、ギルドでは情報も入るし、依頼も毎日新しいものが追加されるから、可能な限り日参するのがいいのだという。
……冒険者も結構大変だね。
とはいえ、ファンタジーな冒険者生活には憧れるところもある。ということで、私は張り切って掲示板の前に立った。
リーフゴブリン討伐も、緊急依頼として掲示されている。
「でも私に討伐なんて無理だから――お、これなんてピッタリなんじゃない?」
私が見つけたのは、薬草採取の依頼だ。これなら私でもできるし、何より採取しすぎてもキャンピングカーで運べるので楽ちんだ。
期限は特に書かれていないので、常設依頼なのかもしれない。
「ラウル、この依頼も一緒に受けていい?」
「薬草採取か。いいと思うぞ」
「やった!」
ということで、昨日の受付嬢にさくっと手続きをしてもらって依頼を受けた。
そのついでではないのだけれど、リーフゴブリン討伐についても聞いてみる。もしまだ依頼を受けた冒険者がいなかったら大変だからね。
「それでしたら、今日の朝、冒険者が向かいましたよ。CランクパーティとBランクのソロ冒険者です。念のためまだ募集もしていますし、問題なく倒せると思います」
「そうですか、よかった!」
これでフルリア村も安心だと、私はホッと胸を撫で下ろした。
「それじゃあ、私も依頼があるのでフルリア村に行きつつ薬草採取をしますね」
「はい。頑張ってください」
受付嬢に見送られ、私とラウルはギルドを後にした。
「っふう~、一日ぶりのマイキャンピングカー!」
街から少し離れたところで、キャンピングカーを召喚した。
昨日買い込んだままだった雑貨は収納棚にしまい込み、運転席へ乗り込んだ。今回は薬草採取をしつつフルリア村に向かうので、ちょっとのんびり行きますよ。
「んじゃ、出発!」
「おー!」
ラウルがノリよく返事をしてくれたので、私もテンションが高めだ。ふんふん鼻歌交じりでキャンピングカーを走らせていくと、ふと背の高い植物が多い草原を見つけた。
「ねえねえ、ラウル。薬草ってああいうところに生えてたりするのかな?」
「え? 普通の薬草だったら割とどこでも生えてるけど……」
「そうなんだ!」
ゲームのときは薬草が出てくることはほとんどなかったし、貴族として生きていたときも関わりがなかったので、実は採取依頼が結構楽しみだ。
キャンピングカーを停めて、ここで薬草を探してみることにした。
書籍化のお祝いありがとうございます!
いいものをお届けできるように、改稿頑張りたいと思います。
次は薬草採取です!
そしてそろそろキャンピングカーのレベルが……ざわ。




