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マナとは……?

 キャンピングカーから下りると、私がいつも作るより二回りほど大きな焚火ができていた。しかも、木の枝に肉を刺して焼いているではありませんか。


「わあぁぁ~!」


 こんなのを見せられたら、テンション爆上がりですよ。

 椅子にちょうどよさそうな石もあるので、それに座って焚火にあたる。もうすっかり夜になってしまったので、ちょうどいい暖かさだ。


 私がニコニコで焚火を眺めていると、ラウルがちらりとキャンピングカーを見た。


「あれは出しっぱなしで大丈夫なのか?」

「え? ああ、そうかマナが……」


 背後に鎮座するキャンピングカーを見つつ、そういえばマナが切れたはずなのにキャンピングカーは消えなかったなと首を傾げる。

 泥のように眠った結果、完全とは言わないけれど、私のマナはだいぶ回復したようだ。とはいえ、一時は切れていたんだよね?


 ……ふむぅ?


 私がどういうことだろうと考えていると、ラウルが「どうした?」と同じように首を傾げた。


「マナが切れてもキャンピングカーが消えなかったなぁって。飛ばしてたから、いきなり消えてたら死んでたかもしれないけど……」


 そう思うとゾッとする。


「なんだ、そんなことか。マナ切れって言っても、本当に全部なくなるわけじゃないんだ。ちょっとは体の中に残ってる。マナは少なからず誰しも持つもので、生命維持にも必要だとされているからな」

「ああ、なるほど。だから枯渇状態になったら、あんなに気持ち悪くなったんだね」

「そういうことだ」


 納得だ。

 私がうんうん頷いていると、ラウルはなんだか不安そうな顔で私を見てくる。すると、とんでもない事実を口にする。


「簡単に考えてそうだけど……本当の本当にマナが枯渇すると、死ぬんだぞ。だから、スキルの使用は十分注意してくれ」

「えっ!! わ、わかった。気をつける」


 完全にマナがなくなったら死ぬなんて、恐ろしい世界だ。

 しかしふと、昔……私がまだ幼い頃に受けた教育で同じ内容のものがあったことを思い出す。

 私はスキルがないと思われていたこともあり、確か「マナが枯渇すると大変なのですが、ミザリー様は問題ないでしょう」としか言われなかった。


 ……あんの教師め!


 私は大きくため息をつきながら、ラウルに教えてもらえてよかったと安堵で胸を撫で下ろした。


「っと、そろそろ食べごろだな」

「おおお、実は待ってました!」


 ラウルが焼いていたお肉を手に取ったので、私は目を輝かせる。あと少しでお腹がぐううとなるところだったのです。


「このままかぶりついてもいいけど、皿に取るか?」

「かぶりつきます!!」


 めちゃくちゃキャンプっぽくていい! と思い、私は即座にかぶりつく方を選択した。急がなきゃいけない旅だけど、ご飯と休憩はしっかりとらなきゃ駄目と今さっき学んだばっかりだからね。


 私が瞳をランランと輝かせていたからか、ラウルが笑う。


「それだけ元気があるなら、大丈夫そうだな。食べることと寝て休むことでマナの回復も早くなる」

「食事、大事。覚えた!」


 ということで、私はラウルからお肉の刺さった木の枝をもらう。

 皮はパリパリに焼けていて、ジューシーで香ばしい匂いが鼻から体の中を駆け巡っていく。ああ、これは絶対に美味しいやつだ!


 ……あれ?


「でもこれ、なんのお肉なの?」


 キャンピングカーの冷蔵庫に入ってた鶏肉ではないみたいだ。

 すると、ラウルが「ああ」とこちらを見た。


「そこで狩ってきた魔物の肉だ」

「…………なんですとっ!?」

次はご飯です。

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