渓流キャンプ
夜はイーゼフ村長の家でお世話になって、朝ご飯をいただいてから村を出た。
旅の話をたくさん聞いたからお金なんていらないと言われてしまったが、さすがに申し訳ないので気持ちばかりだけど代金を置いてきた。
「ん~、今日も絶好のキャンピングカー日和だね」
『にゃ!』
私はスキルでキャンピングカーを出すとさっそく乗り込んで、子供たちに教えてもらった道を走り出した。
とりあえず山の麓まではまっすぐだね。
「っと、人だ。草むらに入って避けて~っと」
おそらく村の人だろう。女の子が二人、これでもかというほど目を開け驚いた顔でこちらを見ている。
……やっぱりびっくりするよねぇ。
私は窓を開けて、声をかけた。
「こんにちは! いい天気ですね」
「「こ、こんにちは……」」
「驚かせちゃってごめんなさい。これ、私のスキルなんですよ」
だから別に怪しいものではないと説明すると、「スキルだったんですね」「こんなスキル初めて見た……」と納得してくれた。よかった。
「山は天気が崩れやすいので、気をつけてくださいね」
「はい! ありがとうございます~!」
簡単に挨拶を交わして、私は再びキャンピングカーで走り出した。
「あ、ここが山の入り口だね。確かに広くて、キャンピングカーでも通れそう!」
教えてもらった道を発見し、私は山の中を走っていく。山道も最初のころよりは緊張しなくなったし、いい調子だ。
しばらく走ると、ふいに川のせせらぎが聞こえてきた。
「あ、窓開けっぱなしだった」
うっかりしていたが、山の自然音がちょうどいいBGMになっていて、まったく気にならなかったのだ。むしろ心地いいくらい。
ちなみに、おはぎは助手席ですやすやお昼寝中だ。
「あ、地図に川が映ってる」
地図といってもインパネに映っている自分の周囲半径一〇〇メートルほどなので、大したものは探せないが……こういうちょっとした変化は見ていて楽しい。
よーし、このまま渓流に向けてゴーゴーだ!
地図にあった通り、すぐ渓流を発見できた。
子供たちが教えてくれた通り、渓流のすぐ横がちょっとした広場のようになっていて、だいたいキャンピングカー三台分くらいのスペースがある。
「いいね、いいね!」
私はキャンピングカーを停めて、渓流すぐ横の木とキャンピングカーでタープを張る。ここが私の渓流ライフ拠点だ!
最初はモタモタしていたタープを張る作業も、少しだけど慣れてきた。このまま修練を積めば、キャンプの達人になれるかもしれないね。
そして次にやることといえば、焚火!!
「魚釣りの最中に濡れたりしたら大変だからね」
先に火を熾しておくことは、めちゃくちゃ重要だと思います。
現在地が山で木の枝がたくさん落ちているので、キャンピングカーに積んでいる以前集めた薪には手をつけない。あれはここぞというときに使うのだ。
「キャンピングカーの周囲ですぐ集まりそう」
最初の木の枝を拾って、そこから一歩進もうものなら木の枝が拾い放題だ。私は慣れた手つきで木の枝を集めて、これまた慣れた手つきで焚火を完成させた。
「は~~、渓流横の焚火、なんて絵になるんだ……」
もうここで暮らしたいくらいだ。
思わずぼ~っと焚火を見ていると、昼寝から起きたおはぎが『にゃっ』とこちらにやってきた。
「そうだった、お昼ご飯の魚を釣るんだったね。おはぎのご飯のために頑張っちゃうからね!」
『にゃっ!』
感想などありがとうございます~!
次こそお魚です。
 





