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国境に到着!

「ぶえっくしょっっ! さっむ!!」


 うおおおお、寒くて思わず目が覚めてしまった。


「……って、外じゃん! そういえばおはぎと一緒にうたた寝しちゃったんだっけ……」


 うっかりしていた。

 目の前の焚火を見てみると、もう完全に火が消えてしまっている。これじゃあ寒いわけだよ……。

 私はくああぁぁっと欠伸をして、おはぎを抱き上げる。さすがにこのまま外で寝るわけにはいかないので、いそいそとキャンピングカーの中へ移動する。


『んにゃ』

「おはぎも眠いよね……。一緒にキャンピングカーの中で寝ようね~」

『にゃー』


 私はおはぎを降ろすと、急いでテーブルを収納してベッドへ仕様チェンジする。やはり足を伸ばして眠れるのは正義だ。

 それが終わったら、次は着替えだ。街で買ってきたラフなものをパジャマに決めたので、それに着替えて簡易水道で歯磨きをしてそそくさと布団に入った。


 おはぎがくっついて寝てくれたので、とても暖かくて快適な夜を過ごせた。



 ***



 翌日、私はブウウウンとキャンピングカーを走らせる。実はあと少しで隣国の国境までたどり着くのだ。


 隣国の名前はシーウェル王国。

 国土は広いけれど、ダンジョンや強いモンスターの住む場所が多いため誰の手も入っていない未開の地がほとんどだという。

 しかし冒険者などは多く、街は活気があって人も多いのが特徴だ。

 つまり私のような人間が街へ行っても、そんなに目立つことなく溶け込むことができるだろう。


 賑やかそうなところだから、楽しみなんだよね。

 インパネに表示された地図を見ると、国境門まで目と鼻の先だ。


「っと、そろそろ歩いて移動しようか。おはぎ、起きて~」

『うな~』


 助手席ですやすやしていたおはぎを起こし、私はキャンピングカーをしまってのんびり街道を歩き始めた。




 数十分ほど歩くと国境に到着した。

 大きな門があって、数人兵士が通行人のチェックをしている。

 徒歩の人は身分証を見るだけの簡単な確認で、馬車の人は積み荷の確認があるみたいだ。といっても、そんなに時間がかかっているわけではない。早ければ一分、馬車の積み荷を確認しても一〇分かそこらという感じだろうか。


 これならすぐにでも国境を越えられそうだ。

 そう思ってルンルン気分で列に並んでみたものの――気づいたら別室に通されていました。



「えー……。ミザリー・クラフティア様でお間違いないですか……?」

「そうですね」


 私は兵士からの問いかけに、素直に頷いた。


 一応、私は自分の身分証を持っている。

 それを見せなければ、私がきちんと国外追放されたことが国に伝わらず、面倒なことになってしまうからだ。

 ……さっさと国外追放してくれたらいいんだけど。


「何か問題がありますか?」

『にゃ?』


 私とおはぎが首を傾げて問いかけると、兵士は「いえ!」と首を振った。特に問題はないらしい。


「国境にも、連絡は来ていますから……。もしかしたら、ミザリー様が来られるかもしれない……と」

「まあ、国外追放を言い渡されましたからね」

「もっと憔悴されているかと思いました」

「ああ……」


 もしかしたら、クロードから婚約破棄をされ国外追放されることになった、弱った私を嘲笑うように命令でもされていたのかもしれない。兵士って大変な職業だね……。


「えーっと……。特になければもう行きたいのですが、いいかしら?」

「は、はい。お時間を取らせてしまい、すみませんでした」

「いいえ。お仕事ご苦労様です。ありがとう」


 私はおはぎに「行きましょう」と告げると、ぴょんと肩にジャンプしてきた。可愛いけど、地味に重みが肩にのしかかる……っ!


 それからすぐに部屋を出たため、私はその後の兵士の呟きは聞こえなかった。


「……憔悴しきっていた際は保護を……と聞いていたが、その必要はない……という判断で大丈夫だよな……?」

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― 新着の感想 ―
国外追放は何かのブラフとかドッキリとかサプライズのつもりだった的な気の抜けた落ちですかな? スローライフなのでそう言うのもありだと思うのでドキとワクで先に進みます
[良い点] やっと国を出れますね。新天地で気儘に過ごせますねー。 [気になる点] 連絡早!早馬では無く鳥便ですかね? [一言] おやおや〜雲行きが怪しいですが、国を出てしまえば関係無いですかね。 これ…
[一言] 王子側の意図は何なんでしょう?
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