焚き火を堪能するマン
燃えてしまった前髪を切ろうと思ったけど、そういえばハサミがなかった。
「うーん……。まあ、なんとかなるかな?」
仕方ないので短剣で髪を切ってみる。ちょっとずつやれば意外となんとかなるもので、肩下くらいの長さで切りそろえることができた。
……まあまあいい感じかも。
ということで、かなりサッパリした。
「これで髪の毛洗うのと乾かすの楽になっていいなぁ」
あとはこれ以上燃やさないように気をつければ大丈夫だ。さすがに坊主にはなりたくないからね。
「は~~、焚火よき」
パチパチと燃える音と、ゆらめく炎。それを見つめているだけで、なんとも落ち着いた気分になれるから不思議だ。
きっと今、すごく贅沢な時間を過ごしているのだと思う。
ぼーっとすることって、あんまりなかったもんね。
『にゃう』
「おはぎ?」
おはぎがすり寄ってきたかと思ったら、くあああぁと大きな欠伸をして、私の膝で丸まってしまった。可愛いの最高潮かよ……。
目の前には焚火があって、膝にはおはぎがいて撫でたらもふもふで……最高にたまらんのですが。幸せすぎて死んじゃいそうだ。
おはぎを撫でると寝ながらゴロゴロ喉を鳴らしてくれる。なんとも器用だ。さらに撫で続けると、おはぎはくるりと体を回転させて仰向けになった。
「これはお腹を撫でてくれということ……!?」
はあ~~~~なんでこんなに可愛いの~~~~~~!?
もちろん全力で撫でる。
もふもふもふ。
「あ」
おはぎを撫でくり回していたら、焚火の薪が減ってきている。私は横に積んでおいた木の枝を手に取り、追加で焚火へくべていく。
これもやってみたかったんだよね。
燃えた木の枝がくずれるのを見て、追加していく。
少しずつ日が落ちてきたので寒くなってきたけれど、焚火のおかげでここは暖かい。このまま焚火の前で寝落ちできたら最高かもしれない。
「って、ご飯も食べなきゃだ」
『にゃ?』
おはぎがご飯という単語に反応してしまった。
そろそろおはぎ用に茹でている鶏肉も完成すると思うので、私の分のご飯の準備に取りかからなければ。
「ごめんごめん、もうすぐできるから、あとちょっとだけ待ってね」
『にゃ』
私がおはぎを撫でてあげると、仕方がないなぁとばかりにまた丸まってしまった。どうやらもう少し待っていてくれるようだ。
「私はせっかくだから、焚火で調理だっ!!」
使う食材は、マルルの街で買ってきたミツナスだ。
これはこのまま焼いて食べてもいいし、別の食材と一緒に使ってもいい。パンに載せても美味しそうだから、割と万能食材かもしれない。
私はキャンピングカーから食材と調理器具を持ってきて、いざ!
「といっても私は料理が得意っていうわけじゃないから、雰囲気で進めていくよ! 料理ができる人は尊敬しかない……」
とりあえず鶏肉を食べやすく一口サイズに切ってみる。それでいい感じに塩と胡椒をパラパラして……っと。
「まずは小さなフライパンに鶏肉をのせて、カリッとするまで焼く」
皮がパリッとした鶏肉ほど美味しいものはない。
お肉が焼けてくると、ものすごいいい匂いがしてきて……もうこのまま食べていいんじゃない? と思ってしまう。
「しかし駄目、まだ我慢だ」
私はお肉の上に輪切りにしたミツナスを乗せて、蓋をしてちょっと蒸し焼きにする。ナスがとろりとしたらその上にチーズを乗せて、また蓋をする。
これでしばし待てば完成だ。
仕事が忙しいやら予定があるやら突然の身内の不幸やらで更新する余裕がなかったです……。
ちょっと落ち着いたので、再開です。
次はご飯を食べます。




