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本当に誰かを救いたいなら優しさだけでなく、それを実行できる力が必要なのか

「あん?」


 声のした方を振り向くと一人の女生徒がロイの前に出る。


「もう、やめてください、これ以上誰も傷つけないでください」


「ソフィア!! 危ないから下がりなさい!!」


 落ち着きを取り戻したソニア王女が叫ぶ。

 ロイに話し掛けたのはソニア王女の双子の妹のソフィア王女である。


「第二王女様が何なんだ?」


「ロイ様、あの時私がちゃんと言わなかったのがいけないんです、あれは事故だったと、ロイ様は何も関係ないと、そのせいでロイ様がこのような目に会ってしまったなんて全然知らなくて」


「確かにそうだな、第二王女様よ、アンタ何で言わなかったんだ? あの時だけじゃねえ、俺が問いかけてた時も何で自分から名乗り出て言わなかったんだ? それで今更出て来ても意味がねえだろ、アンタタイミングが悪すぎだぞ、何で今のタイミングで言ったんだ?」


 ロイは当然のように思った疑問をソフィア王女に問う。


「わ、私は、怖かったんです、あの時怖くて言えなかったんです」


「あ?」


「あの時、他の方達は物凄い剣幕で言っていて、お姉様もあなたが犯人だと言う顔をしていて、それで怖くて言えなかったんです、でもその後お姉様に本当の事を言ったのですが、お姉様は私が優しいからかばっているだけだと言って、それで今まで言えなかったんです」


「・・・・・・」


「本当に申し訳ありませんでした、許されるとは思っていません、好きにしてもらって構いません」


「ソフィア!!」


 ソニア王女が声を上げるがそんなのお構いなしにロイはソフィア王女に近づく。


「待って!! その子を信じなかったのは私よ!! 私が妹の言っている事をちゃんと聞けば良かったの!! 全ての責任は私にあるから妹には手を出さないで!!」


「黙れ」


 ロイは威圧を込めてソニア王女を睨む。

 その目を見てソニア王女はその場から動けなかった。


「なあ、第二王女様よ」


「はい」


 ロイに言われソフィア王女は顔を上げる。


「優しさだけじゃ何も救えない、本当に救いたいならアンタ自身が力を持たなきゃならない、それができなければ、アンタの優しさはただの偽善だ」


「っ!!」


 ロイの言葉にソフィア王女は涙を流す。


「そうやって泣けば皆アンタを許す、アンタはそう言う人間なんだ、無垢で純粋で誰からも愛される、俺からすればアンタはただ守られるだけで自分では何もできない無力な人間、権力があるのに救える立場であったのに、いざと言う時勇気が持てない臆病者だ」


 ロイはそう言って両手で涙を流すソフィア王女の両頬に触れる。


「アンタみたいな人間を見ているとムカつくよ、救える立場にあったのに勇気が持てずに救わなかった、アンタだけがこいつを救えたんだ、それなのにアンタは救わなかった」


 そう言ってロイは触れる手に力を込める。


「アンタのその両目を潰してやりたい、アンタのこの細い腕をへし折ってやりたい、アンタの顔を見る目もないくらいグチャグチャにしてやりたい、だが」


 そこまで言ってロイはソフィア王女から手を離す。


「アンタはこいつに声を掛けてくれた、こいつを気にしてくれた、この学園で唯一こいつに優しくしてくれた、だからアンタには何もしない、アンタのその偽善でもこいつは救われていたんだからな」


 ロイは背を向き魔力を放ち学園の壁を破壊する。


「どこに行くのですか?」


 ソフィア王女はロイに問いかけるがロイは何言わず学園から去って行く。

 学園から去ったロイは王都の中央にいた。


「何もかも許さない、全部壊れてしまえか、良いだろう、何もかも壊してやるよ」


 独り言のように言ったロイは魔力で周りの建物を破壊するのだった。

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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