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本当の事を言うか言わないかで迷う事はあるが、それは相手を大切に思っていたらの場合だ

「な」


 ロイの言った事にフェイリーチェは目を見開く。


「聞こえなかったのか? ならもう一度言うぞ、お前には剣の才能も魔法の才能も全くないって言ったんだ」


「い、いい加減な事を言うな!!」


 フェイリーチェは否定するように叫ぶがロイは笑みを浮かべて続ける。


「いい加減じゃねえよ、お前には剣も魔法も全くと言っていいほど才能がない、確かお前の父親は剣の才能、母親は魔法の才能があると有名だったが娘のお前は全く両方どころか片方の才能も受け継がれなかったって事さ」


「う、嘘だ」


 フェイリーチェは力なく否定する。


「嘘かどうかすぐに証明する事ができるぞ、そうだな、お前」


「え?」


 ロイは男子生徒に問う。


「お前確かこいつと模擬戦して負けたよな? だがお前手加減してわざと負けたよな?」


「な!? 俺はわざと負けてなど」


「じゃあ、これで良いだろ」


 ロイは先程サテナに放った方法で再び指に魔力を溜める。


「今から打つから魔法で防げよ」


「え?」


 男子生徒が何を言われているのか理解する間にロイは指に溜めた魔力を放つと男子生徒の肩に直撃する。


「ぐああああああー!?」


 打たれた男子生徒はその場で倒れて肩を抑える。

 その光景を見て女子生徒達は悲鳴を上げる。


「だから防げって言っただろ? 次、お前」


 ロイは今度は女子生徒に向けて魔力を放つ。

 女子生徒は咄嗟に壁を出すがロイの魔力は壁を突き破って女子生徒の腕に当たる。


「きゃああああー!! 痛い!! 痛い!!」


 女子生徒も床に倒れて涙を流して腕を抑える。


「元婚約者殿との戦いのように手抜きじゃなくて本気でやれよ、でないと意味ねーだろ、じゃあ、少し威力を上げてお前だ」


 ロイはより強い魔力を指に溜めて放つ。

 

「ひ!!」


 女子生徒は恐怖から全力で壁を出し防御するとロイの魔力を完全に防いだ。


「・・・・・・」


 その女子生徒の壁を見てフェイリーチェは驚愕する。


「さすがにわかったようだな? 元婚約者殿、お前と戦った時こいつはこんなに強い壁を出していなかっただろ? だが実際にそれ以上の壁を出した、いきなり今できた感じじゃねえ、つまりお前と戦う前からこれくらいはできていたって事だ、要するに手加減していたのがわかるな」


「だ、だったらどうして手加減なんて」


「この国は王族貴族の命令に平民は逆らえないそうだよな? なら貴族達の間でも下の身分の者は上の身分の者に逆らえないって事になるよな? だとしたらお前は公爵家の娘、仮にも公爵と言う貴族の中でも高い地位にいる奴ならもし勝ってしまったら後で何をされるかわからないだろ? 要はお前が公爵の娘だから恐怖してこいつらは弱いとわかっていても何も言わなかったんだよ、現にお前教師からも何も言われなかっただろ?」


「!!」


 フェイリーチェは周りを見渡すが目があった者達は全員目を逸らす。


「今のこいつらの反応でわかっただろ? こいつらが手加減して教師達が何も言わなかったのもお前が公爵家の令嬢だからだよ、そうじゃなかったら今頃お前なんか落ちこぼれと言われていじめられてただろうな、お前は才能がなくても何もされなかったのは公爵の娘と言う価値があるからだ、お前の友人だって本当はお前が公爵だから仕方なく友人でいるだけかもしれないぞ」


「あ・・・・・・ああ」

 

「いい加減現実を知れ、お前の今までの成績はお前の実力じゃない、公爵の令嬢と言う肩書のおかげだ」


「いやあああああああああー!!」


 フェイリーチェは悲鳴を上げ頭を抱えて地面に膝を着く。


「お嬢様!! しっかりしてください!! お嬢様!!」


「違う、違う、そんなはずはない、そんなはずはない」


 サテナがフェイリーチェを落ち着かせようとするが、フェイリーチェは現実を受け入れらえないのか壊れたように同じ言葉を繰り返す。


「はあ、全くこんな奴がこいつの元婚約者だとはな、こいつも災難だな」


「あな・・・た・・・さい・・・ていね」


「あ?」


 ずっとロイに首を掴まれていた王女が苦し紛れに声を出す。


「ああ、第一王女様、掴んだまますっかり忘れてたぜ、で、何が最低なんだ?」


 ロイが掴む力を緩めると王女はせき込みながらも言葉を言う。


「婚約者に対してそんな酷い事がどうして言えるの? 例え本当の事だとしてもこんな大勢の前で言う事じゃないでしょ、彼女を辱めて楽しいの?」


「ああ、確かにこんな事言うのはあいつに対してとても最低な事だな、本当の事でも相手のために言うべきかどうかも悩むよな」


「だったら」


「だがそれは、相手を大切に思っていたらの場合だろ? こいつはどうかは知らないが俺は元婚約者に対して愛だとか思いやりとか全くないからな、だから言えるのさ」


「最低ね」


「ああ? 最低だあ?」


 ロイは王女の首を掴んでいる手に力を込める。


「あっ・・・がっ!!」


 王女は再び苦しむ。


「さてと話が脱線したな、じゃあ、答えてもらおうか、ここにいる王女様の双子の妹、第二王女様が危険な目に会ったのは、本当にこいつのせいなのかをな」


 ロイは再びクラスにいる全員に問いかけるのだった。


  

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「魔王様、今日も人間界で色々頑張ります」もよろしくお願いします。

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