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第30話 ~ノイシュ、奴がラードヘルンで間違いないな~


「みんな、あそこを見て……っ」


 唐突にビューレが声を上げた。


 すぐさま彼女の指し示す方へと視線を向けると、すぐ近くで砂煙を上げる激震の中から離脱していく一団が視界に入る。


 数は、四人――


――あの激震の中を、抜け出したのか……っ


「奴らを追撃するッ、行くぞッ」

 

そう告げたマクミルが瞬時に身体を捻り、駆け出していく。


 すかさずノイシュは仲間達の足音を聞きながら隊長の背中を追った。


 瞬く間に敵集団との距離が縮まり、彼等の姿をはっきりと視認する。


 そのうち一人は身に着けた甲冑から黄金の輝きを放ち、背中には身体を覆う程に長い外套をまとっている。


 髪が長く、その不敵な面構えを持つ男には見覚えがあった――


「ラードヘルン……ッ」


 思わずノイシュがそう叫ぶと仲間達の間から驚きの息が漏れ聞こえてくる――


「あれが……っ」


「遂に見つけたぞッ」


 不意に敵戦士達がこちらの動きに気づいたのか、次々と抜刀しながら顔を向けてくる――


「全員、隊列を組みつつ攻撃準備ッ」


 すかさずマクミルが腕を水平に突き出しながら声を上げた。


 瞬時に仲間達が隊長の命令を判断し、己の身体に制動をかけながら各々の配置についていく。


 ノイシュは急ぎ彼等の前に立つと、肩で息をしながらも武具を構える――


「ノイシュ、奴がラードヘルンで間違いないな」


 隊長のつぶやく様な声を聞き、ノイシュは術句を唱えながら強く頷いた――


「――我こそはッ」


 突如として隊長が大声を発した。


「我こそはリステラ王国のヴァルテ小隊隊長、マクミルであるっ」


 そう告げながらマクミルは対峙する敵部隊へと一歩前に進み出ると、剣を構える戦闘時においての礼式をとった。


「奥におわすはレポグント王国国王ラードヘルン陛下とお見受けしたっ、祖国存続の為、陛下には死か虜を選んで頂きたいっ」


「――賊人どもよ、聞けっ」


そう告げて進み出る一人の敵戦士をノイシュは見据えた。


 頭部から足先までを甲冑で固めており面立ちは判然としないが、声音からして年齢は四十代前後だろうか。


 四人の中では一番の年長者という事なる――


「我こそはレポグント王国のダルビット親衛隊隊長ミュンツであるっ」


「同じく、アネット」


「イデムだっ」


 ミュンツに続いて名乗りを上げる二人の敵戦士をノイシュは見据えた。


 アネットという長い紫髪の女性は白色の修道服をまとった術者だった。


 イデムは短い顎髭と左右に分けた黒髪が印象的な顔立ちをしており、彼の背丈はあろう巨剣を構えていた。


 どちらもまだ二十代だろう。その漂う雰囲気からは鬼気迫る威圧感の中にも、どこか高貴なものを含んでいた――


「陛下に仇なす者達よっ、貴様等には国王陛下の指一本触れさせんっ……死してその愚行を償えっ――」


~登場人物~


ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手


マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手


 ウォレン・ガストフ……ヴァルテ小隊の隊員で、戦士。男性。あらゆる術を無効化する術耐性の持ち主


 ノヴァ・パーレム……ヴァルテ小隊の隊員で、術士。女性。様々な攻撃術の使い手


 ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手


 エルン・ルンハイト……ノイシュおよびミネアの義妹。術増幅という超高位秘術の使い手


 ラードヘルン……レポグント王国の国王。男性。


 ミュンツ……レポグント王国のダルビット親衛隊の隊長


 アネット……レポグント王国のダルビット親衛隊の隊員


 イデム……レポグント王国のダルビット親衛隊の隊員




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