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第25話 ~このまま敵陣を突き抜けるっ、行くぞッ~


「君の発現する術は術増幅だ。今こそ君の力を貸してくれ」


「はい、お義兄様(にいさま)


 エルンはゆっくりと頷き、眼をつむった。


 両手を顔の前で組み、祈る様な体勢をとる。


 小さな唇が僅かに動き、術句を結んでいく。


 次第に彼女の身体から光が湧き上がると同時に、地面に別の輝く巨大な紋章が刻まれていく――


「こっ、これはっ……」


 次の瞬間、ヴァルテ小隊の仲間達から驚きの声が上がるのをノイシュは聞いた。


顔を向けると、マクミルと同じ輝きを仲間全員がまとっている――


「信じられません、私達全員にマクミル隊長の術がかかっていく……っ」


「これが、術増幅……っ」


 ノイシュは小隊の仲間達に向かって小さく頷いた。


「僕にも彼女の潜在能力はまだよく分からない。けれど、きっと力になってくれるはずだ」


そう告げると、超高位秘術を発現させた少女を再び一瞥した。


「有り難う、エルン……術を発現させたまま走れるかい」


「はい、大丈夫です」 


「よし……このまま敵陣を突き抜けるっ、行くぞッ」


 不意に隊長が声を上げるや、そのまま地を駆け出していった。


「私達も参りましょう」


アニマの加護があらんことを……っ」


 隊長の背中に追いすがるべく、次々と仲間達が疾走していく――


「エルン、僕達も行こうっ」


「はいっ」


 ノイシュは銀髪の少女が頷くのを見届けると、強く土をにじってそのまま駆け出した。


 驚いたのはその速度だった。


 こちらが身体を振り動かす動作に対して、突き進んでいく推進力が余りに強い。


 まるで強い力で身体を放り投げられたかの様だった。


 動きに気をつけないとたちまち平衡感覚を失って転倒してしまいそうになる。


 ノイシュは何とか自らの動きを制御しながら仲間達の背中を追った。


 次々と視界の隅で敵部隊を捉えるも一瞬で流れていく――


――エルン、君の持つ霊力は一体……っ


~登場人物~


ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手


マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手


 ウォレン・ガストフ……ヴァルテ小隊の隊員で、戦士。男性。あらゆる術を無効化する術耐性の持ち主


 ノヴァ・パーレム……ヴァルテ小隊の隊員で、術士。女性。様々な攻撃術の使い手


 ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手


 エルン・ルンハイト……ノイシュおよびミネアの義妹。術増幅という超高位秘術の使い手



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