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ノイシュとミネアと魂(アニマ)~戦乱の中で育ち、戦いと愛に身を投じる少年少女達~   作者: たんとん
第Ⅰ部 従軍戦記編 第Ⅰ章 ―バーヒャルト近郊の戦い―
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第18話 ~その魂(アニマ)をゆっくり咀嚼してやる~


「感謝しろ、今すぐ貴様のアニマも取り込んでやるっ」


 敵神官の言葉を聞き、不意にノイシュは熱く黒い内面が胸から()き上がってくるのを感じた。


 彼は弱き者のために行動すべき聖職者でありながら、国にじゅんじたアニマ達を軽んじた挙句にその遺骸(ざんがい)もてあそび、さらに義妹(いもうと)の命まで(うば)(うば)おうとした――


「ぐっあぁぁァ……ッ」


ノイシュは激痛(げきつう)()えながらも立ち上がった。自分の呼吸は(すで)に早く、浅くなっている――


「ノイシュ……ッ」


 (かたわら)らからミネアの不安げな声が届くが、ノイシュは(うで)を水平に()き出して応えた。


「どうしてっ……」


 義妹の問いに、ノイシュは沈黙を守りながら眼を細めた。


――ごめんね、ミネア……


「――エスガルッ、お前だけは、僕は(ゆる)さない……ッ」


そう(さけ)んだ直後にノイシュは(のど)から()み上げるものを感じ、(せき)き込むとそのまま血を()き出した。


 すぐに口(もと)(ぬぐ)うが(こぶし)や爪の色までもが(そう)白となっているのに気づく。


 ノイシュは激しくかぶりを()って恐怖を(はら)いのけると、(した)中に広がる血の味に(かま)うことなく詠唱(えいしょう)を始める――


「……ふん、度胸だけは(みと)めてやる。遊んでやるから全力でかかってこい」


 エスガルの(ほお)が鋭角に()り上がった。


「そのアニマをゆっくり咀嚼(そしゃく)してやるっ……」


 ノイシュは術句(じゅつく)を紡ぎながらも懸命に思いを(めぐ)らせた。


 先ほどの言動から、間違いなくアニマを吸収しに来ることは容易に想像できる。


 もし互いに術を放出すれば、その圧倒的(あっとうてき)(れい)力差から勝ち目がないのは明らかだった。


 負傷した身体では回避(かいひ)さえ難しい。では、エスガルを(たお)して仲間達を(すく)う方法は――



~登場人物~


ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の(じゅつ)戦士で、剣技と術を組み合わせたじゅつけんの使い手


ミネア・ルンハイト……ノイシュの義妹いもうと。女性。ヴァルテ小隊の術戦士で、れい力を自在にあやつる等の支援術の使い手


 エスガル……レポグント王国の大神官。バーヒャルト救援(きゅうえん)部隊の指揮官。男性。術士。



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― 新着の感想 ―
[良い点] あぁ~っ、ノイシュ絶体絶命のピンチ!! 魂を取り込まれちゃうよー!(;゜Д゜)
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