ロボット×悪役令嬢ジャンルは今これを読んでるよ! 今回の敵はこれ! 3
●LM-1アイダホ、ゴガッシャ
LM-1アイダホはアメリカ初の大型マキャヴェリー。1942年生産開始。
森林迷彩色をしており、頭部は暗視ゴーグルタイプ。
ゴガッシャはインド産大型マキャヴェリー。1947年生産開始。
砂漠迷彩色をしており、頭部は防塵バイザータイプ。
どちらも共通して肥満体型であることが特徴。
性能面については、アイダホが湿潤環境対応型、ゴガッシャが乾燥環境対応型である以外に大きな差はない。
また、LM-1アイダホ及びゴガッシャに限らず、1970年にミスリル・リアクターが小型化に成功する以前の大型マキャヴェリーは、イギリスの王族専用機カレトヴルッフ計3機を除き、全て似たような性能と体型となっている。
これは、大型マキャヴェリー規格は、機体長が12メートル前後になることを想定して設計されたということと、大型マキャヴェリーに搭載することを予定して製造されたミスリル・リアクターが、想定よりも大型化してしまったことに起因する。
なお、ミスリル・リアクターのなかでも、この時に誕生したタイプを、初期型ミスリル・リアクター、あるいは第一世代ミスリル・リアクターと呼ぶ。
特に世界初の大型マキャヴェリーの一機、LM-1アイダホが誕生したのは第二次世界大戦の最中であり、ミスリル・リアクターの小型化を待つよりも、一応ではあるものの完成した初期型ミスリル・リアクターを、機体側の対応によって搭載することを優先した背景がうかがえる。
先述の通り、1970年にミスリル・リアクターは小型化に成功し、以降の大型マキャヴェリーは運動能力に優れたスリムな体型が主流となった。
ではこれ以降、初期型ミスリル・リアクターを搭載していた大型マキャヴェリーがお払い箱になったかというとそんなことはなく、ミスリル・リアクターが稼働中に発生させる膨大な排熱を利用したジョイント兼用発電機を開発し、引き続き運用されている。
なお、この排熱利用発電機構をコジェネレーション・システムと呼ぶ。
そして、このコジェネレーション・システムは旧式ともいえる大型マキャヴェリーに、新たな利点をもたらすことに成功した。長期間の連続活動可能時間である。
この連続活動可能時間は、最新の高性能大型マキャヴェリーであれば100時間前後。そこそこの性能に落として電力消費量を減らしても200時間は超えないのに対し、コジェネレーション・システムを搭載した旧式機は300時間超という、ハイエンド機の実に3倍を超える凄まじい稼働時間を獲得したのだ。
最前線で飛んだり跳ねたりする必要があるならともかく、積極的戦闘が行われるわけではないが、恒常的な警備と防衛部隊の配備が必要な環境においては、最新鋭機よりも優先的に配備されることが多い。特に燃料費の圧迫は軍事費の中でも大きな負担になりやすく、最新鋭高性能機と比べると3割程度で済むというのは、非常に魅力的な性能であると言える。
加えて、旧式機であっても最新鋭のLMS対応武器の搭載に不自由しないという利点もある。最前線と遊撃は最新鋭機が担当し、後衛部隊は長距離砲を搭載した旧式機が担当するとするのが、近年における大型マキャヴェリー部隊運用理論の主流である。
なお、この大型マキャヴェリー運用理論を採用していない数少ない国が旧ソビエト連邦、及びその後釜となったロシア連邦である。旧ソ連が開発した大型マキャヴェリーは、ミスリル・リアクターの排熱を極寒環境における保温装置として利用しており、コジェネレーション・システムを搭載すると十分な熱が機体に伝わらなくなり、機能不全を起こすためである。
結果的に、旧ソ連及びロシア連邦は、旧式機の再利用ではなく新型への逐次更新という方向に舵を切り、世界でも最大規模の軍事国家へと成長している。
●モルディムEMM301
モルディムEMM301は、ブラジル産の中型マキャヴェリー。1992年生産開始。
夜間迷彩色をしており、メインカメラも暗視ゴーグルを採用。
比較的近年に生産が始まったこともあり、中型マキャヴェリーの中でも非常に性能が高い。ただし、先進国の殆どが中型マキャヴェリーを生産・開発しておらず、中型マキャヴェリーを生産・開発するのはもっぱら発展途上国であるという社会背景もある。
中型マキャヴェリーのハイエンドモデルともいえる機体ではあるのだが、前述の社会背景もあり、一般的にハイエンドモデルとは見なされない。
両腕部に専用のシールドを搭載することを前提としており、専用シールドの裏側には多数のMMS及びLMS対応ハードポイントを持つ。これにより、マニピュレーターで保持せずとも火器の発射や、銃を持ったままでの実体剣の展開、さらには大型マキャヴェリー用の武器の運用をも可能とする。
通常、中型マキャヴェリーは大型マキャヴェリー用の兵装を使用できない。これはマニピュレーターの規格が合わないことや、エネルギー供給量が不足していること、射撃時の衝撃を8メートル級の体格では吸収できないこと、大型マキャヴェリー規格のジョイントが中型マキャヴェリーに搭載するには大きすぎて、搭載するには機体の強度が大きく犠牲になることなどが原因である。
モルディムEMM301は専用シールドに対し、大型マキャヴェリー規格のジョイントを組み込んでも問題ない大きさに設計し、大型マキャヴェリーにも使用されている強力な衝撃吸収装置を組み込んだことで、これらの問題を解決している。半面、専用シールドは中型機が持つには、かなり巨大なものとなっている。
また、夜間迷彩仕様・盾の裏に武装を隠せる構造の特徴を持つことから分かる通り、モルディムは複数機で連携を取りながら、錯乱を狙う運用が設計コンセプトである。




