表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/89

マリアの子 Cパート&次回予告


 今のスパロボDDではグレートブースターが特攻のイベントやってるんですよね。

 ブースターつながりということでワクチンブースター! コロナウイルスめ、○ねぇ! と先日打ってきたわけなんですが、副反応が一、二回目と比べて段違いにきつい。翌日は丸一日寝込んでました。つーか未だに体調不良気味。

 まだ打ってない人、準備は万全にしましょう。


「お兄様! ラセリハは恐ろしゅうございましたわ!」


 イクス・ローヴェから降りたガーランの元へとラセリハが駆け寄る。柱のごとく太い足に抱き着き、そのままカサカサという音が聞こえるような動きでガーランの身体を這いまわり、そしてガーランの左肩に座って頭の横から抱き着いた。少なくとも、世界最大の宗教団体から聖女と呼ばれている人間がやっていい動きではなかった。


 そしてガーランの巨躯を、その肩に座るラセリハの姿を見て、五十鈴と有栖と優美は同じことを思った。パワータイプの弟と知能タイプの兄だ、と。


 ガーランと同じく地上に降りたライナスは二人の様子を見て、困ったように顔を伏せる。


「……以前、ラセリハ様に貸してしまったんですよね、あの漫画を。ガルに貸したものを自分も読みたいとせがまれて。それからなんです。あんな風に、ガルの肩に登るようになってしまったのは」


「この妙な悪癖、お前が原因かよ!?」


「おや、言ってませんでしたか?」


「お兄様! ライナス様をお責めにならないで! それよりも心傷ついたわたくしを慰めてくださいまし!」


 抱き着いたラセリハをガーランは片手で簡単に引っぺがす。地上に下ろし、両手で丁寧に頭の冠を外し、


「ギャンッ!?」


 ラセリハの頭よりも巨大な拳で、げんこつを落とした。


「何が慰めてだ、この馬鹿が! そもそも手前が誘拐されたのは手前の連絡不備が原因だ!!」


 何故、ラセリハの護衛がラセリハを見失ったのか。何故、優美の護衛が優美を見失ったのか。それは不幸なすれ違いであった。


「お互いの護衛チームがお互いを誘拐犯だと誤認してやりあってんだよ!!」


 そう。とても些細なことが原因だ。だが両グループの実力は拮抗しており、それぞれが一瞬気を取られた隙にラセリハと優美の姿は消えていた。お互いのグループが相手のグループに護衛対象を誘拐されたと判断し、状況は泥沼と化し、互いのグループから接敵した二人が拳銃を至近距離で突き付け合った瞬間に気付いたのだ。



 こいつ、以前に受けた護衛研修で一緒になったやつじゃね?



 幸いにも人死(ひとじ)にが出る前にお互いの誤解は解け、遅ればせながら協力して互いの護衛対象を探して走り回った。だが、彼らが見つけることが出来たのは、路上に落ちた真新しい学生鞄だけであった。


「あれ? じゃあどうやって私たちがいる場所を見つけたの?」


 優美は六華に抱きしめられたまま、ふとそう思った。六華は泣き止んではいるのだが、六華を放す様子はない。優美がトイレに行くときもドアに耳を当てて、中にちゃんと優美がいるかを確認するほどである。気まず過ぎて中々出るものも出なかった。


「ラセリハに発信機が付いてるとか、じゃないよね? それなら護衛の人たち、ラセリハがどこにいるのか分からないわけがないし」


「えーっと、怒らないであげてね、優美ちゃん」


 五十鈴に背負われた状態の有栖が言う。ちなみに五十鈴の腰はそろそろ限界が近い。膝も時おり笑っている。女背負ってて倒れれるかよと、男の意地だけで耐えている。


「優美ちゃんたちのお父さん、二人の制服に発信機を埋め込んでるみたいなの。電話で凄く自慢げに、『こんなこともあろうかと! ご都合主義と笑わば笑え! つけててよかった発信機!』って言ってたよ」


 優美はとても複雑な表情になった。確かにそのおかげで助かったことは事実だが、年頃の娘の服に発信機を付けるのはどうなのだろうか。加えてガーランに言われるまで、自分に護衛が付いていることにも気付いていなかった。というか女子中学生の後ろをこっそりとストーキングなどしている集団がいれば、それは誘拐犯だと勘違いしても仕方がないものだろうとすら思う。その光景を客観的に見ることが出来るのであれば、自分だってたぶん勘違いするに違いない。


 そこに、二つの音が鳴った。可愛らしい音であった。音源は優美とラセリハの腹からだった。優美は少し照れながら、


「あはは、そういえば肉まんとあんまんしか食べてなかったから……」


「よし! ご飯食べに行こう! 有栖ちゃん、五十鈴君。この辺で食べれるとこ知らない?」


「まぁ! ぜひご一緒させていただきますわ! 日本のお食事、どのようなものがあるのか、大変に興味がありますわ」


 六華の提案に一も二も無く飛びついたラセリハに、再びガーランのげんこつが落ちた。うずくまり、声も無く悶絶する。


「事情聴取があるに決まってんだろうが! クソマズいレーションで我慢しろ!!」


「そんなぁ……。お兄様ぁ、せめて一緒にご相伴をぉ~~~」


 二人の仲睦まじい、というよりラセリハが一方的にガーランを慕う光景を見て、優美は今さらながらに疑問に思ったことがあった。


「……そういや、あの二人ってどんな関係? 本当の兄弟って訳じゃないよね、苗字違うし」


「婚約者だって」


「婚約者」


 優美はオウム返しに繰り返し、ガーランを見て、ラセリハを見た。


「婚約者……」


 優美は再び繰り返し、ズボンに包まれたガーランの股間を見て、ドレスで覆われたラセリハの下腹部を見た。


「……いや、中に入らないでしょ、あの体格差だと」


 六華は顔を赤らめて優美の頭を叩く。五十鈴は噴き出した瞬間に限界を迎えた。背負う有栖の重さに負け、男の意地もむなしく崩れ落ちた。


   ●


 同じ頃、花山院学園の教室で、ロシア人留学生のエレオノーラ・ペトロフは質問攻めにあっていた。


 エーリカがいないせいだ。そのせいで、教室の注目はエレオノーラ一人に集中していた。


 エーリカがどこに行ったかを聞かれたが、知るはずもなかった。


 そしてエーリカだけでなく、ガーランとライナスが、(ディン)詩虞(シーユー)が、ルドラとアージュンとハリシャが、そして麗奈に有栖に春光に六華に、さらには何故か五十鈴までもがいないことが発覚すると、次の質問はこうだった。



 エレオノーラさんは、行かなくていいの?



 行くワケないでしょ。


   ●


 漆黒のヘルメットが、宙を飛んでいた。くるくると回転しながら鋼鉄の天井へと進み、しかして勢いが足りずに重力に引かれて地上へ戻っていく。


 椅子に腰かけ、耳にインカムを装着したエーリカ・レムナントの手元へと。


 奇妙な恰好をしていた。ボディラインが丸わかりの、薄っぺらい黒い服。否、果たしてそれは服と言えるのか。樹脂の光沢を返すスーツは、脇腹やら太ももやら胸の谷間からヘソの辺りにかけてが透過素材で、白人種の肌の色が見えている。スーツの色と相まって肌の色がより際立っている。加えて肩に、背中に、手首に足首にと、明らかに邪魔にしか思えないサイズの、謎の部品が取り付けられている。


 手の中へと戻ったヘルメットを、エーリカは再び回転を付けて宙へと放った。


「むー、タイクツです。ワタシのデバンはまだデスかー?」


 ヘルメットが戻り、投げる。そうやって時間を潰していると、インカムに通信が入った。英語だ。通信に頷きながら、エーリカも同じく英語で返答し、


「むぅ。ザンネンです。ケッキョクまちぼうけデース」


 これまでと同じようにヘルメットを放り投げると、エーリカは椅子から立ち上がった。そのままヘルメットが戻ってくるのを待たず、()()()の出入口へと足を向ける。


 ヘルメットが、落ちてこない。天井にぶつかったわけでもなく、何かに引っかかっているわけでもない。


 くるくるくるくると、宙にありながら上にも進まず下にも落ちず、まるで突然ヘルメットだけが重力を奪われたように、同じ高さで回り続けている。


 出入口の前で、エーリカは振り向いた。エーリカと共に待機していた、黒い巨大な影へと視線を向ける。大きさの異なる二つの三角形を組み合わせた、全長20メートルほどのヘキサグラム。


お母さん(マム)とのデアイはまたコンドね、ブラックスワン」


 それだけを言って、手を小さく振って、エーリカは立ち去った。


 くるくるくるくると、ヘルメットはいつまでも回り続けている。再び重力に捕らわれたのは、それから数時間後。エーリカが米軍原子力空母(サウスアイランド)を去ってから、すぐのことだった。


   ●



 学校に行きたくない。



 花山院学園中等部1年、野亜(のあ)優美は、二日続けてそう思った。


 けれどもとんでもなく心配してくる姉を振り払うことが出来ず、姉に手をつながれて駅まで歩き、姉に手をつながれて電車に乗り、姉に手をつながれて昇降口まで来た。


「……このまま教室まで付いてくるの?」


 そして優美は、ようやく姉から解放された。


 教室に入る。おはよう、と挨拶をしても、遠巻きに見られるだけで、誰も返事をしてくれなかった。仕方がないよな、と優美は思う。優美だって、もし友達が犯罪に巻き込まれて、そして翌日になんてことない顔で投稿してきたら、どうしていいのか分からないだろうから。


 始業を知らせるチャイムが鳴る。担任教師の(ゆずりは)芽春(めばる)が教室に現れる。「転校生を紹介しま~す。もう噂になっていて、知っている人もいるでしょうけれど~」という楪の第一声に、なぜか、ものすごく、嫌な予感がした。


 予感に従い窓の外を見る。


 いた。


 見覚えのある制服だった。


 見覚えのある顔だった。


 そして、見たことが無い制服と顔の組み合わせだった。


 相手も優美の姿に気付いたようだ。窓の外、笑顔を浮かべて小さく手を振っている。


 ものすごく深い溜息が出た。



 どうやら、聖女サマとの付き合いは、もうしばらく続くらしい。



   ●


≪次回予告ゥ~~~≫


≪次はロボット出ません。以上! 終わり! 閉廷!≫

(白と黒、二人の剣道着姿が蜻蛉の構えで向かい合う映像)


感想(レビュー):あの、もうちょっとこう、なんかありません?≫

(競泳水着姿の麗奈が水上に浮かぶ映像)


補足(コンプリメント):次回は日常回というものらしいです≫

(古びた教室を、手分けして掃除している映像)


≪まーキャラ一気に増えたからね。掘り下げは早めにやるに限る≫

(寿司を食う優美とラセリハの映像)


≪次回、ドール・マキナ・ラプソディ、第四話。『涼宮ハル……じゃない! 違う! 『獅子王麗奈の憂鬱』!!≫


≪じ、次回も、悪因には悪果あれかし~≫


感想(レビュー):規制音を入れるか一瞬判断に迷いました≫


≪いや、癖って怖いね。『の憂鬱』って文字が見えたらなんか間違えてたわ≫


 はい、というわけで無事三話まで完了しました~。

 主要キャラがだいたい出たのと、三話書くだけで半年もかかっているので「誰だっけこいつ……」ってなりそうなので、キャラ一覧と用語集を投稿しています。つーか作者本人もたまーに「こいつ名前なんだっけ……」ってなってたり……。


 今回の味方機紹介はルドラとアージュンの搭乗機、カルージャとアルジーナです。メイン兵器が違うだけの同型機という設定なので、記事自体は一つです。


 あととうとうストックが追いつかなくなったので、週一日曜更新ではなくなります。多分。おのれアル○ウスとグラ○ルのサンドボックス。

 でも投稿ペースが不定期化してもね、小説家になろうにはブックマークって便利な機能があるんだ!

 投稿されたらすぐに気付きたいそこの君! ブックマーク機能を活用しよう! そうじゃない君もブックマークしよう! ついでに応援もしよう!



 次回予告でも言ってますけど次回は日常回です。ようやくラブコメらしい話ができます。

 ではまた次回お会いしましょう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ