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243.地獄の冒険者、再び学園へ

「クラリス!」


オレは倒れ込んだクラリスを抱き寄せた。


「だ、大丈夫だって、ただの魔力切れだから。1人で立てるわ」

「だったら早く立て!」


クラリスの頭にドンッとチョップを叩き込む。


「痛っ、ちょ、何すんのよ!」

「持ち場を離れやがって。グッドウィンと一緒にカーミラを見張っていてくれって言ったろうが」

「あ」

「あ、じゃなくて」

「向こうは黒騎士が行ってるから大丈夫だお」


どこからともなくピッピが現れて言った。

黒騎士=リッキーさんがついていてくれてるのなら心配ないか。

引き返してみると、カーミラと若い司祭だけでなく、もう1人の実行犯バナザード司教も捕縛されていた。


「遅いぞボーイ」

「いや、こっちも必死だったし。ありがとうございますリッキーさん、助かりました」

「礼には及ばぬ。主の父を助けるのは当然の事。それから私の事は黒騎士と呼んでくれ」


どっちやねん!

リッキーさんは元魔界四天王の1人で、主というのは先代魔王の忘形見のマリアで、マリアはオレの娘で、どうにも立ち位置が定まってない感じだ。


「大使の執事やメイドまで元魔界四天王って、王国は本気になって王都襲撃事件の真犯人を捕まえにきたみたいね」


拘束されたカーミラが言う。


「そういう事。本当は秘密裏に事を進めたかったんだけど、こう大事になっちゃ潜入捜査どころじゃないしね」

「これからどうするボーイ?犯人は確保できたんだし、このまま朝までここでやり過ごすか?」

「いや、それなんだけど、カーミラの事はグッドウィンに任せていいかな?護衛に黒騎士やキシリアさん、ピッピ達も置いていくから、あ、何なら魔力切れのクラリスも」

「ヒトをオマケみたいに言うな」

「ボーイはどうするんだ?まさか、また学園に・・・」

「ちょっと引っかかる事があってね。大丈夫、グッドウィンも知っているだろ、オレ1人ならゾンビくらい敵じゃないって」

「それはそうだが」


護衛対象(足手まとい)がいなければ1時間とかからずにマクマホン学園まで戻る事ができるだろう。そしてオレがやらなきゃいけない事だ。

ポーションやら聖水やら教会の備蓄品を分けてもらい、5分後には準備を整えた。


「全員で行った方が早いんじゃないのかい?」

「カーミラは油断できないし、何よりそれだとここにいる何100人もの避難民を守れないだろ」

「他国の平民をねえ。うちのリーダーはもう少し非情になってもいいんじゃないか?」

「いや、あくまでパーティーメンバー最優先だし」

「妹ちゃん達はどうするお?」

「真夜中だし、昼間がんばったみたいだから寝かしておいてくれ。朝迄には帰って来るよ」


黒騎士には外のゾンビ達からの守りを、キシリアさんには拘束したカーミラ達の見張りをお願いした。ピッピとウマはグッドウィンと一緒に避難民の安全確保だ。


「私はまだ騎士見習いだし、ボーイが何をしようとしているのかはわからない。でも与えられた任務だけは全うするつもりだ」

「それでいいんじゃないかな。それぞれができる事をやる、それが一番大事だと思うな」


オレは不安そうなグッドウィンの肩をポンと叩いた。


「いってもオレ達まだ学生なんだから。慌てず無理せず、ってか」

「わかった。ありがとう、気をつけて、ボーイ」

「おうよ。じゃウマ、ドアを開けてくれ。オレが外に出たら直ぐに閉めてくれよ」

「うす」

「ボーイ、行きまーす!!」


オレはミーナと共にゾンビが徘徊する死の街に再び繰り出した。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



おおおお〜〜〜〜

草木もねむる丑三つ時。

魔物にとっては過ごしやすい時間なのだろう、大聖堂から学園へ向かう住宅街はゾンビで溢れかえっていた。でも、これって人為的に造られたゾンビなんだよね?純粋に魔物の範疇には入らないんじゃないのかなあ?


「来たよ、ボーイ!」

「わーってる。『月影(ツキカゲ)』!」


オレは虚空から月影(ツキカゲ)を取り出すと、迫り来るゾンビを次々と斬り捨てていった。


「調子良さそうじゃない」

「そうか?」


折れた『斬月』の代わりに使っているこの月影(ツキカゲ)、同じ名工の作だけありその性能は折り紙つきだ。ただ一つ、魔剣という点を除いては。


「バウッ!!」

「悪いコロ、ちょっとだけ寄り道させてくれ」


学園までのルートを少し外れた角を曲がった先はケイトさんの家。両親がゾンビになってしまった学生さんだ。そしてもしも何事も無ければ今家の中にはケイトさん、そして彼女を守る為に残ったガガさん、さらにはガガさんを守る為に戻ったギーリクがいるはずだけど・・・


「誰も・・・いない・・・」


家の中にはゾンビ化したケイトさんの両親の死体が残るのみ。襲撃を受けたのではない、自発的に家を出たって感じだ。


「ボーイ、あれ!」


ミーナが指差した方向、洗面台の鏡にはデカデカと血文字が書かれていた。


『マクマホン学園で待つ』


(血文字のくせにやたら綺麗な字だな)


ギーリクの字、じゃあないよな。やっぱり


(ガガさんか・・・)


王都襲撃事件のキーマン『学園の魔女』。てっきりマク学学園長姉妹が学園の魔女かと思ったらそうじゃなかった。

「学園の魔女は2人いる」

レッドフォードさんの言ってる事が正しければ、1人は風紀委員長のカーミラ、そしてもう1人は番長連合のガガさ、いやガガで決まりだろう。

オレを挑発してるって事は勝算があるのだろうか。


「急ごう、学園へ」


最終決戦はすぐそこに迫っていた。

お読みいただきありがとうございました。最近仕事の関係で更新が週遅れになっていますが、何とか続けていきたいと思いますのでよろしくお願いします!

また、ブクマ、評価等いただけるとメチャクチャうれしいです(*^_^*)

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