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21.旅する冒険者、ワイバーンを一刀両断する

「アカネとユキは馬車の中で待機、アキラさんとシラヌイは馬車の警護をお願い!オレとミーナとコロで迎撃する!」

「「「はいっ!」」」


3匹のワイバーンに対し、とりあえず基本形のフォーメーションをとることにした。ギュピちゃんはコロの背中の上だ。シラヌイとアカネはいつの間にか黒装束で臨戦態勢に入っている。


「主、使ってもいいですか?」


シラヌイが上目遣いで聞いてくる。


「もちろん。ギュピちゃん!」

「ギュピ〜」


オレはギュピちゃんに手を突っ込むと、中から長さ150cm、刃渡り60cmもあろうかという大鎌を取り出した。これがシラヌイ本来のエモノらしい。カッコいいけど暗殺者と言うより死神っぽい。


「ヒュ〜」


初めて見るアキラさんは口笛を吹いた。間違いなく惚れ直しただろう。


「行きまーす!」


馬車を飛び出したオレはトンっと幌の上に飛び乗った。ワイバーンの戦法は基本ヒットアンドアウェイ。1匹のワイバーンがオレを見るなり急降下してきた。


「まかせて!【風刃(エアカッター)】!」


先手はミーナ。2発、3発と連続して魔法を放つ。


「ギャオーン!」


風刃はヒットしているが、ワイバーンはひるむ事なく向かってきた。


「なに?こいつ、硬いわ」

「そうみたい、だな!!」


オレは突っ込んできたワイバーンに一太刀浴びせながら攻撃をギリギリ回避した。


「でも、倒せない程じゃない」


瞬間だったが、確かに斬月に手ごたえがあった。上空高く舞い戻ったワイバーンの脇腹からは、小さいながら斬撃による血が噴き出しているのが分かった。


(繰り返せば落ちるか)


「バウバウ!バウバウ!!」

「ボーイ、コロがやらせて欲しいって」

「は?」


どうやらコロは先程の神聖騎士団との戦闘で、まるで子犬のように簡単にあしらわれた事が面白くないらしい。


()()をやれって事?」

「バウバウ!」


コロは尻尾をブンブン振って答えた。でもアレは対大型魔物戦用であって対空戦向きじゃないんだけど・・・


(ま、いいか)


「アキラさーん、一匹面倒見てくれますかー?」

「おう、任せろ」

「コロ、奴らのうち2匹が一直線上に並んだところで出すぞ!タイミング合わせろよ」

「バウ!」

「いくぜ、【君は1000%(オメガトライブ)】!!」


オレは仲間の全能力を1000%開放する異能(レアスキル)を発動させた。コロの体がみるみる帯電して輝きだす。ちょうど2匹目のワイバーンがオレ達に向かって降下してきていた。


「からのー、【雷牙大切斬】!!!」


(ダッさ)

(うっさい!)


オレは斬月の柄の部分を両手で握ると刀身を真上に掲げた。


「ワオーン!!!」


コロの遠吠えと共に、稲妻が轟き、斬月を直撃する。遠めに見るとオレが巨大な稲妻の剣を持っているように見える、のかな?ワイバーンもたじろぐがもうその動きは止められない。


「いっけー!!!」

「「ギャワー!!」」


オレはワイバーン目掛け腕を振り下ろす。巨大な稲妻の剣が打ち下ろされ、攻撃を仕掛けてきていたワイバーン、更にその上空にいたワイバーンまでも一刀両断した。


「よっしゃー!」

「ワオーン!!」


勝利の雄たけびを上げるオレとコロ。オレの七つの必殺技の一つ、雷牙大切斬の初披露の瞬間だ。残ったワイバーンは戦意を喪失し、一目散に逃亡していった。


ボシュボシュボシュ!!

地上から数発の火球(ファイアボール)が打ち出されたかと思うと、最後のワイバーンの体が炎に包まれた。


「ギャワー!」


落下していくワイバーン。どうやら神聖騎士団の追手が到着したようだ。


「一気にいくぜ!」

「バウバウ!」


テンションの上がったオレとコロは、追手の迫ってくる方向へとダッシュした。


「待ってよー、あたしも行くからー」


後に続くミーナ。




「あらま、行っちゃったよ。一応追っかける?シラヌイちゃん」

「主の命令は馬車の警護です。私はそれに従うのみ」

「そっか。じゃ出発準備しながら()()()()待つとしますか」


シラヌイはアキラをキッとにらみつけた。


「どういう意味だ?」

「言葉通りだよ」


(オレにはアンタが死に急いでいるように見えるんだよなぁ)



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「見つけたぞ、少年!」


追っ手の先陣をきって来たのはエルフだという神聖騎士団副団長の女騎士だった。布陣は三位一体×3組+白いローブの魔法使いっぽい人3人。ここまでついてこれたのがこれだけだったのだろう。


「今度こそ同胞達のカタキをとってやる!」

「しつこい!!」


鉄仮面を外したままの女騎士はやっぱりメチャクチャ美人だった。


(ボーイ、また!)

「わーってるって!いくぞコロ、出血大サービスだ!【君は1000%(オメガトライブ)!!】

「バウバウ!!」


コロは電撃を纏うと、聖騎士達の間隙を縫うように走り抜けていった。


「「「うわっ!!!」」」


ヒトもエルフも体内に電流が走ると、しばらくフリーズしてしまうらしい。オレは動けなくなった聖騎士達からヒョイヒョイとエモノを回収すると、ギュピちゃんに収納していった。


「「「くっ!!!」」」


戦意を喪失しうなだれる聖騎士達。神聖騎士団との第二ラウンドはあっけなく終了した。

次話より投稿時間が変更になります。毎週日曜日午後0時(予定)です。

これからもどうぞよろしくお願いします

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