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139.帰ってきた冒険者、武闘会に出場する 2

「只今より、第49回薔薇まつり仮面武闘会予選会を開催します!」

「「「うおおおお〜っ!!!」」」


場内にアナウンスが響く。こんな大会だけど歴史があるのかな?予選なのに実況付きみたいだし。


(さあミーナ、そろそろ行って。失格になるとマズいから)

(わかった、気を付けてね)


ミーナはスタンドのどこかで見学しているであろう、仲間達のところへ飛んで行った。


「予選は全出場者によるバトルロイヤルです!」


おっ、いいね、着ぐるみはちょっとアレだけど、なんかそれらしくなってきた。


「選手の皆さんは、先程背中に貼り付けたゼッケンの奪い合いをしてもらいます。制限時間内に30枚のゼッケンを集めた方から勝ち抜けです。時間は15分2セット、得物以外のもの、魔法や異能(レアスキル)の使用を認めます」


まあこんな所で異能(奥の手)を晒す奴はいないと思うけど、要は30人に1人しか残れないって訳か。でもこれだけなんでもありならゼッケンの奪い合いじゃなくて普通に戦闘不能か場外で失格でいいんじゃないか?


「皆さんの衣装には防護魔法が付与されている為、実際に負傷する心配はありません。心置きなくヤっちゃって下さい!」


安全安心の大会って訳だ、それにしても防護魔法って無駄に金使ってるよな。


(そう言う事なら久々に本気を出してみるか)


「それでは1次予選、スタートです!!!」


ダーン!!!

号砲1発、いよいよ仮面武闘会のスタートだ。


「もらいっ!」

「はい、残念」

「くそっ!」


合図が鳴るや否やオレの背後からゼッケンを剥ぎ取ろうとする着ぐるみネコ。そんなセコい手には引っかからねーっての。

オレは逆にネコのゼッケンを剥ぎ取り、備品のポシェットに収めた。まずは1枚。


「「「うおおおおお〜っ!!!」」」


8割ほどの選手は合図と同時にゼッケンを奪取すべく乱戦に突入して行った。まあ、普通に考えれば30分で30枚、時間を有効に使わないと結構大変かも。そして残りの2割は様子見。獲りやすそうなヤツをチェックして、後でまとめて頂こうって腹か。戦場ならば適切な判断なんだろうけど、お祭りだと思うとちょっとつまんない作戦だよな。


「行くっきゃないでしょ!」


オレも乱戦に飛び込んで行った。まあ、殆どが素人だから手加減しつつ、それでも降りかかる火の粉、いや突っかかってくる着ぐるみ達を打ちのめしていく。イヌ、ブタ、サル、ネズミ、コアラ・・・着ぐるみを相手にするのも慣れてくるとなんかゲームみたいで結構面白い。ゲットしたゼッケンはものの数分で20枚を超えた。


「そこのラッコ、お手合わせ願いまシカ?」

「喜んで!」


着ぐるみシカが挑んで来た。いや、オレ、ラッコじゃないんだけどね。

なまくら同士ガキッと剣を交える。ビリビリとした感触で、相手も剣の心得のある者だとわかった。


「いいね!」


こういう強者も時々混じっているところが良い。オレは2太刀目でシカの剣を跳ね上げると、背中のゼッケンを剥がさせてもらった。


「君、強いな。優勝狙えるよ」

「どもです」


この後オレに突っかかってくる奴はほとんどいなくなった。そろそろ警戒され出した様だ。

このまま前半はやり過ごすとするかな。


「たった今、30人目の勝ち抜けが決まりました〜!本戦トーナメント出場はあと2名です!!」


前半ラスト5分にして無情のアナウンス。えー、これじゃ前半後半意味ないじゃん!


「「もらったピョン!!」」


ワッと襲い掛かってきたのはウサギの群れ。グループでの参加なんだろう、7〜8人が一斉にのしかかってきてあっという間に押し潰された。


(ヤバい、剥がされる!)


バリバリバリバリッ!!!


「「うぎゃー!!」」


オレは咄嗟に電撃を放った。着ぐるみは帯電性能は無かった様で、ウサギ軍団はシュ〜と音を立てて気絶した。審判の判定は・・・よし、どうやら電撃はルール違反じゃないようだ。


「今のはちょっとヤバかったな」


これだけゼッケン集めれば取り敢えずは予選通過だな。オレは警戒しつつウサギ軍団のゼッケンを回収し始めた。


ガクンッ!


一瞬、ほんの一瞬だったけど力を持っていかれた。例えるなら4速から3速にギアを落とした瞬間のよう。周りを見回しても特に誰も気にしている様子はなかった。


(オレだけ?)


いや、ここまで10分余り戦ってきたからわかる。バトル中の出場者全員の動きが僅かではあるが緩慢になっている事が。


(【|能力弱体化(デバフ)】か!)


微妙過ぎる異能(レアスキル)だけど、使い方次第では人知れず戦場の支配者になる事も可能な能力だ。そしてオレはこいつの使い手を1人知っている。


「久しぶりだな、ちょうど1年振りくらいか」


1頭のパンダがゆっくりと近づいてきた。こいつがデバフを使った張本人か。


「どの位強くなったのか確かめてやろう、異世界帰り」

「パンダに知り合いはいないんですけど。あいにく負ける気はないんで、リッキーさん、いや黒騎士と言った方がいいかな」


圧がビンビン伝わってくる。まさかとは思ったけど、こんなお祭り行事にこんな大物が出場しているとは。

黒騎士。元魔王軍四天王にして南方騎士団最強の男。そしてオレがじいちゃん以外で勝てなかった唯一の相手。いいね、相手にとって不足なし。


「いざ、尋常に勝負!」


本戦前だけどヤッちゃってもいいよね?

見た目はコツメカワウソVSパンダだけど。

お読みいただきありがとうございました。これからも毎週更新していきますのでよろしくお願いします!

また、ブクマ、評価等いただけるとメチャクチャうれしいです(*^_^*)

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