加西さんと友達
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「どういうこと愛奈ちゃん?」
香織は不安そうに言って、加西さんはうん~と首を傾げながら、
「香織、部活の時に小谷君の悪口ばかり言っているから、彼って一体どんな子かなーっと思って」
加西さんは僕を上下にじろじろ見つつ、相変わらずニヤッとする。
「別にそこまで酷くなさそうじゃん」
「そりゃあ、まぁ……いや、そんなことないわっ! 今日の朝だって……」
僕はギクッとする。
「今日の朝?」
「……」
彼女は間を開けて顔を赤らめた。
「?」
「とにかく洋平は酷い男なのーっ!」
香織は目を瞑りながら軽く叫んだ。そこまで言わなくても……。
「ふーん、そっかそっかーっ」
彼女は香織の話を聞きながら軽めに頷く。
「小谷君っ」
「は、はいっ」
「あんまり香織の酷いことしちゃー駄目よっ」
「あ、はぁ……」
「あ、そうだ香織っ。部活の話なんだけど」
「う、うん」
そして二人だけで話をする。
「あ、もうこんな時間。昼休み終わりそうだから帰るね」
「あ、うん」
「あ、小谷君もまたねっ」
「え、はい」
そして加西さんは僕にも手を振った後クラスから出て行った。
噂では香織のかなりのライバルと言われていたが、見てみるとそうでもなさそうだった。所詮噂は噂だなと思った。
そして香織と目が合う。
「お前だって僕の悪口言っているんだってなっ」
「そ、それは……」
彼女は伏せがちに目を逸らす。これは謝らなくても良いのではと思った。そしたら香織も反撃してくる。
「あ、あんただって私に小言を言ったりするじゃない! 今日の朝だってっ……」
「うっ……」
そして会話が止まる。お互いにイライラしてしまい、ふんと言い合い僕は席に戻った。そして美馬と話をする。
「もう香織に謝らなくて良いんじゃね!?」
5限目が終わり僕は軽く興奮気味だ。
「いや、落ち着けって小谷っ。とりあえずその朝のことはけりつけとかないと、変に引きずって気まずくなるかもしれないから早めに軽くでも謝っとけ」
「……」
不本意だが、彼の言い分も分からんでもないので、放課後の部活前に謝ろうと思ったが、放課後になって気づいた時にはもう既に彼女はクラスから出て行っていた。
(早っ!)
そして急いで弓道場の近くに行っても香織の姿はなく、熱いなーっと思いながら建物の周りをうろうろしていると、
「あら、小谷君じゃない」
「? あ、君は……」
声をかけたのは加西さんだった。
「どうしたの? こんな所で?」
「いや、香織に一言言おうかとーっ」
「あぁ、香織ならさっさと着替えて部室から出て行ったわね」
「そっか……」
このままいても仕方ないなと思い帰ろうとすると、待ってと彼女は言う。
「? どうした……」
彼女は僕をぐいっと引っ張って、建物の影に連れて行く。な、何だろう? 僕は少し何か期待をする。彼女から良い匂いがしてときめく。
「あのね、小谷君っ」
「は、はいっ」
「私、香織から貴方の話を色々聞かされてるの。直ぐ文句を言うだの、ろくに部屋の片付けが出来ないだの」
あいつも出来てないだろうがっ! 僕はムッとする。
「けど彼女から色々聞いて逆に私は貴方に興味を湧いたの」
僕は彼女の優しい笑顔についドキッとする。え、もしかして加西さん僕のこと気になってる?
「だからね小谷。とりあえず友達にならない?」
彼女は恥ずかしそうに言う。これはやはりあれですねっ、彼女は僕のこと間違いなく異性として気になってますね~。
「も、勿論構わないさっ!」
僕はドキマギして声を裏返しながら言う。
「え、本当に? やったーっ」
可愛い子がぴょんぴょんとはねて喜んでいる。う、嬉しい……。
「じゃあとりあえずもう部活始まるからまたねっ」
「あ、うん」
そうして彼女は弓道場へと向かった。僕はそこで浸っていると、はっとして体育館に急いで行った。
「遅いな、小谷君っ!」
「済みません、少し用事があって」
「男子はもう練習始まっているから、早く行きなさいっ」
「は、はいっ」
山岸先輩は部活に遅れた僕を叱咤し、僕は男子バレーのコートに急いで行った。
そして部活終了後、彼女は僕を呼ぶ。
「遅れるのは仕方ないけど、山本君(男子バレー部の部長)に連絡くらいして欲しいわ」
「そうですね、済みません」
「私も気になるし」
「え? 先輩がですか?」
「そうよ、まだまだだけど貴方のバレーの能力を気にかけてるのよ」
「あ、ありがとうございます」
僕は嬉しさと気持ちの高ぶりでバクバクする。
「だからねっ小谷君っ」
「は、はいっ」
「私と連絡先交換しない?」
「え!? 構わないんですか!?」
「えぇ、良いわよっ」
という訳で山岸先輩と連絡交換することになった。今日は良い日かもしれないっ! 僕はうかうかしてつい喜んでしまい、香織のことをすっかり忘れていた。
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