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香織と喧嘩

日間20位です!

ありがとうございます!

「凄い家だったなーっ」


 香織と家に帰りながら僕は少し感動しながら言うが、彼女は何も言わない。


「地下に六階もあるのは想像の範囲を超えた造りだったっ」


 僕は興奮冷め止まなかった。


「どうして地下にわざわざ部屋を造ったんだろう。普通に地上に造れば良かったのに。スパイの家かな?」


 そう一人ブツブツ言っていると、香織が入ってきた。


「洋平さ……」

「ん、何だ?」

「金がある女が良い訳?」

「え!?」


 急にそんなこと言われてあたふたした。


「え? どうして?」

「嬉しそうだから」

「いやー、そういう訳ではないがっ」


 彼女が僕をじっと見てくる。


「……ただ山岸先輩の凄さをまた一つ増えたと感じただけだ」

「それだけ?」

「それだけっ」

「そう……」


 彼女はそれ以上言わなかった。香織の言動を少し不思議に思ったが、それ以上は気にならなかったので流した。

 そして翌日(金曜日)。いつものように香織は僕の家の前で二段の重箱を持って待っていた。


「明日は休みだなーっ」

「本当そうね」

「勉強なくて部活だけ出来てラッキーっ」

「……ところで背中は大丈夫?」

「ん? あぁ、昨日よりかはマシになった」

「そう」


 少し安心したようだった。


「あ、はい。これ弁当」

「お、おう」


 重箱を受け取る。


「明日はどうするつもりなの?」

「え? 明日は部活終わったらのんびりするつもりだが」

「……そう」


 少し含みを感じる言い方だった。


「何だどうかしたか?」

「……」


 返事がない。僕がしばらく不思議がっていると、彼女は珍しくどもりながら言う。


「そ、それならさ……、明日の14:00に、一緒に買い物しない?」

「え?」


 彼女はもじもじしている。それって……、


「時間かかるからやだ」

「え?」

「女の買い物ってさー、男と違って凄い時間かかるじゃん。あれはどうじゃ、これはどうじゃ。あれは良い、これは嫌だ」


 僕は散々あーだこーだ言って彼女を見ると、顔を赤らめほっぺをぷくーっと膨らまし眉間を寄せて目をつり上げ、手をぷるぷると震わす。あっいけね。これは……、


「洋平の馬ーーー鹿っ!!!」


 彼女はこっちを向いて腕をピーンと張りながら叫んだ。


「わっ!!」


 そして学校の方へ走って行った。


「あ、香お……」


 僕が彼女の方に手を伸ばした時はもう彼女を遠くに感じた。


「どうした小谷。しょぼくれて?」

「美馬……」


 そして彼に香織との喧嘩の話をした。説明した後、頭を抱えため息を吐きまいった顔で、


「あー、それはお前が悪いな」


 と言った。こいつは全体的に冴えない奴だが彼女はいる。塾で知り合ったらしく別の高校だ。


「しかし……」

「しかしもかかしもじゃないっ! もう少し相手の気持ちを考えて話さないといかん」

「いつもの調子で言ったんだが」

「親しき者にも礼儀ありだぞ小谷っ」


 まぁ、確かに少し無神経だったかもしれない。香織の方を見ると目が合ったが、すぐ逸らされた。休み時間に謝ろう。しかし彼女と目が合うことにすぐに逸らす。

(昼休みのご飯を食べた後に謝るか)

 そして昼休みになり、重箱を開け、好きな料理といつもの料理を食べた。美味しい感じはするけどいつもより味が分からなかった。例え香織が目を逸らしたとしても、重箱を渡して謝ろうと考えた。

 そしてご飯を食べ終え重箱を持って香織の所に行った。


「ん」

「ん……」


 怒るというより、もうテンションが低い感じだった。

 早く謝らねばっ!


「あ、あのさ香織……」

「……ん?」

「その……」


 ええい言え!!


「今日の焼き肉ニンニクの風味が移って美味しかったからまた作ってくれ」


 って違ーーーうっっ!!


「……うん」


 返事をしたが、それでもテンションが低い。褒めたのにあまり喜ばないのは重症だっ。このままではいかん! なんとしても謝らねば! そう思いもう一度、香織と呼んだ。


「あ、あの……」

「……」

「その……」

「……」

「ごめ……」

 

 そう言った時、うちのクラスの入り口の方から女子の声が聞こえた。


「香織っ」

「あ、愛奈(まな)ちゃん!」


 僕はそっちに振り向いた時、彼女は香織に小走りで近づいて来る。茶髪がかったショートの髪で目はぱっちりとした可愛らしい顔立ち。この子は確か……、


「どうしたの~愛奈ちゃん。クラスまで来てーっ」

「そっちこそっ。浮かない顔して」


 二人はきゃっきゃと言い合う。周りの声から加西という声が聞こえてくる。やはりそうか、彼女は加西愛奈。『校内三大美女』の一人の子だ。そして彼女はこっちを向いて、


「君は……、小谷……君」


 僕はドキッとして、


「僕の名前を知っているんですか?」

「えぇ、香織からしょっちゅう聞いてて」

「ちょっと愛奈ちゃん!!」


 香織は顔を赤らめ慌てふためく。


「洋平の話なんかこれっぽっちもしてないんだからっ!」

「そうそう。ゴメン、ゴメン」


 そう言いながら加西さんは軽くニコニコしていた。


「で、愛奈ちゃんどうしたの? クラスまで来て?」

「あ、それは……」


 彼女は僕の方をちらっと見て、軽く上下にじろじろ見てから、


「小谷君と話をしてみたいと思って」

「え?」


 そして彼女はまたニコッと笑う。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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